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第11項 護り手だった者

リズが眠る部屋を出たタディは、歯を強く噛み締める。



「正直、生きているのがーーーー状態です。もし目覚めたとしても、この戦争でのーーーーーーでしょうな。」



医師は何を言っていただろうか。先日以来、ずっと靄がかっている記憶をたどる。リズは、あれから意識が戻っていない。

タディは自室に戻るべく、廊下を歩み出す。



「タディ中将!ちょっと相談いいっすか?こいつの戦技、が...」


廊下ですれ違った兵士達は、タディに声をかけようとして固まった。タディの顔を見るなり、全身からおかしな汗が出る。


「す、すいません。やっぱ、自分らで何とかするっす。」


兵たちはすごすごと顔を見合わせながら去っていく。




バァンッ....ギギィ


ガタッ


部屋に帰るなり、乱暴に椅子に腰掛ける。今さっきタディによって閉められたドアは、あまりの勢いに閉まるなり嫌な音を立てた。


廊下を歩く人々が突如響き渡るノイズに、何事かと辺りを見渡す。


もちろん、音の元凶たる張本人は、そんな事を知る由もない。


「馬鹿野郎ッなんでだよ!

俺があんだけ、あんだけ言ったのに!

なんで、お前は昔から止まらないんだよ。なんで、俺は...」


タディの肩は、震えが止まらない。


『落ち着け俺、今は戦争に集中しねえと。俺まで戦えなくなってどうする!』


そうだ。そう。これ以上の犠牲は防がねばならない。

これは友人のための戦い。彼を救ってくれた、友人たちのための...


「俺、護れてねえよ」


〝これ以上〟とは一体何だろうか。軍にとっての〝最低限〟の犠牲はタディにとって〝最大限〟だった。

彼の呼吸が荒くなる。視界から彩度が失われていく。


「何のため、だったんだよ」


力なく言うと、タディは部屋を出る。


キィー.....パタン


扉は、もう叫ばなかった。

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