表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

俺氏、取捨選択を考えつつ洗濯をする

 帰宅。

 そして持ち帰った荷物を片付ける。

 いつもはその辺に放り出して「また後で」となるところだが、今日からの俺はちゃんとする。

 種類ごとに分別して収めるところに収める。

 正・副・予備・布教用などという事をしていた時期もあったが、流石に今はそんなことはしない。

 予算も置く場所も今のところ余裕が無いのだ。


「さて……と」


 着ていた服を脱ぎ、部屋着に着替える。

 ジャージとスウェットと作務衣を着まわしているが、今日はジャージである。

 着ていた服を洗濯機に放り込む、前に。

 中に入っている乾燥まで終えた洗濯物を取り出す。


「全自動洗濯乾燥機すごく便利」


 転職してこっちで一人暮らしする事になった際に、親から送られた全自動洗濯乾燥機である。

 ズボラな俺でも、いやズボラな俺だからこそ、コレの威力はスゴくわかる。

 俺の一ヶ月分の給料では足りないお値段するのに後でびびったが、とても助かっている。

 ありがとう、父上母上。

 そんな便利家電を有効利用するために、なんでもまとめて放り込めるようにと、買う服はすべて色落ちのしにくい色合いの、乾燥機対応の物を買っている。

 見た目なんて知ったことかと。


「この辺も考慮に入れるべきか……」


 服装に気を使うなら、全部が全部乾燥機対応などと言ってられないだろうし。

 増やすのは構わんのだ。

 俺の持っている服など、家具の池屋で買ったワードローブと収納ケースの一つずつで収まる程度の量しかないのだし。

 なおタンス、などという物はない。


なまたまご氏(あいつ)はどれくらい服持ってんだろ」


 まあ俺と似たようなもんだろうと考えながら、洗濯機から取り出した服をカゴに放り込み、代わりに汚れ物を洗濯機に突っ込む。

 洗剤をセットして後は機械におまかせである。


「さてさて。髪も整えたし次は服装から、と言うにはお世辞にも潤沢とは言いにくいが……服の在庫チェックだ」


 ワードローブを開き、中身を改めて眺める。

 洋服の赤山とAKAKIで買った安物スーツが二着に冠婚葬祭用のが一着に、膝丈のコート。

 ソレ以外はジーンズが数本と、綿のパンツが1本、後は夏の部屋着に使う短パンがいくつか。

 上着は冬用には軍用流出品のNB3とMA1に、肌寒い程度の時用のパーカーがある程度。

 スーツの内一着はいまクリーニング屋にある。明日にでも取りに行かねば。

 ジーンズは量販店で適当に買ったやつだし、綿パンは会社の接待ゴルフに連れて行かれた時に買わされた奴だ。

 その時一緒に買わされたポロシャツもある……袖を通したのはそのゴルフの時だけだが。

 NB3やMA1は、流行り廃りとか関係なく軍用だから買った品だ。

 若干ミリタリーに気が向いてた頃も有ったので。

 その他、仕事用のシャツは10枚ほど、私服の襟付きシャツはボタンダウンの物も含めて5枚位。

 Tシャツは色んなのが20ほどある。

 キャラ物Tシャツは、俺は買っても着ない派なのでココには含めない。

 あとは下着類か。

 パンツはボクサーパンツである。

 トランクスは擦れて嫌いなのでパス、ブリーフは……なんかソレを着てる自分の見た目が嫌だったのでやめた。

 肌着のシャツは半袖・長袖・ノースリーブの三種でそれぞれ5枚ずつくらい。

 最初、Tシャツを肌着代わりにも使うから要らないと言ったら、親に怒られて別に買わされた。

 ノースリーブの事をランニングシャツと言ったら母に「若いのに」って笑われたがなんでや。

 靴下は仕事用のが10ほど、私服用のが5本指ソックスで同じく10ほどあり、全部同じ柄で統一してある。

 合わせるの面倒くさいからな。

 あとは、冬着だな。

 部屋で着るドテラ。

 タートルネックに、ジッパーで前が開くタイプのセーターに、マフラーと手袋もあるな。

 かさばるやつは収納ケースに入れっぱなしである。

 そろそろ出しとく時期だな。

 しかし、先のランニングシャツもそうだが、タートルネックのセーター、トックリのセーターって言ったら母親に笑われたが、何がイカンのか。


「ふう。意外と有ったな」


 今ある服に対して、改めて関心を向けたわけだが、思っていたよりも数があった。

 あくまでも俺基準であるが。

 他の人に言わせれば日常生活はなんとか、と言われる程度なのかもしれないが、俺的にはまあまあな気がする。

 しかし、これはアレだな。


「誰かにアドバイスを貰う必要があるな」


 一般的な見た目を目指すと決めた以上、一般人目線からの忠告は必要だろう。

 俺やあいつの思い込みで進めて間違っていた日には、労力はともかくなけなしの金が飛んで行くだけになってしまう。


「とは言えこんなの聞ける相手ってなぁ……」


 居たら苦労しないんだよなぁ……。

 ファッション雑誌でも買って、ネットで調べて考えるしかないか。

 とりあえずの衣類チェックを済ませた俺は、翌日の仕事の事も考え、さっさと布団に潜り込んだのであった。


 ★


 朝である。

 月曜日である。

 会社に行きたいくないでござる。


「とは言え仕事しないと暮らしていけないでござる。ああ宝くじの一等にでも当たらないかなぁ。贅沢言わないから5000兆円ぐらい」


 んなことを言いながら駅まで歩く。

 通勤時間帯の電車に乗るのは嫌だが、乗らなきゃ会社に行けないし仕方がない。

 座席は埋まってしまっているが、車内はまだ混んでいない。

 俺の乗車する駅近辺ではまだましだ。

 これが都心に近くなってくると、動くのも厳しくなってくるぎゅうぎゅう詰めとなっていく。

 ソレを嫌って自転車通勤をしている強者もいるが、天気悪い時大変らしいので俺的には勘弁である。

 とはいえ。

 毎日同じ時間に同じ搭乗口から乗っていると、見慣れた顔も出来てくる。

 可愛い系とか綺麗系の女子高生とか。

 秘書でもしてるのかって感じのキリッとしたお姉さま系のスーツ姿の女性とか。

 ついお姉さんと言っちゃうが、きっと俺より若い。

 なんとなく言っちゃうよね、ああいうタイプの女性だと。

 ああ、男子高校生とかびしっとスーツを着こなしてるキャリア系っぽい兄ちゃんも居るけど記憶の片隅からすぐ消え去るから気にすんな。

 しかしこうして意識してみると、似たような服を着てても着こなしってのの差だろうか服のお値段の差だろうか。

 ダンチである。

 比較対象は俺ではない。

 見える範囲の全員相互で、である。

 スーツにしても、学校の制服にしても、デザインはほぼ似たり寄ったり。

 であるにも関わらず、圧倒的に差がある。

 理由としては体型もそうだし、着こなしと言うか姿勢もそうだ。

 そしてやはり髪が整っているのとそうでないのとではかなり差がある。

 あと、靴だ。

 これで印象がガラリと変わる。

 「足元を見る」という言葉の意味がわかった気がする。

 何を選んで着れば良いのかはわからんが、こうして実際着ている人をそういった目線で見ると、参考にはなるな。

 っと、あんまりジロジロ見ては失礼だ。

 スマホでも弄りつつ、たまに視線を彷徨わせて見る感じにしよう。

 ココ最近ずっとやっている、過去の英雄に戦わせるソシャゲと軍艦擬人化ソシャゲを二種、計三種をかわりばんこ起動させて楽しむのが、俺の通勤時間帯の時間つぶしである。


「っと、SSRの戦艦キタ」


 任務をこなして貰った石で建造したら、未着任の船が来たでござる。

 朝から縁起のいい事である。

 む、そろそろ人が増えてきたな。

 端に寄るか。

 出来るだけ降りる駅の出口側の方に移動しておかねば。

 俺の降りる駅付近までは、まだなんとか手元に空間が確保できるのだ。

 そこをすぎると、もうアレだ。

 腕を動かすのも厳しいレベルに混むんだから恐ろしい。

 もうじき俺の降りる駅だ、という頃になって。

 俺の直ぐ側に居る、キリッとしたお姉さん系の女性がこちらをチラチラ見ているのに気がついたのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ