演技をしていたのは・・・
結局、検証結果は反応が少し違うくらいだった。優希はもっと求めて、みぞれはただ恥ずかしそうにしていたが、それでもそのものを求めようとした。どっちも、ありそうな反応なんだ。そんなんだったら、もう分かるわけない。こうなったら、当てずっぽうで行ってやろうか?
「当てずっぽうで行ったら、一生ヤンデレ化を解除しませんよ?」
「うわっ!?びっくりした。脳内に語りかけるなよ」
でも、あてずっぽうはだめか。だったら他に、どういう策がある?絶対に演技を暴ける方法とは、なんだ?
「ちなみに、異能力は・・・?」
「だめに決まってるでしょう?」
「ですよねー」
そもそも、僕に心を読む。なんて言った系統の異能力はない。だから、異能力を使ったところで、結局は無力なのである。だったら、どうしようか。まず、あの反応で得られるヒントは、本当にないのか?
「でもなぁー」
現実で、ヤンデレ化が起きるイベントなんて、まずないしな。結局は分かるわけない。性格的に、どっちもあの反応をするだろう。でも、みぞれのあの表情・・・。
「ん?だとしたら、おかしくねぇか?」
たしかにみぞれは、恥ずかしがった。けど、その後、頑張って腕を伸ばして、ハグをしようとしていた。その時の表情が、どうも頑張っているように見えた。ヤンデレ化しているなら、普通あんな表情をするだろうか?
「分かったかもしれない」
「ほう。正解は、本人が暴露したら。ですよ」
「分かったよ。本人に問い詰めればいいんだろ?」
幸い、今は学校で寝ている。聞こうと思えば、いつでも聞ける状態だ。
「君、1年生だよね?」
「はい。そうですけど」
「夢川みぞれって、どこにいる?」
「おそらく、教室にいると思いますけど」
「わかった。ありがとう」
そうして僕はみぞれを呼び、問い詰めることにした。
「わざわざ私に会いに来てくれるなんて。やっと好きになってくれたんですか?」
「今回は、その話じゃない。ひとつ、お前に聞きたいことがあるんだ」
「はて。なんでしょう?」
そうして、僕は聞くことにした。
「単刀直入に言う。お前、ヤンデレの演技をしているだろ」
「え?」
「色々考えたら、おかしい。いや、お前と優希に、共通点が多すぎて、一瞬わからなかったけど、昨日、僕が押し倒したとき、ちょっと我慢しているような表情をしていただろ」
「・・・あー。やっぱり、先輩は鋭いですね」
まじで?当たった?
「なんで、バレちゃうんでしょうか。うまく隠せているはずだったのに。そうですよ。ヤンデレを演じていたのは私です」
「なんで、そんなことをしたんだよ」
「理由は、初日にも言いましたよ」
「嘘だろ?」
だったら、なんだ?思い出せ。初日に、みぞれが言っていたことを・・・。
「まさか、嫉妬?」
「そうですよ。嫉妬しないわけがないじゃないですか。優希と、同棲なんか。私だって一緒に住みたいのに、なんで優希だけって・・・。一度同棲したときも思ってましたよ。だから、ヤンデレ化したフリをすれば、それを理由にして先輩に甘えることが出来るから」
「・・・」
「ごめんなさい。どうか、嫌いにならないでください」
「・・・」
「そうですよね。こんなことをした分際で。嫌いにならないでくださいなんて。頭が高いですよね」
「んだよ、それ」
「え?」
「なんだよ、それ。ヤンデレを理由にする?そんなん、納得できるかよ」
「・・・」
「甘えたいなら、甘えればいいじゃないか。お前は、僕のことが好きなんだろ?だったら、真っ正面から甘えに来いよ。なんでそんな回りくどいことをするんだよ」
「だ、だって・・・。先輩は真愛ちゃんや優希のことで忙しいでしょ?」
「たしかに、大変だよ。けど、それでお前が我慢する理由がないだろ。恋は、戦争なんだぞ。自分でも言ってたじゃないか。嫉妬するって」
「言いました」
「だったら、同じく優希にも嫉妬させてやれよ。恋に、同情があっちゃダメなんだよ。好きなら、真っ正面から来い」
「・・・先輩」
「わかったか?」
「はい!!わかりました!!」
そうして、僕はその場を後にした。
「これが答えだ」
「大正解です。よく分かりましたね」
「たしかにな。考えればすぐ分かったことかもしれないな」
「でしょう」
「じゃあ、約束は果たしてもらうぞ」
「分かってますよ。ヤンデレ化を解除するんでしょ?」
「あぁ。はやくしてくれ」
「分かりましたから。そう焦らないでください」
そんなこんなで、ヤンデレを演じていたのはみぞれだということがわかった。いやぁ、正直びっくりだ。みぞれが、あんなことを出来るなんて。誰が想像するもんか。
次の日、朝目が覚めても、隣に優希はいなかった。
「しっかりやってくれたんだな」
言えば、ちゃんとわかる奴だ。これから、平和な日常がまた戻るのだ。
「ん?」
何か、隣に誰かいる気が・・・
「って、真愛!?」
「ん?あぁ、おはよう。お兄ちゃん」
「なんでいるんだよ!!」
「別に、兄妹だったら普通でしょ?」
「なわけあるか!!」
「じゃあ、今から翠星達の部屋行ってみなよ」
「あいつらは異常なだけだ」
言われた通り、部屋に行ってみると、まぁ。案の定だった。
「だから、兄妹ではわりと普通だよ」
「朝からとんでもない寝起きドッキリだ」
今度はこいつがヤンデレ化したのかと疑ったが、どうやら普通のドッキリらしい。まったく、紛らわしいことをするなよ。心臓に悪いじゃねぇか。




