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5.婚約成立

王宮へ赴くため、普段の服でいくわけにいかず、正装をきることになる。レンディア公爵家の紋章入りのお母様がデザインしてくれたドレスだ。ドレスには、先日シャルル殿下からいただいた「紅の薔薇」をふんだんにつけてある。頭にもつけて、まるで薔薇につつまれた気分になる。用意が整ったところで、普段ならテレポートでいくところを、王家とつながる魔法の扉をつかって、王宮へとすすむ。すでに先触れの鳥をいかせてあるから、咎められることはない。


「お待ちしておりました。レンディア公爵令嬢、フィオレンティーナ様。こちらへどうぞ。殿下がお待ちにございます」

「ありがとうございます。あの、どちらへむかうのでしょうか?」

「つけば、おわかりになるかと思います。私からは、申し上げることができません。殿下ご自身から語られることかと・・・」

「わかりました。無理をいってしまい、すみません」


いいえ、構いません、と返してくれた案内の家令のようなひとは、優しく微笑んでくれた。王宮内で使う転送魔法装置のおかげで、余計な魔力を使わず、移動することができる。移動した先は、王宮内の中庭のようだった。きれいな花々が咲き乱れ、鳥たちのさえずりがきこえる。陽光がまぶしく、手をかざして空をみあげたら、空は雲一つないきれいな空だった。中庭にひとをみつけ、みてみるとシャルル殿下だった。


「ようこそ、僕の春の女神。待っていたよ、君をこの中庭によべる日を」

「シャルル殿下、お久しぶりにございます。先日は、綺麗な薔薇をありがとうございました。今日はお返事をしに、参りました」


殿下のそばまでいき、見上げると真剣な瞳のシャルル殿下に、どきっとする。みつめあったまま、先に口をひらいたのはわたしだった。


「――――この薔薇は王家からの求婚の意を表すと、お兄様たちに聞きました。わたしはまだ12歳です。それでも・・・?」

「そうだよ、フィオレンティーナ嬢。僕は、君でなければだめだ。初めてみたとき、感じたんだよ。この人が、僕の運命の相手なんだって」

「わたしが承諾した時点で、婚約は成立します。王家の式典法にともない、取り消しは不可能です。それでも構わないというのであれば、お受けいたします」

「承諾してくれますか、フィオレンティーナ・セリス・レンディア嬢」

「はい。承諾します、シャルル殿下」


そっと跪くと、額に殿下の指がふれ、まばゆい光を放ったと思ったら、額に宝石をちりばめられたサークレットがはめられていた。王家と婚約関係が成立した、ということがこれで証明される。ゆっくりと、たちあがるとにっこりと微笑まれる殿下。つられて笑ってしまう。そんなに嬉しそうにされると、少し恥ずかしくなってしまう。サークレットがはめられたことにより、レンディア公爵家は一貴族から、王家との婚姻関係が作られたことになる。


この出来事があってから、3年の月日が実にたつこととなる。わたしは15歳に、シャルル殿下は19歳になられ、これより本格的なお妃修行に入ることとなる。

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