第1項 闇夜に生きる者
闇夜に生きる者は、光を憎まない。ただ、近づかないだけだ。
「ー以上が、次回の戦闘での作戦だ。各々配置と戦術をしっかり頭に入れておけ。これをもって今日の軍議は解散とする。」
俺は息をつくと席を立つ。革命を掲げ、宣戦布告したナウゾロフ帝国との戦争も早三年。大陸にある二つの国の均整は、呆気なく崩れ去ってしまった。
この三年で俺のギンダティア公国少将としての実績も、段々と積み上がってきた。だが同時に俺は、部隊の指揮や上司との交渉に追われ、着実に疲弊していくのを感じ取っていた。
「少将、このあとのご予定は?」
「しばらく部屋で休む。誰か訪ねてきても部屋に入れるな。悪いが、夜明けまで待機してもらっていてくれ」
「畏まりました」
俺は自室に戻り、大きな窓の前にあるベッドに腰掛ける。まぶたを瞑ると、疲労の原因でもある、今朝の報告が脳裏をよぎる。
「本当に何も見つからなかったのか?」
「はい。犯人を探るべく証拠を調査しましたが、それらしい痕跡は全くと言っていいほど残っておらず」
「クソ。これで四回目だぞ...ただでさえ人材が足りないというのに。」
胸のペンダントに手を当て、目を瞑る。
帝国なぞに何も壊されてなるものか。俺は誇り高き子爵家の嫡男だぞ。
「これ以上被害を出すわけにはいかんのだ」
「しかし、一連の犯行はやはり全て同一人物のようです。どの人物も、ダガーで背後から頚椎を一太刀でやられていました。」
「早く...早く犯人を探し出して処刑しなければ」
ふと目の前の自分の影が、闇に覆われた。
「なんだ?」
俺が後ろを振り向こうとした途端、
ピシャッ
意識が、途切れた。
目を見開きうつぶせに倒れる男に、リズは一瞥をくれた。
男は胸に手をやろうとして、しかしそれは叶うことなく事切れている。
大きな青い瞳に、無造作に切られた焦げ茶のショートヘア。闇夜と同じ色のマントを僅かにはためかせると、女は群青色の背景に消えていった。
この作品を手に取っていただきありがとうございます!
この物語が、皆さんの思考のほんの小さなきっかけになればなと思います。
コンテスト締め切りに間に合うよう、毎日数時間おきの投稿を目指します。
全力疾走の投稿にはなりますが、一時でも並走してくれる方がいらっしゃれば幸いです。




