14.苦手意識の克服協力者
あぅぅ……まさかと思ったけれど、図書室で出会ったキツイ人が文芸のセンパイだったなんて。
「図書室の……んー? んんー? あーシェイクスピアちゃんだ!」
「え? シェイクスピア!? ち、ちがっ……」
「そっか、そっか~あの時のね。それで、その本はきちんと読めたの? 君には難しそうだったけれど」
「えと、あの……」
「アオイ! お前相変わらずキツイな。この子は後輩の月渚さんだよ。あんま怖がらすなっての。それにシェイクスピアちゃんとかって、それはあんまりだろ!」
「だって、事実だし。この子、見た感じは読書してそうな感じするけど絶対、マンガしか読んでなさそうな気がすんだよね。そうでしょ? ルナちゃん」
当たりです。シェイクスピアなんて読めないし、マンガがわたしの愛読書だし。だとしても認めたら、わたしはここにいちゃいけない気がする。
「そ、そんなことないです。あの、センパイ……お名前」
「あー忘れてた。私は紅谷 藍生! アオイでもベニでもどっちでもいいよ。センパイとかって呼ばないでくれると嬉しいかな。そういうのはそこのカエデセンパイに言ってあげなよ。喜ぶから」
「喜ばねえよ!」
「槭先輩……ダ、ダメですか?」
「あ、いや、今のはアオイに言っただけで、月渚さんにじゃないからね? ご、ごめん」
「へー? 優しいね。カエデ、この子って何、守ってやらなきゃいけない系?」
「ま、まぁ……そうとも言えるけど、お前に守ってくれとか言うつもりは――」
「おっけ! じゃあ、まずはカエデから守ってあげるよ! ルナちゃん、苦手そうだし。でしょ?」
「え、あ……は、はい」
「えええ!? お、俺のことも苦手なの? マジでショックなんだけど」
「カエデ、あんた分かってないだろ。ルナちゃんはカエデにじゃなくて、男が苦手な子なんだよ。その子があんたといて平気そうに見えたのは、相当無理してたってこと。それくらい見てたら分かったっての!」
この人もサイさんと似た感じの女性なんだ。サバサバしてて、だけどハッキリと言いすぎるからキツイ感じがする。マキちゃんもそうだけど、わたしってこんな感じのセンパイや友達と一緒にいないと克服出来ないのかな。そんな気がする。
「あ、あのっ! ベニさん。わたし……よ、よろしくお願いします!」
「ん、いいね。初々しすぎる! おっけ、サイと同じように私もルナちゃんをどうにかしてあげるよ。で、いい?」
「お、お願いします!」




