仲間を追放する勇者ですが、心を入れ替えて仲良くします
名前を借りました
名前の由来が分かる方、今日もお仕事お疲れ様です!
「もうすぐA級の冒険者だ!」
「がんばったなぁ」
宿で夕食をとっている時、仲間達は盛り上がっていた。
「お前みたいな役立たずはいらない!」
剣士エキスカが、冴えない眼鏡のヘーベルに言い放つ。
「え?」
ヘーベルが、驚いた顔をする。
「お荷物なんだよ!何もできないくせに」
「早く出てけよ」
ルートチップやリーマーも、睨みつけて言った。
「分かったよ…」
ヘーベルは、トボトボと宿を出て、歩いていった。
しかし、エキスカ一行は、その後、魔物を狩れなくなり、評価が落ちる。
それは、ヘーベルがデバフを掛けて魔物の力や素早さが落ちていたから、魔物を狩れていたからだ。
その事を知って、仲間に戻そうとしたが、ヘーベルは既に、新しい仲間と楽しく冒険していた。
結局、もうすぐA級の冒険者になる予定が、最下位のF級に戻ってしまった。
デバフのお陰だったのを、実力と見誤ったからだ。調子に乗って、転落した。
と言う小説を読んでいた。
読みながら寝落ちしたらしい。
「もうすぐA級の冒険者だ!」
「がんばったなぁ」
は?なにこれ?
目の前に、ヘーベルがいる。
横に座るルートチップが、俺をチラチラ見ている。
もしかして、今からヘーベルを追放するのか!?
俺、剣士エキスカ!?
まさか…いや、ヘーベル追放しちゃダメ!
「ヘーベル!今まで悪かった!お前のお陰で俺達はやって来れたんだ!ありがとう!これからも、俺達の仲間でいてくれるか?」
俺は、椅子から降りて、渾身の土下座をした。
今まで、強く当たっていたから、嫌われていても仕方ない。
それに、新しい仲間に大切にされ、自分の価値を知り、幸せになるはずなんだ。
ヘーベルを追放した事で、剣士エキスカ達は、魔物を狩れなくなり、評価がガタ落ちする。
「「「「えっ!?」」」」
ヘーベルだけでなく、他の仲間達も驚いていた。
昨日、ヘーベル以外のメンバーで、ヘーベルを追放すると決めたのだから、驚くのは当然だ。
「実は、ヘーベルは魔物にデバフを掛けていて、魔物の力や素早さを下げていてくれたから、俺達は魔物を狩れていたんだ。だから、ヘーベルがいなくなったら、俺達は魔物が狩れない!」
確か、冒険し始めた頃、ヘーベルが言っていたのだが、いつの間にか、それが当たり前になり、ヘーベルは何もしていないと思い込んでいたのだ。
魔法攻撃や、回復もしていたのに。
回復は、コントラが派手な光で回復するから目立つ。
あまり目立ちたくないヘーベルは、ひっそりと、皆を支えていた。
「そんな事ないよ…」
ヘーベルは戸惑っていた。
「そんな事ある!お前がいなければ、魔物は狩れない!俺は自分の実力だと自惚れて調子に乗っていた!だが間違いだと気付いたんだ!」
「そんな事は…」
「それなら、試してみよう」
次の日俺達は、ギルドでC級モンスターを狩る依頼を受けて、出発した。
まずは、デバフ無しでモンスターと戦う。
しかし、中々致命傷を与えられない。
いつもなら、C級モンスター位は軽く狩れるのに。
「頼む」
ヘーベルにお願いすると、デバフが掛かり、モンスターを狩る事ができた。
「本当だった…」
「出てけなんて言って悪かった…」
皆、自分の実力ではなくデバフの…ヘーベルのお陰だと分かり反省した。
「これからは、大切にするから、仲間でいてくれ!」
俺はまた土下座した。
他の仲間も土下座した。
「分かったから、土下座はやめて。仲間じゃないか」
ヘーベルは、アワアワしながら言った。
良かった。ヘーベルが仲間でいてくれるなら、転落しないで済む。
「ありがとう!ヘーベル」
俺達は口々にお礼を言った。
数日後、俺達は念願のA級の冒険者になった。
ヘーベルを追放しなくて良かった。
けど、ヘーベルを拾って仲間になる冒険者達は、苦戦しているようだった。
関係無い…けど、俺がヘーベルを手放さなかったから、苦戦しているのだ。
ちょっと罪悪感。
ギルドで依頼を眺めているプローブとスケーラーの2人に声を掛けた。
「なぁ、ちょっと協力しないか」
「「え?」」
2人は驚いてこちらを見た。
「実は、次の依頼を受けようと思ってるんだけど、雷雷狼竜を狩るの、2人は得意だろう?勉強させてもらいたくて…」
2人は顔を見合わせた。
「A級の冒険者になったんだろう?何故私達に?」
「何級だろうと、勉強は必要だ。2人の技量は、見習う所がある。優秀な人には仲間になってほしいし」
「仲間?」
「人数は決まってないんだ。何人いてもいいだろう?」
「それは、まぁ…」
「上手くいかなければ、諦めるよ。1度で良いから、一緒に魔物を狩りに行ってくれないか?」
「分かったよ」
ギルドで、依頼を受ける。
メンバーは、
エキスカ 剣
ルートチップ 弓
コントラ 回復、補助
リーマー 探索、罠解除
ヘーベル 魔法攻撃、回復、補助
プローブ 剣
スケーラー 回復
ギルドで受付をしている時、通りかかったギルド長のエイヒが話しかけてきた。
「メンバーを増やすのか?」
「この2人が、雷雷狼竜を狩るのが上手いので、勉強させてもらいたくて」
俺の言葉に、エイヒが片眉を上げた。
「珍しいな。どういう風の吹き回しだ?」
「A級になったんです。相応しい冒険者になりたくて」
「ふぅん…まぁ、がんばれよ」
「ありがとうございます」
今までの、自信過剰で傲慢で偉そうだった俺ではあり得ない言葉に、何か裏があるんじゃ?と不審な目でエイヒが見ていたが、仕方ない。
今までの態度が悪いからだ。
ヘーベルには、デバフを掛けずにいてもらって、まずは2人に狩り方を見せてもらった。
2人の技術は素晴らしいものがある。
ただ、剣士と回復の2人だけだから、複数のモンスター討伐などの依頼を受けられなくて、結果、級が上がらないのであった。
その後、見よう見真似で俺達が狩る。
2人に良い所と悪い所を指摘され、気を付けながらモンスターを狩っていく。
依頼をクリアし、ギルドに戻って話し合う。
「やっぱり、いつも同じメンバーだと、どこが悪いか分からないものだね」
「悪い癖がついてたな。見てくれて助かったよ」
「こちらこそ、お陰で級が上がった。ありがとう」
「人数がいるだけで、1人に掛かる負担が減るんだな…」
お互いに得るものがあった。
話し合いの結果、2人もメンバーに入る事になった。
ヘーベルを追放して落ちぶれる俺達と、ヘーベルを拾って成功する2人。
ヘーベルを追放せずに成功する俺達と、ヘーベルを仲間にできずに苦労する2人。
どちらが良いか、より、両方良くなるのが、ヘーベルを追放せずに、2人も仲間にする事だ。
2人のレベル上げも手伝って、晴れて全員でA級の冒険者になった。
俺達は、今日も冒険に行く。
読んでいただきありがとうございます




