久しぶりに大和が人間に戻りました!?
そんなこんなで、
「あは、あははー」
僕はとんでもないおままごとをさせられていた。まったく、これの何が楽しいのだろうか。まぁ、小さい子供にしか分からない楽しさがあるんだろうけど。男の子だったら、大体戦隊系のおままごとだが、女の子となると、家庭系のことが多い。
「次はこれ切って!!」
「はぁーい」
正直、実際の料理とはまったく違う。でも、それが初歩の学びのひとつとなるんだろう。そうやって、成長していくのか。
「大和殿ー!!そちらで何してるんだよー!!」
と、そんなおままごとに付き合っていると、ドッヂボールをしているカズが、こちらに話しかけてきた。
「おままごとしてるー」
「おままごと?あぁ、あの玩具のやつか」
そういうと、カズが段々とこちらに歩み寄ってくる。
「ドッヂボールはどうしたんだよ」
「第一回戦が終わってな。少し休憩だって」
「第一回戦ということは、まだこれからもあるのか?」
「らしいな。子供というのは遊びたい盛りの子だからな。体力が有り余ってて素晴らしい。ほれ、見てみろ。普段あまり激しい運動をしない優希殿とみぞれ殿は、もう既に息切れを起こしているぞ」
そう言われて見てみると、たしかに二人とも膝に手を置いていた。
「すごいよな。小学生って。どれだけ遊んでも体力が全く減らないんだから」
謎なもんだ。何か小学生と中学生で体力の違いが出てくるのだろうか。
「お兄ちゃん!!まだドッヂボールやらないの?」
「やらない。動きたくない」
「動かんか引きニート」
2つ上の兄に厳しい、前世妻の真愛さん。
「えー、でも」
「たまにはいいでしょ?小学生の頃に戻るっていう目的で公園に来たんだから。はっちゃけちゃいなさいよ」
「んー。わかったよ」
しかし、そうなると、いくら力加減しても威力は半端ないものになってしまう。異能力で弱めることは出来るが、しかし。
「生憎使ったら怒られるしなぁ」
この新しい世界を創った創世者曰く、
「この世界は平和にしているんだ。お前が異能力を使うと、世界の軸がずれる」
とのこと。つまり、この世界においては、異能力というものはバグ的な存在ということだ。もし、そんなものが行使されてしまったら、世界はどうなると思う?・・・それは、僕にも分からないが。
しかしまぁ、ドッヂボールに参加するなら、一度創世者に交渉しなければいけない。そして、異能力を使えるようにして、自分自身の力を弱めないといけない。だから、僕は創世者に聞いてみた。
「いるか?創世者」
「どうしました?」
「ドッヂボールに参加することになってな。今の状態だと、流石に怪我人が出てもおかしくないから、一度異能力を使えるようにしてくれないか?」
「ほ、ほう。なんか凄いことになっているようですね。まぁ、そんなことはともかく。それは出来ません」
「は?なんでだよ」
「一度異能力を解放するだけでも結構大変なんですよ。時間はかからないんですけど。その時間だけ時間軸が歪んでしまいますから。毎度直すのが大変なんですよ」
「お前の私情じゃねぇか」
「いいんですか?世界が崩壊してしまうんですよ?」
「別に、おれはどちみち転生するんだろ?」
「いや、たしかにそうなんですが。そういう問題じゃなくてですね・・・」
「じゃあ、どうしたらいいんだよ?」
「でしたら、一時的に大和さんを弱体化させることなら出来ますよ?」
「ほう。それをしたら僕はどうなるんだ?」
「生身の高校生と同じ身体能力になります。異能力も、爆発的な身体能力も、封印されます。ただ、勘違いしないでくださいね?一時的に。なので、後に設定を戻すことも出来ますよ」
「わかった。それでいいなら、そうしてくれ」
そうして、気づけば現実世界に戻ってきていた。試しに、近くにあった木の棒に指で圧力をかけてみる。すると、
「折れない」
これが、生身の感覚か。久しぶりに感じたな。なんか、異能力があるときと、ない時でこんなに体の感覚が違うのか。
「お兄ちゃん?なにぼーっとしてるの?」
「あ、あぁ。ごめんごめん。今行くよ」
そうだった。ドッヂボールをするんだった。そうして、僕は体を起こして、ドッヂボールをしに行くのであった。
さぁ、ドッヂボールが始まってしまった。ここはお兄ちゃんとして、手加減してあげるのが正解だ。しかしまぁ、見た感じ、ボールの勢いは小学生というのもあってか、中々に遅かった。
「これじゃあ、余裕で避けちまうぞ」
そうやってぼーっとしているうちに、
「隙ありだぜ!!」
「あ、やべっ」
後ろから、隙をつかれてしまった。いや、しかしまだ、ボールに当たっていない。ドッヂボールのルールを知っているだろうか?ボールに当たらなければ、セーフなんだ。だから、こんなくらいのボールだったら、
「避け!!・・・って、あれ?」
避ける途中で、何故か普通にボールに当たってしまった。
「ちょっと先輩!!何してるんですか!!」
そ、そうだった。ずっと身体能力が優れた状態で生きてきたから、完全に生身の状態を忘れていた。だから、いつもだったらあれくらいは造作もないことだが、あんな至近距離で、更に生身だったら流石に避けきれないか。
「く、くっそぉ~」
小学生に負けたくやしみと、普段の感覚が違うことに慣れなかったドッヂボールであった。




