息子達が過去に来た理由
「なんだよ。それ」
意味がわからなかった。なんで、子供という概念を子の世界にやって来させたのか。
「面白いでしょう?」
「お前からしたらそうかもしれんがな。僕からしたらとんでもなく迷惑なんだよ」
もし、優希やみぞれにバレてしまったら。面倒くさいことになるのは不可避だろう。
「まぁ、すぎてしまったことは仕方ない」
「ちっ。都合のいいように言いやがって」
「でも、あなた自信でも養うと決めてましたよね?」
「そりゃだって。あんなガキを外に置いていたら危ないだろ」
「よくお分かりで!!だったら、あなたの子供がひどい目に遭う。なんて、考えたくありませんよね?」
「そりゃまぁ。もちろん」
「だったら、言ったことをしっかり実行してください」
「・・・はぁ。わかったよ」
やればいいんだろ?受け入れれば。理解した。創世者の言う通り、あのガキは僕の子供だ。
「用が済んだなら、戻ってください」
そうして僕は、深い眠りについた。
そういえば、あれが僕の子供。ということなら、妻がいるはずだよな。僕の妻は、誰なんだろうか。一番可能性としてあると言ったら、優希かみぞれなんだろうけど。大人の世界だ。僕が他の世界に進んで、他の女性と出会っているのかもしれない。なんだか、胸が踊る。これが、まさしく好奇心というものだろう。
「んー。わからんな」
この世界に於いて、僕という、夢叶大和という人間は、まだ誰かを好きになったことがない。故に、僕が誰かを愛して、結婚するなんて未来が、全く見えないのだ。
「じーっ・・・」
「ん?どうしたの?お父さん」
考えていてすっかり忘れていたけど、こいつ、同居して二日目だよな?なんで毎日いるかのように馴染んでいるんだよ。しかし、優夢の顔をまじまじと見ても、妻に当たる特徴は見当たらなかった。どう見ても、あの時の優夢にそっくりで、この容姿にそっくりな人物を、この世界では見たことがない。
「んー」
気になって仕方ない。だって、この僕が惚れるんだぞ?ずっと、前世を背負って生きてきた男が、誰かに惚れたんだぞ?気にならないわけもない。
「どうしたの?お父さん」
仕方ない。聞くか。
「あのさ。お前たちが生まれたってことは、つまり。母親もいるってことだよな?」
「うん。そうなるね」
「お母さんは、誰か知ってるのか?」
「そりゃもちろん。ずっと育ててきてもらっているからね」
「そのお母さんって、誰なんだ?」
「それはね。教えられない」
「は?そりゃどうして」
「私たちはね、未来から来た娘たちなの。だから、そんな未来から来た人が、過去の人に、未来のことを教えたらー・・・。なんだっけ?」
「タイムパラドックスな」
「そうそう!!それそれ!!タイムパラドックスが起こっちゃうから、簡単には教えれないの」
簡単に説明しよう。タイムパラドックスというのは、時空の話。未来人が過去の人に未来のことを伝えると、本来起こるはずの出来事が、時空が変わったことによって、未来で発生しなくなる事例のことだ。ん?だとしたら・・・。
「じゃあ、お前も未来人で、未来の子供だって伝えたから・・・」
矛盾するはずでは?だったら、そうなったら。
「あ、安心して大丈夫だよ。なんかね、神様が」
『未来から来た子供だ』
「っていうことは伝えていいって」
「か、神様・・・」
創世者のことか?こりゃまた、色々惑わさせてくる奴だぜ。
「でも、だったら」
「うよ?」
「なんで現世にやってきたんだよ。別に、未来にいたままでもよかったんじゃないか?」
「あー。そう言えば、事情を説明してませんでしたっけ」
「は?どういうこと?」
するとその瞬間、優夢はとんでもないことを言い出した。
「未来では、パパが死んでいるの」
と。
嘘だ。そんなはずがない。だって、異能力というものが存在した世界で、世界最強の座に君臨した男だぞ?その実力が、今の世界にまで反映されていて。そして、簡単に死ぬ体ではない。なのに、どうして死んでいるんだ?
「パパはね、私たちを守ってくれて死んだの」
「ほう」
「交通事故に巻き込まれそうになって、それで・・・」
「ど、どういうこと?」
おかしすぎる。意味がわからない。小学生のとき、誤って道路に飛び出して、車に轢かれたが、逆に車が潰れたくらいだぞ?それで、事故で死ぬって。
「ありえない」
「え?」
「そんなの、あり得るわけがない」
「どうして?」
「お前、俺の娘なら知っているだろ?」
「・・・あぁ。うん。パパの言いたいことはわかった」
どうやら、本当に娘だったようだ。僕は、異能力者であることを、兄妹の真愛にですら公言していない。だから、この世界に生きるもので、俺が異能力者であることは誰も知らないのだが。まぁ、娘とかにだったら話しててもおかしくないか。
「でもね。それが車以上のさ、今よりも技術が発展した未来で。ってなると。・・・それでもあり得ないって言える?」
たしかに、未来の話だったら確認のしようがない。でも、それでも。死ぬなんてあり得るか?最悪、異能力を展開するはず。間に合わない・・・なんてことがあるのか?
「それが、パパの死んだ理由で、そして私たちは、もう一度パパに会うために、神様にお願いしてやって来たの」
「そういう、わけか」
だったら、納得だろう。僕だって、前の僕だったら・・・。絶対真愛に会いに行っているから。ただ、それでも驚いてしまうことは。
「この俺が、死んだのか?」
という、そこへの疑問だった。




