11.マキとわたし
マキちゃんとはわたしと入学式に体をぶつかったことがきっかけ。そのまま声をかけてくれたことで友達になれた。それから彼女は他の学生にも分かりやすいくらいに、堂々と遅刻をして来たリその場を仕切ったりして、何だかとても頼りがいのある女性にみえた。
そんな彼女に甘えようとすると、それは別だよ。なんて言葉が目から伝わって来て、多分それが本当の友達なんだって思えた。友達って互いが甘やかしていいものじゃない。それを何も知らないわたしに教えてくれている、それがマキって人なんだ。
「あはは……月渚っち、ごめんね。あんたに厳しくしすぎたかも~」
「う、ううん。わたしもマキちゃんに頼り切っていたから、だからおあいこ」
同じゼミの男の子たちはわたしたちの姿に、理解の出来ない顔をしていたけれど、考えてみればまだ一年も経ってなくてゼミも始まっていない状態。わたしとマキの関係性なんて分からないよね。もちろん、興味とかも持たないだろうけど。
「あれ、そういえば月渚は文芸部に入ったんでしょ? どう?」
「うん。先輩たちが優しくて、だからわたし頑張ってみたい」
「そかそか、同じ学部でもいつもあんたに絡めるわけじゃ無いし、友達が出来たって言ってもそれもまだ分からなかったけど、いいサークルに入れて良かったね。それって、月渚にはすごくいい傾向だと思う」
そうなのかもしれない。臆病すぎて甘えて、そのうえ知り合ってまだそんなに経っていない友達に、いつも一緒にいて欲しいだなんて言えないし、言ってはいけないことだよね。
「なになに? イケメンでもいたの? 紹介してよ」
「え? うん。カエデ先輩は格好いいし、優しいから怖くなかったよ」
「ほぅ~? そんな人がいるんだね。ま、とにかくさ、月渚の男子恐怖症もちょっとずつ直して行けばいいよ。それに関しては私も協力するからね。同じゼミの男子たちにも慣れた方がいいし、彼たちにも悪いよ」
平気な男子とそうじゃない怖いままの男子。この大学生活でわたしは自分を変えていかなきゃ。そして、願いを叶えて素敵な恋をしたい。




