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序話 てるてる坊主
「てるてる坊主 てるてる坊主……』
「どうして、どうして聴こえるの!?」
「嫌だ、嫌だ、死にたくないよ……!」
土砂降りの夜。
制服姿の女子生徒が、何かに追われるように走っていた。
ずぶ濡れの髪が頬に貼りつき、足元の水たまりが弾けるたび、童謡が耳にまとわりつく。
『てるてる坊主……てるてる坊主……』
雨に紛れて、どこからかその声がついてくる。
灯りひとつない闇の中、彼女の視界は濡れた世界に閉ざされていた。
――そして、夜が明けた。
雨が小降りになった未明、橋の上に“それ”は揺れていた。
白い布を被せられた人の形。
首に巻かれたロープは、まるで――てるてる坊主のようであった。




