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GA-TAL GEAR REDDAS【ガタルギア レダス】  作者: 久遠 魂録


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ガタの底から愛(機密)をこめて!

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

佐賀県鹿島市。有明海の穏やかな潮騒と、日本三大稲荷の一つ、祐徳稲荷神社の荘厳な空気に包まれたこの街には、表向きののどかさとは裏腹に、世界を揺るがしかねない巨大な影が潜んでいる。


「……ううっ、胃が、胃が捻れる……」

鹿島市観光協会、通称『K.T.A.(暗黒観光協会)』の地下深く。冷房が効きすぎた執務室で、仲田なかた事務局長は市販の胃薬をエナジードリンクで流し込んでいた。彼の目の前のモニターには、暗黒の技術の粋を集めた巨大有人MA『ガタルギア』の、最新調整データが表示されている。


仲田の本職は、この街を影から支配するマダムたちの忠実な下僕(実務最高責任者)である。だが、その真の姿は、伝説のエージェント『WRSBワラスボ』に組織の機密を流す孤独な二重スパイであった。


「仲田さぁん。まだお仕事が終わらないのかしら?」

背後から、心臓を直接撫でるような甘く冷酷な声が響いた。アニマの三柱が一人、マダム・グラツィアだ。


「は、はい! グラツィア様! 今ちょうど、ガタルギアのガタニウム合金の輝きが、マダムの瞳の輝きに0.003パーセントほど及ばないという計算結果が出て、絶望していたところであります!」

仲田は反射的に立ち上がり、直立不動で答えた。


「あら、嬉しいわ。でも、そんなに詰め詰めで働いてはアニマが枯れてしまうわよ? フォルツァも、あなたが壊れてしまってはテスト用ダミーが足りなくなると心配していたわ」

グラツィアの指先が、仲田の喉元をなぞる。


「……そこで、今日はあなたに大切な『広報活動』をお願いしたいの。鹿島の平和を守る、我が協会のシンボルとしての務めをね」

「広報、ですか……?(嫌な予感しかしない……!)」


「ええ。祐徳稲荷神社の参道で、ムツゴロウの着ぐるみを着て、観光客に『ガタニウム饅頭』の試食品を配り歩くのよ。もちろん、中身があなただとバレてはダメ。魂をムツゴロウと一体化させなさい。……断れば、あなたの胃をガタニウムで補強してあげてもいいのよ?」


「……アニマの御心のままに(終わった。私の人生がまた一歩、泥沼ガタに沈んだ……!)」

仲田は絶望しながらも、モニターから抜き出した極秘データ——G-EXAMの不完全な起動コードが記されたチップを、密かに袖口へ隠した。これをWRSBに届けなければ、鹿島は、いや有明海はアニマの欲望に飲み込まれてしまう。


一時間後、灼熱の参道。

そこには、虚空を見つめる巨大なムツゴロウの着ぐるみがいた。


「わぁぁ♪ なんだか、あのムツゴロウさん、とっても魂が震えてるぉ!」

呑気な声を上げたのは、地元・鹿島に住む**鹿島幸来かしま ゆき**だ。彼女は特注の『ムツゴロウ・ショルダー』を肩から下げ、不思議そうに着ぐるみを見上げている。


「おい幸来、近づくなぜ! あの着ぐるみ、中の人のストレス値が画面越しにでも測定できそうなほど負のオーラを放ってるぜ!これ、某ホラーゲームの敵キャラのパクリじゃねーだろうな? 権利関係的に消されるのはあたいらなんだぜ!」

呆れたようにツッコミを入れたのは、幸来の親友でプロ級のゲーマー女子、山本マキである。彼女は愛用の『ワラスボ・ポーチ』のストラップを弄びながら、不敵に笑った。

(チャンスだ……!)


着ぐるみの中の仲田は、必死に胃痛に耐えながら二人を見定めた。彼女たちこそ、WRSBから指示を受けていた「接触対象」の可能性がある。


「……あ、アニマ……いや、ガタの……恵みをどうぞ……っ!」

仲田は震える手で試食品の饅頭を差し出した。その際、目にも止まらぬ早業(と、極度の緊張による震え)で、幸来が口を開けていたムツゴロウ・ショルダーの隙間に、例のデータチップを滑り込ませた。


「わぁぁ♪ 饅頭さんだぉ♪ ムツゴロウさん、ありがとうだぉ!」

幸来は全く気づかずに笑顔で饅頭を受け取った。


「……ふん、怪しいムツゴロウだぜ!」

マキは鋭い視線を着ぐるみに向けたが、幸来に手を引かれて歩き出した。

(届けたぞ……。あとは彼女たちがこれに気づいてくれるかどうか……。いや、それより、この着ぐるみの中で熱中症になるのが先か……)

仲田が意識を遠のかせていると、参道の向こうから、冷徹な気配が近づいてきた。


「……@WAKA_7th。ターゲットへの接触を確認。あんな不細工な着ぐるみがスパイだなんて、アニマのマダムたちも人選を誤ったようね」

バイザーで顔を隠した少女——**七海和歌ななみ わか**が、冷たく呟いた。彼女の背後にある森の奥では、ガタニウムの巨躯を持つ『ガタルギア』が、静かにその赤い眼光を灯そうとしていた。

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。

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