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治る身体の異世界ライダー  作者: ツナサキ
二章 死の蔓延する国
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二章23 この出会いが全てを壊す

 結局俺たちは森近くの街まで戻って来ていた。

 戻って来たのは俺ことヨル、ハティ、ロロの三人。


 腐った従者が発見されたことにより危険度が高まった。ガルディアはそう言っていて、そのため危険が無いからと誘われた俺たちは街へと戻って待機と言われたために今ここにいる。


 ガルディアはロロを連れて行くか迷っていたようだが、結局俺たちに同行させ、エルを連れて二人はそのまま森の奥へと向かっていった。

 ロロなら連れて行っても問題は無かったとは思う。ロロはスキルを使った近接格闘ならば俺なんか手出しが出来ないぐらいに強い。だが連れて行かなかった。


 俺の護衛とするためだろう。


 調査している最中に俺が危険な目に遭わないようにロロを置いて行ったに違いない。


 別にふてくされている訳ではない。

 だからふてくされて街中を散歩しているわけではない。そう、決して。


 「綺麗な街、だな」


 俺は道端でふと止まり、辺りを見回しながら呟いた。

 この森近くの街は綺麗な所だった。王都にあった工業などのドス黒い煙を吐く施設は一切無く、至る所に街路樹のようなものが生えている。田舎というには発展した建築物が多数見受けられる都会じみた所だ。


 そうだ。

 森の調査は出来ないけど、街の人に話しを聞いたり位は出来るはずだ。調査も出来て、観光にもなる。


 「よし、じゃあハティとロロを呼びに」


 「こ、こんにちは」


 腕を組みながら考え込んでいた俺は閃きと同時に振り返ったのだが、その瞬間背後から声が聞こえた。振り向くとそこには三人の子供が見える。子供と言っても俺と同じくらいの背をした子供、面識は無い、女の子の三人組だった。

 短髪の子と、長髪の子二人。俺に話しかけてきたのは短髪の子だ。


 「こんにちは」


 俺はとりあえずそう返す。

 何だろうか? 別に知り合いでもなければ俺が何かしたわけでもない。俺はただぼんやりと街中を歩いていただけだ。


 「初めて見るけど、旅の人?」


 俺が考え込んでいると短髪の子がそう呟く。


 「んーと、まあそんなとこ。知り合いがこの街の近くに用があったから俺も付いてきたんだ」


 そう言うと納得したような態度を短髪の子がとるのだが、その後ろの子が更に質問を返してくる。


 「……もしかして男の子?」


 そう来たか。

 確かに現在は俺の白黒の髪は肩にかかってくるまで伸びており、それを遠目から見ればさぞ女の子に見えるのだろう。さっぱり綺麗に切っておけばいいんだろうがどうにも髪を切るのがめんどくさいし、気にもならないからそのままにしていたんだけど。


 「そだよ」


 「ホント!?」

 「キャーお人形みたい!」

 「可愛いー!」


 「ちょ、あだっ!」


 軽くそう返事すると今度は三人が俺の周りを取り囲むように周囲に展開する。

 その目は珍しいペットを見るような目つきをしており、時々俺の髪が引っ張られる。


 「これ地毛!?……うわぁ地毛だよ!」

 「綺麗な目! 黒っぽいけど赤い? ガラス玉みたい!」

 「意外と筋肉あるー」


 「おい一人だけセクハラしてきてるんですが!?」


 それぞれが俺の身体を見るために顔を接近させてきており、ちょっと俺はうろたえていたのだが、背後から回された手が俺の腹筋辺りをワサワサとまさぐる。くすぐったくて自然と背筋がビンと伸びる。


 「ちょっと! 何すんのさ!」


 俺はまさぐられている手をどかし、少女たちの包囲網から逃れてそう言う。すると少女たちは顔を見合わせながら、


 「だって、君の事遠目に見て『人形みたいに綺麗な子が歩いてる』って思ったからつい」

 「女の子なのかなって思ったけど男の子なのね!」

 「こういうのもありだよねー」


 「「「ねー!」」」


 随分仲の良い少女達だな。息ピッタリだ。

 ただ頭やら顔面やらを初対面でグリグリ撫で回してくるのはやめて頂きたいものだが。


 「ねえ君。この道をあっちに歩いてたけど、この先に行くつもり?」


 長髪の子らが俺の髪を弄り回していると一足先に俺の髪を堪能し終わった短髪の子がそう聞いてくる。その子は俺が考え事をしながら歩いていた先の方を指差していた。


 「そうだけど、何か不味い事でも?」


 「あっちの道には何も無いよ。一応林があって道もあるんだけど」


 「じゃあどうして道があるんだ?」


 「林の中に滝があるの。あるんだけど最近物騒だからって通行止めになってるの」


 「あ、ホントだ」


 歩いているときは考え事をしていたために気付かなかったが、後ろを振り向いて確認してみると道の真ん中に通行禁止の立て札があるのが確認できる。


 「だからここは進んじゃダメだよ」


 「そうなのか……でも監視してる人いないみたいだけどこの道沿いに林の中から従者襲ってきたりしないの?」


 「今は、休憩中かな。いつもはいるよ」


 お茶しにでも行ってるって事か。

 その隙に入り込まれたらどうすんだよ、と突っ込みたくはなるがずさんな辺りそこまで危険という訳でもないのかな。


 「というかいい加減俺の髪弄るのやめい!」


 話している最中も俺の髪を弄り回していた少女達の腕を強引に振り払う。珍しいのはわからんでもないが見ず知らずの他人の髪を弄りに行くか普通。いや、この位の子供なら普通なのか?


 「えー減るものじゃないでしょー」


 「くすぐったいのですよ!」


 「ほら二人とも、私たち早く戻らないと心配されちゃうよ。お使い行かないと」


 短髪の子がまだあきらめずに俺の髪に触りに来ようとしているのを止めるように声を掛ける。姉妹には見えないがどうやら短髪の少女がリーダー格なのは間違いない。他の子たちは渋々と引き下がって行った。


 「いつまでここに居るの?」


 「んー、数日かな」


 「じゃあまた会ったらゆっくりお話ししよう!」


 そう言うと短髪の少女は二人の手を引いて街の方へと消えて行った。


 「あ、名前聞き忘れたな。まいっか、また会った時にでも聞くか」


 そう俺は誰もいない道の端でそう呟いた。

 そう、誰もいない。考え事をしながら歩いていたらいつの間にかこんな端までいてしまっていたとはいえ、街の中心からはまだ人々の生活音が聞こえてくる。

 この辺りでは人の動くような音はほとんど聞こえなく、静かで何かに集中するなら適した所なのだが、


 だがそれは滝へと続く林の中から聞こえてきた。


――っ


 「え?」


――こっちに来て


 「この、声は?」


 声の様なものが聞こえる。

 よく聞き取れないが低い男の声には聞こえなかったため、恐らくは女性の声だろうか。


 「助けを呼んでる……のか?」


 それ以外には考えられない。

 何せこの先は短髪の少女が通行止めになっていると言っていた。ならば誰かが謝って入り込んでしまい、怪我でもして助けを求めていると考えるのが普通なのだが。


 「しょうがねえ、行ってみるか。これだけ街に近ければ危険もそんなに無いだろうし」


 覚悟を決めて俺は林の中へと入って行くことにした。

 林と言っても街に隣接しているだけあって流石に林であるため先程入り込んだ森よりかは木々の密度が低い。それに加え道として草木の無いあぜ道があるため歩く分には困りはしなさそうだ。


 「誰もいねぇな……」


 道としては一本しかないため林の中に兵士が入って行っていないならば必ずかち合うはずなのだが、いまだに人の姿は見えない。俺は林の中に視線を送るが生物の気配は感じられなく、どうやら小動物も見えないような小さな林のようだ。

 そうして恐る恐るではあるが林道を歩いていると、道の先に何か光るものが見えてくる。


 綺麗な水色をした、くずれた円のような形のものだ。それなりに大きいようでそれを避けるようにその部分には木々は生えていない。

 陽光を乱反射させて輝く水面、耳に響く涼やかな水音。


 滝だ。


 大きさ的にはハティの家の湖のほうが圧倒的に大きい。あれに比べると水溜りと言っても良いほどの大きさである。流れ落ちる滝もちょっとした丘の上からほんの少し流れているだけであり、水が溜まっている部分も精々人が泳げる水深があるかどうかという感じだ。

 ちなみにハティの家の湖は中心まで行くと足が付かなくなる。たぶん大人でも。


「あれがさっきの女の子が言ってた滝か」


 ここまで兵士と会わなかったって事はここにいるはずなのだが、そう思い俺は前の滝を覗き込むようにして前へ進む。

 それはそうして進んでいたときだった。


 小さい水音が連続的に聞こえてくる、魚が跳ねるような音ではない。


 「水音……? 誰かいるのk」


 そこまで呟いた時、水の溜まっている湖と言うか泉の部分にのほとりに人影が見える。


 黒く綺麗な長髪が特徴的で、湖に何も履いていない素足を入れて水面に波を立たせている。その視線は微笑むように目を細めながら水面に向いており、泉の淵にある大きい岩石に腰を下ろしていた。


 服装はあれだ。

 ハティが前に来ていた薄いワンピースを連想させる。総じて身に着けているものはその黒いワンピースだけ、それに林の中の湖ということも相まって幻想的な風景を俺の目は映し出していた。


 「女の子……?」


 俺はそう呟く。

 だが俺と少女の距離ではこんな呟きが聞こえるはずも無く、少女が俺に気づくはずも無いのだが、少女は俺の呟きに反応するようにこちらを振り向いた。


 綺麗な人だった。

 年齢、雰囲気などはエルに近く、ハティや俺よりは年上に見える。可愛いというよりは引き寄せられるような可憐さがあり、その表情は俺を見たというのに穏やかなままだった。


 一瞬従者なのではないかとも考えたのだが、あの血色の良い表情は死人のそれではない。だがそうなると立ち入り禁止の湖に少女がいるということになるのだが、


 俺は少女と見つめあったまま思考を巡らせていると、黒髪を揺らしながら少女は俺の方へと手を向ける。

それは魔法で攻撃するだとか、来るなと拒んでいるようには見えず、『こっちに来て』と誘っているような仕草だった。


 しかしながらここが街の近くとはいえ、林の中である以上従者が出ないとも限らない。そんなところでこの少女は何をしているのだろうか、涼みに来たとしても立ち入り禁止だしな。

 つっても子供が立ち入り禁止の所に入って遊んでるなんて不思議でもないのか?


 「アルシア」


 「え?」


 「私の名前だよ」


 俺は少女に誘われて林から抜け、泉の方にいる少女に近づいていく。すると声が届く範囲に入ったとたん、少女は自身の名前だという単語を口にした。


 「君の名前は?」


 「あ、ああ。ヨル、ヨルっていいます」


 「初めましてヨル君。ここで何をしているの?」


 「え、あ、いやその」


 それ俺の台詞なんだけど。

 だが少女はまるで自分が後から来たかのようにそう言い、こちらに視線を向けてきている。


 「こ、こっちの方から声が聞こえて、君の声だったのかな?」


 俺はとりあえずそう質問する。するとアルシアと名乗った黒髪の少女は小さく微笑み、


 「一人で歌を歌ってたからそれかな?」


 とこちらに視線を合わせて返してきた。

 彼女はそう言うがいくら歌っていたとはいえ、林をはさんだこの距離で聞こえるかどうかは怪しいところなのだが、


 「どうしたの?」


 「わっ!?」


 少し考え込む俺の顔を覗き込むようにアルシアは顔を近づけてくる。急に綺麗に整った顔が視界に現れたため俺はその場で後ろにしりもちを付いてしまう。


 「あっ、大丈夫?」


 「だ、大丈夫」


 結果的にアルシアに押し倒されているような状態になっているのだが、そんなことは気にならないとばかりにアルシアは頭に?マークを出すような顔をしている。


 「き、君はここで何をしてるの?」


 俺がそう聞くとアルシアは倒れた俺の隣へと座り込み、


 「ここ綺麗だから」


 「でも立ち入り禁止だよここ」


 「……なら余計に来たくなるなじゃない?」


 アルシアは水面を見ていた視線を俺の方へと向き直し、はにかみながらそう言う。

 彼女はかなり表情が豊かな少女だ。嬉しそうなときの笑顔は心底嬉しがっている様に見えるし、疑問がある時はキョトンとした顔をする。出会ったばかりでもわかる程だ。

 だが現在の笑っているその表情は何と言うか、危険さすら感じられるような可憐な笑顔だった。


 「ねぇ! ヨルって呼んでもいい?」


 「ああ、いいよ」


 「ありがとう! 私の事はシアって呼んでいいよ!」


 アルシアはそう言い嬉しそうな表情を俺に見せながら顔を近づけてくる。


 「ねえヨルの髪変な色してるね!」


 「変って……まあ変な色してるけどさ」


 どうやら当たり前なのだが初対面で相手に俺が与える一番大きい印象というのは、やはりこの髪のようだ。

 王都では緑やら黒やら赤やら、実に多種多様な人達もいたが流石に白黒二色は目に付くらしい。


 「でもいいねー、まるで自己主張してるみたい。これが自分だ―って!」


 「あはは、そりゃどうも」


 「ねえ、お父さんもお母さんもそんな髪色なの?」


 「うーん、ゴメンちょっとよくわかんない。親の事は知らないんだ」


 そう言うとアルシアは不思議そうな顔をして『そうなの?』と呟いた後、その辺に落ちていた小石を拾って湖へと投げ始めた。


 「ねえアルシア。街に戻らない? 一応ここ立ち入り禁止だし、危なくないかな?」


 「シアって呼んでよー……大丈夫、大人がそう言ってるだけでここには危ない生き物なんか一回も来た事無いんだから!」


 何故か自慢げにアルシアはそう言い、そしてそのまま言葉を続ける。


 「ねえヨル。ヨルはそこの街の人じゃないよね? 何処から来たの?」


 「王都から来たんだ。まあピクニック的な感じで」


 本当は森の調査に来たのだが、置いてけぼりを食ってしまったしな。やっている事は街の散歩だけだし。


 「そうなの!? 私王都に入った事無くて、どんな所か教えてくれる!?」


 心底興味があるといった顔でアルシアは俺の腕を掴んでくる。どうやら王都に興味があるようだが俺も一年も住んで無いわけだからそこまで話せることも無いのだが。


 「それはいいけど、でもごめん。ちょっと散歩に出かけただけだから仲間が心配してるかも。だからそろそろ帰らないといけないんだ」


 俺はそう言い太陽を見上げる。

 太陽の位置はまだ頭上にあるものの沈みかけてきており、夕方の一歩手前といったところだ。ロロ達にはその辺を散歩してくると言っておいただけだし、そろそろ戻らないといけない時刻だった。


 「そう……」


 「アルシアも一緒に戻らない?」


 「私は……もう少しここに居る」


 「でも暗くなったら危ないよ?」


 「……じゃあ、街の所まで送ってもらえる?」


 少し迷った後にアルシアはクスリと笑い、岩場に置いたあったサンダルの様なものを履いた後で俺の手をギュッと握ってきた。突然手を握られたので少しドキッとしたが、アルシアはそのまま俺を立たせて街の方角へと歩き出した。

 傍から見れば年上の少女が年下の男か女かわからない子を連れて歩いているといった形になり、完全に粗相をして逃げ出した俺を連れ戻しに来ているといった風に見える事だろう。


 「べ、別に手を繋がなくてもいいんじゃない?」


 俺が恥ずかしそうにそう言うと、アルシアは俺をからかうような口調で、


 「だって、私を街までエスコートしてくれるんでしょう?」


 と言った。

 するとアルシアは意地悪な雰囲気を消してその直後にまた言葉を続ける。


 「ねえ、じゃあまた明日あそこの滝で会える? 王都の話を聞きたいな!」


 「ああ、あと数日はここにいるからまた会えるよ。友達を連れて行ってもいい? ロロって言うんだけどそいつなら俺よりも王都に詳しいからさ」


 「うん! 待ってる!」


 アルシアはとても嬉しそうに何度も首を縦に振り、笑みを浮かべている。その仕草がとても可愛らしい。


 そうこうしていると道の終わりが見えてくる。

 立ち入り禁止の看板が見え、その近くに椅子を置いて座り込んでいる兵士が見える。休憩から戻ってきたのだろう。


 「どうしようか、見つかったら怒られそうだなぁ」


 「大丈夫。ちょっと待ってみよう?」


 「?」


 というのも入口に兵士がいて見つかるため通れないのだが、アルシアは少し待とうと俺の木の陰に連れ込む。そして座っている兵士の様子を後ろから眺めていた。

 すると暫くもしないうちに兵士は立ち上がり、何かを確かめるように倉庫のような建物の間へと入って行く。今あそこを通れば見つからずに街へと入ることが出来るだろう。


 「警備ガバガバかよぉ」


 「さっき私たちがいた滝までがこの街だから、警備も堅くないみたいね。むしろあっちの大きい森の方に警備が集中してるみたい」


 アルシアはガルディア達が調査している森の方角を指差す。

 確かにあっちからの敵襲っていうのはありそうではあるが、それを踏まえてもザルなんだよなぁ。


 「ヨル、エスコートありがとう。ここまでで大丈夫だよ」


 「そう? じゃあまた明日会おう!」


 「うん、またね」


 そうしてアルシアとはそこで別れ、俺はロロとハティが待つ宿屋へと向かって走り出した。この時刻なら森を調査しているガルディアとエルも夜道を避けるために帰ってきている頃合いだろう。


 それにしてもあのアルシアって少女、とても綺麗だったな。

 ちょっと天然と言うか、不思議さを感じさせる印象はあったけど、正直ロロが見たら惚れるかもしれんな。


 「……ん?」


 俺は先程アルシアとした会話を思い出しながら走っているとふとある事に気づく。


 「俺、アルシアと会う前に少女三人組と会ったよな?」


 短髪の子が印象的な三人組だ。

 林の道に入っちゃダメだと教えてくれてめっちゃ髪引っ張られたあの三人組。


 「もしかして男の子? って聞かれたな。まあ髪切ってないしそう見えるのかもしれんが……アルシアは俺の事最初からヨル君・・・って呼んでたような」


 思い返すが一番最初の辺りはアルシアを発見した時の印象が強すぎてよく思い出せない。


 「違ったかな? 普通に一人称の俺っていうの聞いてそう思ったのかな?」


 更に思い出そうとするがよく思い出せない。

 むしろアルシアの可憐で豊かな表情だけが脳裏に張り付いている。あ、笑った可愛い。


 「まあいいか、別に気にするほどの事じゃないか」


 俺は考えるのはやめにして、自然と歩きにスピードダウンしていた自分の足を更に速く動かすのだった。

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