アニマの逆襲! 泥(ドロ)ビット・オンライン!
この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。
有明海の干潟に、再び不気味な赤い光が明滅した。かつてマキの電子攻撃によってプライドをズタズタにされた七海 和歌は、いま、ガタルギアのコックピットで静かな狂気を湛えていた。
「……認証完了。月額課金の力、思い知りなさい」
彼女の指先が、虹色に光るゲーミングキーボードを叩く。コックピット内のモニターには、以前の失態とは比較にならないほど安定した「泥ビット」の接続シグナルが並んでいた。ライセンス更新の通知という悪夢を乗り越えた彼女は、もはや無敵の存在として干潟に君臨していた。
「おいおい、またあの赤いカニが元気を取り戻してやがるんだぜ!」
堤防の上で、山本 マキは愛用のポーチを操作しながら苦々しく吐き捨てた。以前、彼女が仕掛けたAAによる自爆攻撃の跡さえも、和歌の最新OSは軽々と修復してしまったようだ。
「あたいのセンサーが、過去最悪の殺気を検知してるんだぜ!あの姫カット、あたいを詰ませるために自分の魂までサブスクに売り渡したんじゃねーのかぜ?」
「わぁぁ…マキちゃん、お空のホタルさんが、なんだか怒ってるみたいだぉ!」
隣で鹿島 幸来が、ムツゴロウ・ショルダーから取り出した「竹崎カニ」を呑気に頬張っている。彼女の天然な強運でさえ、今回ばかりは重苦しい空気を感じ取っていた。
「(通信音)……マキ、幸来。敵の機動が変わった。和歌はオンラインゲーム感覚で、この干潟を『マップ』として完全に支配しようとしている!」
泥の中から、**REDDAS WRSB**の冷徹な声が響く。かつて黄金に輝くタイツの男と泥まみれで接触した際よりも、その声には一層の緊張が走っていた。
「……来るぞ。泥ビット、展開!」
夜空を舞う光点が、意志を持っているかのようにマキと幸来を包囲する。それはもはや単純な兵器ではなく、アニマの執念そのものだった。
一方その頃、暗黒観光協会のドックでは、仲田事務局長が床に突っ伏して嗚咽を漏らしていた。
「ううっ……胃が、私の胃壁がサブスクの引き落とし日と同じ周期で激痛を……っ! あの黄金のタイツの感触がまだ肌に残っているというのに、次は和歌さんのオンライン通信の『サーバー』になれというのですか……っ!」
中間管理職としての長い苦労でボロボロになった彼の体は、マダムたちの飽くなき欲望に、いまにも限界を迎えようとしていた。
「助けてください、REDDASさん……! 胃薬……ガタニウム配合の、一番強いやつを……っ!」
しかし、その悲鳴は激しい電子のノイズにかき消された。和歌が放つ「泥ビット」の群れが、鹿島の夜を赤く染め上げていく。
この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。




