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仲間を追放する勇者ですが、心を入れ替えて仲良くします

作者: 井上さん
掲載日:2026/03/19

名前を借りました


名前の由来が分かる方、今日もお仕事お疲れ様です!

「もうすぐA級の冒険者だ!」


「がんばったなぁ」


 宿で夕食をとっている時、仲間達は盛り上がっていた。



「お前みたいな役立たずはいらない!」


 剣士エキスカが、冴えない眼鏡のヘーベルに言い放つ。


「え?」


 ヘーベルが、驚いた顔をする。


「お荷物なんだよ!何もできないくせに」


「早く出てけよ」


 ルートチップやリーマーも、睨みつけて言った。


「分かったよ…」


 ヘーベルは、トボトボと宿を出て、歩いていった。



 しかし、エキスカ一行は、その後、魔物を狩れなくなり、評価が落ちる。

それは、ヘーベルがデバフを掛けて魔物の力や素早さが落ちていたから、魔物を狩れていたからだ。


その事を知って、仲間に戻そうとしたが、ヘーベルは既に、新しい仲間と楽しく冒険していた。


結局、もうすぐA級の冒険者になる予定が、最下位のF級に戻ってしまった。

デバフのお陰だったのを、実力と見誤ったからだ。調子に乗って、転落した。




 と言う小説を読んでいた。

読みながら寝落ちしたらしい。


「もうすぐA級の冒険者だ!」


「がんばったなぁ」


 は?なにこれ?

目の前に、ヘーベルがいる。


横に座るルートチップが、俺をチラチラ見ている。


 もしかして、今からヘーベルを追放するのか!?

俺、剣士エキスカ!?


まさか…いや、ヘーベル追放しちゃダメ!


「ヘーベル!今まで悪かった!お前のお陰で俺達はやって来れたんだ!ありがとう!これからも、俺達の仲間でいてくれるか?」


 俺は、椅子から降りて、渾身の土下座をした。

今まで、強く当たっていたから、嫌われていても仕方ない。

 それに、新しい仲間に大切にされ、自分の価値を知り、幸せになるはずなんだ。


 ヘーベルを追放した事で、剣士エキスカ達は、魔物を狩れなくなり、評価がガタ落ちする。


「「「「えっ!?」」」」


 ヘーベルだけでなく、他の仲間達も驚いていた。

昨日、ヘーベル以外のメンバーで、ヘーベルを追放すると決めたのだから、驚くのは当然だ。


「実は、ヘーベルは魔物にデバフを掛けていて、魔物の力や素早さを下げていてくれたから、俺達は魔物を狩れていたんだ。だから、ヘーベルがいなくなったら、俺達は魔物が狩れない!」


 確か、冒険し始めた頃、ヘーベルが言っていたのだが、いつの間にか、それが当たり前になり、ヘーベルは何もしていないと思い込んでいたのだ。

 魔法攻撃や、回復もしていたのに。


回復は、コントラが派手な光で回復するから目立つ。


あまり目立ちたくないヘーベルは、ひっそりと、皆を支えていた。


「そんな事ないよ…」


 ヘーベルは戸惑っていた。


「そんな事ある!お前がいなければ、魔物は狩れない!俺は自分の実力だと自惚れて調子に乗っていた!だが間違いだと気付いたんだ!」


「そんな事は…」


「それなら、試してみよう」


 次の日俺達は、ギルドでC級モンスターを狩る依頼を受けて、出発した。


まずは、デバフ無しでモンスターと戦う。


しかし、中々致命傷を与えられない。

いつもなら、C級モンスター位は軽く狩れるのに。


「頼む」


 ヘーベルにお願いすると、デバフが掛かり、モンスターを狩る事ができた。


「本当だった…」


「出てけなんて言って悪かった…」


 皆、自分の実力ではなくデバフの…ヘーベルのお陰だと分かり反省した。


「これからは、大切にするから、仲間でいてくれ!」


 俺はまた土下座した。

他の仲間も土下座した。


「分かったから、土下座はやめて。仲間じゃないか」


 ヘーベルは、アワアワしながら言った。


良かった。ヘーベルが仲間でいてくれるなら、転落しないで済む。


「ありがとう!ヘーベル」


 俺達は口々にお礼を言った。






 数日後、俺達は念願のA級の冒険者になった。


ヘーベルを追放しなくて良かった。



けど、ヘーベルを拾って仲間になる冒険者達は、苦戦しているようだった。


 関係無い…けど、俺がヘーベルを手放さなかったから、苦戦しているのだ。

ちょっと罪悪感。


 ギルドで依頼を眺めているプローブとスケーラーの2人に声を掛けた。


「なぁ、ちょっと協力しないか」


「「え?」」


 2人は驚いてこちらを見た。


「実は、次の依頼を受けようと思ってるんだけど、雷雷狼竜を狩るの、2人は得意だろう?勉強させてもらいたくて…」


 2人は顔を見合わせた。


「A級の冒険者になったんだろう?何故私達に?」


「何級だろうと、勉強は必要だ。2人の技量は、見習う所がある。優秀な人には仲間になってほしいし」


「仲間?」


「人数は決まってないんだ。何人いてもいいだろう?」


「それは、まぁ…」


「上手くいかなければ、諦めるよ。1度で良いから、一緒に魔物を狩りに行ってくれないか?」


「分かったよ」




 ギルドで、依頼を受ける。

メンバーは、


エキスカ 剣

ルートチップ 弓

コントラ 回復、補助

リーマー 探索、罠解除

ヘーベル 魔法攻撃、回復、補助

プローブ 剣

スケーラー 回復



 ギルドで受付をしている時、通りかかったギルド長のエイヒが話しかけてきた。


「メンバーを増やすのか?」


「この2人が、雷雷狼竜を狩るのが上手いので、勉強させてもらいたくて」


 俺の言葉に、エイヒが片眉を上げた。


「珍しいな。どういう風の吹き回しだ?」


「A級になったんです。相応しい冒険者になりたくて」


「ふぅん…まぁ、がんばれよ」


「ありがとうございます」


 今までの、自信過剰で傲慢で偉そうだった俺ではあり得ない言葉に、何か裏があるんじゃ?と不審な目でエイヒが見ていたが、仕方ない。

 今までの態度が悪いからだ。




 ヘーベルには、デバフを掛けずにいてもらって、まずは2人に狩り方を見せてもらった。


 2人の技術は素晴らしいものがある。

ただ、剣士と回復の2人だけだから、複数のモンスター討伐などの依頼を受けられなくて、結果、級が上がらないのであった。


 その後、見よう見真似で俺達が狩る。

2人に良い所と悪い所を指摘され、気を付けながらモンスターを狩っていく。


 依頼をクリアし、ギルドに戻って話し合う。


「やっぱり、いつも同じメンバーだと、どこが悪いか分からないものだね」


「悪い癖がついてたな。見てくれて助かったよ」


「こちらこそ、お陰で級が上がった。ありがとう」


「人数がいるだけで、1人に掛かる負担が減るんだな…」


 お互いに得るものがあった。


話し合いの結果、2人もメンバーに入る事になった。


 ヘーベルを追放して落ちぶれる俺達と、ヘーベルを拾って成功する2人。


ヘーベルを追放せずに成功する俺達と、ヘーベルを仲間にできずに苦労する2人。


どちらが良いか、より、両方良くなるのが、ヘーベルを追放せずに、2人も仲間にする事だ。


 2人のレベル上げも手伝って、晴れて全員でA級の冒険者になった。


俺達は、今日も冒険に行く。


読んでいただきありがとうございます

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