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20.それが真実でも信じたい


「マキちゃんは文芸部のこと、何か知っていたりするの?」

「文芸部のことならそれなりにはね……でも、月渚が思っているようなこととは違うことだよ」


 とっても気になる言葉を放つマキちゃん。それでもお友達の言葉から聞けるなら、わたしは聞いてみたい。


「月渚はもう正式な部員だもんね? じゃあ教えないとフェアにはならないか。うーん、でもなぁ……これを聞いて、興味を持ったら月渚に優しくしている友達たちが、離れていくかもしれないよ?」

「ううん、知らないでいる方が怖いの。それに気にはなってたの。喬子ちゃんがそんなことを言っていたし」


 お友達もそうだし、わたしを誘って来た他のサークルの先輩さんたちも文芸部……というよりも、彩さんに対して、怖がりのような反応を見せていた。一緒にいてくれる人たちが、もし他の人たちにあらぬことで広められたりしていたら、それだけでわたしは心を傷めてしまうかもしれない。


「そんな大したことじゃないんだけどね。月渚が入っている文芸部のメンバー……先輩たちってのは、学友会の人なんだよね。知っているかな? 高校とかで言う所の生徒会みたいなものだね。学生の為に動いている人たちなんだ。でもなー文芸部の人たちはあまりに……」


 思わずポカンとしていた。先輩たち、特に彩さんや槭先輩は、すごく人に慣れていると感じていただけにに、カラクリの裏側を知ってしまったみたいで開いた口が塞がらなくなってしまった。


「ちょっと、月渚っち? し、刺激が強すぎた? 悪いことをしているわけじゃないからね?」

「大丈夫だよ。そんな気は何となくしていたから、だからもっと知りたいの」

「えーとね、文芸部の人たちはあまりいいように思われていないというか……だから月渚が文芸部に入っていると心配かなあと」


 そうだったんだ。そうだよね、厳しいことを言われるのは嫌なことだろうし、学生の為にしてくれていることの全てが、いいことだけとは限らない。友達が離れていく……寂しいことだけれど、そうだとしてもせっかくの文芸部は離れたくない。


「マキちゃん。わたし、先輩たちに支えられているの。だから、たとえ喬子ちゃんたちがわたしから離れるとしても、文芸部でいっぱい本を読んで、そこから恋を知っていきたいの。マキちゃんも離れてしまう?」

「そんなわけないじゃん! 見た目だとか人づての情報で判断したっていいことなんかないよ。月渚っちは可愛いからね。初めて出会った時から何となく、これからずっと友達していくんだろうなーって思ってた」

「マキちゃん――!」

「月渚っち!? こ、こらこらこんなことで泣くほどのことじゃないからね?」

「でもでも、嬉しいの。これからもわたしをよろしくして欲しいの」


 たくさんの友達なんかいらない。一人だけの大事なお友達……そして、わたしの傍にいてくれる男の子がいてくれたら、それはとても幸せなことだと思えるんだ。

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