夏休みの最後の日
それから、長い間遊び呆けて、気づけば夕方へとなっていた。
「はぁ。まじで疲れた」
ほんと小学生ってなんで体力有り余ってるんだよ。
「なんでこんなに元気なの?」
一番若い真愛ですら、これだけ疲弊しているのだ。まったく、若いって素晴らしいもんだぜ。
「あ、5時になっちゃった」
そう言った瞬間、公園のすぐ傍にあるスピーカーから5時のチャイムが鳴り響いた。
「お兄ちゃんたちばいばい!!また遊ぼう!!」
そう言うと、小学生たちは帰っていった。
「あったよねー。小学校の時、5時には家に着いておかないといけないっていうルール」
「あったあった!!あれまじで面倒くさかった!!」
そんなのあったっけ?あ、そっか。僕は小学生時代を怠惰に生きすぎて、そんな経験したことがなかったんだった。転生者というのも、中々に疲れるものだな。
「それじゃあ、我らもそろそろお開きにするか?」
「そうですね。明日は学校ですし、帰った方がいいかもですね」
「それじゃあ、大和殿。今日は優希殿を拝借していくぞ」
「え?」
「ん?どうしたんだ?」
「いやいや、嫌です。私先輩と帰りますから!!」
「いや、今日だけはほんとに許してほしい。着いても来ないでくれよ。大和殿に限らず、真愛殿も、みぞれ殿も」
「それはどうしてですか?」
「少し、内緒話だ。公言できないような、そんな話だ」
「えぇ・・・。じゃあ、今日は先輩と帰れないんですか?」
「申し訳ないが、今日は了承してくれ。大和殿も、今日はいいか?」
「別にいいぞー」
「先輩はもっと興味を持ってくださいよ!!」
そうして、言質を取った優希とカズは、二人で帰っていった。
「相変わらず、お兄ちゃんは優希ちゃんに酷いねぇ。そんなんじゃモテないよ?」
「別に、モテたくない。そんなこと言ってないで、帰るぞ」
「はぁーい。じゃあ、みぞれちゃん。着いていくね」
「いいの?」
「うん!!遠慮しないで。一人で帰らせると危ないから!!」
「先輩はどうなんですか?」
「まぁ、僕も着いていくよ」
「あ、ありがとうございます」
そんなこんなで、僕らは帰路を辿った。
思いも返してみれば、長いようで短かった夏休みも終わりを告げるのか。今年は本当に、終わりが速かった。これから、どうしようか。真愛の受験はまだまだ先だし、特にやらないといけないこともない。しかしまぁ、2学期が始まれば、体育祭があるわけだ。去年は、面倒くさいし体育祭は休んだが、今年はどうしようか。約束してしまったしなぁ。
「そういえば、真愛。お前体育祭いつなんだよ」
「体育祭?えっとね、9月だったと思う」
「じゃあ、全然被ってないのか」
「そうなの?そっちはいつなの?」
「10月なんだよ。それでさ、もし真愛と体育祭の日が被ってなかったら、見に来るよう言ってほしいとみぞれと優希に言われたんだが。来るか?」
「え!?ほんとうなんですか!?」
「う、うん。言ったよ。私真愛ちゃんに体育祭を見てほしいんだよね!!」
「絶対見ます!!絶対行くから!!」
どうやら、とんでもなく乗り気なんだそうだ。まぁ、来るなら来るって決まったし、後ほど優希にも伝えておこうか。それからは、特に変わった話題はなく、他愛もない会話を繰り広げて、そしてみぞれを送ってから僕たちも家に帰るのだった。
目を閉じて、もう一度開ければ、外は明るくなっていた。それはつまり、そういうことを示唆していた。携帯の画面をタップして、日付を確認してみると、表示は『9月1日』となっていた。今日から、学校が始まるのだ。また、面倒くさいようで、面倒くさくない学校生活が。別に、することは変わらない。ただ授業を受けて、家に帰るだけ。それ以外の何者でもない。体を起こして、真愛を起こす。
「おい真愛。起きろ。朝だぞ」
こいつも、登校日は同じで9月1日だ。
「ん~。ねむい」
「そんなん言ってても仕方ないだろ。起きろ」
怠い。と言いながら、真愛は体を起こした。
「今何時ー?」
「5時半だ」
「ふぁ~い。まじで毎回朝早すぎる」
仕方ないのだ。僕の家は高校からは近いが、中学はそこそこ遠い。余裕で1時間はかかってしまう。なんせ、田舎だから電車も通っていない。
「飯出来るまでに下降りてこいよ」
とりあえず僕も、朝ごはんを作るのだ。そんなこんなで、これからの新しい1日がスタートする。




