呪的遁走
最新エピソード掲載日:2026/01/24
プロローグ
薄暗い小部屋で、ひとりの青年がラジオを聴きながら、黙々と広告のような紙を刷っていた。
ラジオは深夜枠の番組を流しており、今話題の行方不明事件について、タレントが都市伝説や神隠しと結びつけながら、雰囲気たっぷりに語っている。
──真実を知らぬ者は、気楽でいい。
いま、九州地方では“神隠し”と呼ばれる事案が多発していた。
「……さてと、これで新入生に配るパンフは一通り刷れたかな」
時刻は午前3時。
「明日」ではなく、すでに「今日」になったことを、青年はふと自覚する。
仕上がったパンフレットを、一枚ずつ丁寧にダンボールへと詰め込んでいく。
「……そろそろ、か」
築六〇年の木造住宅──通称“としけん”の部室は、降りしきる雨音に包まれていた。
まるで、その雨音に便乗するかのように、部屋の隅に置かれた黒電話が、けたたましく鳴り響く。
青年は、その音にも特に動じることなく、静かに受話器を取った。
「……そうですか。わかりました。すぐに支度をします」
低く、くぐもった声でそう答える。
その声は、もう誰にも届かないところへ沈んでいくようだった。
──入学式当日。
部室には、青年が用意したパンフレットだけが残されていた。
それが、彼の消息をたどれる最後の痕跡となった。
薄暗い小部屋で、ひとりの青年がラジオを聴きながら、黙々と広告のような紙を刷っていた。
ラジオは深夜枠の番組を流しており、今話題の行方不明事件について、タレントが都市伝説や神隠しと結びつけながら、雰囲気たっぷりに語っている。
──真実を知らぬ者は、気楽でいい。
いま、九州地方では“神隠し”と呼ばれる事案が多発していた。
「……さてと、これで新入生に配るパンフは一通り刷れたかな」
時刻は午前3時。
「明日」ではなく、すでに「今日」になったことを、青年はふと自覚する。
仕上がったパンフレットを、一枚ずつ丁寧にダンボールへと詰め込んでいく。
「……そろそろ、か」
築六〇年の木造住宅──通称“としけん”の部室は、降りしきる雨音に包まれていた。
まるで、その雨音に便乗するかのように、部屋の隅に置かれた黒電話が、けたたましく鳴り響く。
青年は、その音にも特に動じることなく、静かに受話器を取った。
「……そうですか。わかりました。すぐに支度をします」
低く、くぐもった声でそう答える。
その声は、もう誰にも届かないところへ沈んでいくようだった。
──入学式当日。
部室には、青年が用意したパンフレットだけが残されていた。
それが、彼の消息をたどれる最後の痕跡となった。
二章 王国編
1話 新入生
2025/11/23 01:58
(改)
2話 都市伝説研究サークル
2025/11/23 02:03
3話 メリーさん①
2025/11/23 02:05
4話 メリーさん②
2025/11/23 02:06
5話 メリーさん③
2025/11/23 21:43
(改)
6話 メリーさん④
2025/11/24 23:49
(改)
7話 メリーさん⑤
2025/11/25 19:33
(改)
8話 メリーさん⑥
2025/11/26 01:42
(改)
間話 狂愛
2025/11/26 11:39
序話 てるてる坊主
2025/11/27 11:37
(改)
9話 てるてる坊主①
2025/11/27 11:49
(改)
10話 てるてる坊主②
2025/12/04 16:38
11話 てるてる坊主③
2025/12/04 20:38
12話 てるてる坊主④
2026/01/11 11:44
(改)
てるてる坊主⑤
2026/01/24 20:13