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俺氏、なまたまご氏と話す

翌日、どんな顔をして柏木さんに会えば良いのか、などと考えていたのだが。


「山本さん、おはようございまーす」

「お、おはよう柏木さん」


いつもどおりの対応で、何が変わったと言うことはなかった。

ちょっと拍子抜けしたところでプロデューサー同僚、浪川氏が声をかけてきた。


「おっす、昨日はアレからどうだった? 俺の方は乗ってた電車が通過駅で人身事故してなぁ」

「……あ、やっぱりかー」

「まあ、あんまり話したい内容でもないけどな。でそっちはどうだったよ」


興味津々な顔で、こちらを覗き込んでくる浪川P。

そう言われてもなぁ。

特にこれといったことは無かったぜ、と前置きしてから、昨日あった事を彼に話したのだが。


「……お前ソレ、物凄く彼女に気に入られてるだろ」

「ンなわけないじゃないですか。目の前で腹の虫なったから憐れまれた、位なもんじゃないですか?」


それに、彼女を可愛いと思ったことはあるが、彼女にしたいなんておこがましい事は考えたこともない。

そうこっそり告げたところ、思いっきり首を傾げられた。


「お前、彼女欲しいんじゃないのか?」

「欲しいですけど?」

「……それじゃ脈ありそうな娘を誘ったりしてみたらどうだ」

「いや、俺なんかに誘われたら迷惑でしょ」


もうちょっと、見た目だけでもマシになってから、と思うのは、そういう部分も考えてのことだ。

横を歩く男が今の俺みたいなのだと、趣味が疑われるって話だわ、と。


「お前ソレ、断られるのが嫌なだけだろ」

「うっ」

「百パー安牌の目が出ないと前に進めないとか、そりゃ彼女もできんわ」

「ううっ」

「ソレかアレか? 他に良いなと思って狙い定めてるのが居るとかか? ソレならわからんでもない」

「……いえ、いませんが」


と言うか、町中歩いてたら見た目だけなら良いなーと思う人なんてゴロゴロいる。

相手してもらえるなんてい思っちゃいないから、アクションに移すなんてこともしないけど。


「ていうかさ、俺らって言うかヲタク連中がみんな嫌ってるヤンキーとかな。あいつらこれと思ったの見つけたら強引とかそんなの関係なしに突っ込んでくからな。その点だけ考えたらあーゆーのが家庭持つのが早いってのもわかるってもんだわ」

「お、おう。せやな」


手の早さだけならあっち方面の人にヲタクはかなわない。

ヲタクは御託を並べるのは上手いけどな……。

最近ではヲタ系統のオフでそういうのが居るとかいう問題が出てきてるけれど、ありゃヲタ界隈にその手の連中が入り込んでるんじゃないかとつい考えてしまう。


「俺だって大事に大事にしてたんだぞ……それを……くっ」

「お、おう、すんません」


なんか浪川Pの古傷が開いてしまったので朝の会話はココまでとなった。

スマン、本当にスマン。

彼の元嫁との離婚騒動は、某まとめで拝見したが……。

性的な満足感を得られなかった、というのはそれほどにアレなのだろうか。


「アレってなんですか?」

「アレっていやアレだ。せ……いやなんでもない」

「……? 昨日はお父さんたちのお酒にまで付き合ってもらってすいませんでした。終電、大丈夫でしたか? あ、はいコーヒーです」

「あ、ああ、終電より一個前に乗れたよ。コーヒーありがとう、いただきます」


一人考え込んでいると、柏木さんがコーヒーを持ってきてくれていた。

思わずセックス! と答えかけたが。


「昨日は本当にありがとうございました。安心して帰りの電車に乗れたの久しぶりです」

「ああ、役に立ったなら良かった」


律儀だ。

ほんと、お局様にも可愛がられるの理由がわかる柏木さんである。



「てな事があってな」

『おま……昨日そんなこと一言も言ってなかったじゃねえか。ていうかその娘、めっちゃ脈ありなんじゃね?』


昼休み。

メシを食いつつ「なまたまご」氏に昨日あった本当のことを語った。

流石に黙っているまま、という選択肢は取れなかったのである。


「なお今日の昼飯は」

『んなことはどうでもいいからその娘と付き合いたいのかどうかを語れよ』

「正直付き合いたいとかそういう次元ではない。と言うか、すごく普通のお嬢さんだぞ。ヲタバレしてる俺と普通に口聞いてくれるんだぞ」

『女神か』

「いや天使だ」


んなバカなことをメッセージでやり取りしながらコンビニ弁当である。

いつもならこれにカップラーメンが付くのだが、彼との計画のために食欲を押し殺したのである。


「見た目はあれだぞ、ハイスクール!戦車組の主人公みたいな感じだぞ」

『まさかの軍神似!?』

「いや、ソレそのものじゃないからな流石に」


可愛いのは正義。

でも俺的には、どちらかと言うと可愛い系より綺麗系のほうが好みでは有る。

そう、ハイスクール!戦車組で言えば、軍神よりもその母親の方が見た目的には好きだ。

それはともかく。


「そいやお前さん、リアル女性としてはどんな人が好みなんだ?」

『俺は小柄な娘がいいな。できれば合法ロリ』

「現実には居ないからあきらメロン」

『だが断る』


俺も相当なアレだがコイツもかなりこじらせてるなァ、やっぱし。

もう二次元相手で良いのかもしれない。


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