王子様であるが故に
時も気づけば、夏休み最終日。世の中の子供の一部は、終わらしていない宿題に追われて、焦る1日になるだろう。そんな僕は、余裕で7月のうちに終わらしてしまったのだが。
「最終日かぁ~」
なんだかんだ言って、充実した夏休みだっただろう。祭りにも行って、前世の時の嫁にも会えた。今までで一番、充実した夏休みを過ごせただろう。
「おにいちゃーん。夏休み最後なんだし、なんかしない?」
こいつは、僕の妹の真愛。前世では、僕の嫁だった。
「別にいいけど。何すんだよ」
「んー。たしかに。そう言われてもすることないね」
「時間は8時か」
今から何かをしようってんなら、十分に時間はある。県外に出る以外、することはたくさんあるが、生憎、僕の住んでいる町は田舎なもんで。ちょっとだけ遠くに行かないと何もないのである。
「優希ちゃんたち誘いたいけど・・・。暇かな?」
「夏休み最後だからな。暇を持て余していないんじゃないか」
「やっぱそうだよねー」
なんて、そんな会話をしていたら、携帯から、一通のメッセージが届いていた。それは、
「先輩!!夏休み最後なんで、一緒に遊びましょ!!」
前言撤回。優希は、夏休み最後でも暇だったらしい。まあ、丁度僕たちも暇だったところなんで、それは承諾してあげた。問題は、みぞれだが。
「みぞれもいいよって!!」
なんと、全員揃ってしまったのである。
「最高~!!夏休み最後に遊べるなんて」
「もはやいつメンというやつになってきているな」
僕、真愛、優希、みぞれの4人が、いつしか遊ぶメンバーとなっていた。まぁ、その中で三角関係が成立しちゃっているのだが。
「じゃあ、どこ行こうか」
「んー。そうだねぇ」
すると、グループで会話していたら、優希がこんな提案をしてきた。
「久しぶりに小学生の気分になって、公園とかで遊びませんか!!」
「あり。私も思い出してて懐かしいなーってなってた!!」
「公園なんていつぶりだろう。めちゃくちゃあり!!」
と、みぞれと真愛は大賛成のようだった。こうか。公園か。公園で遊んだことなんて、今世では一度もなかったな。小学校時代は、友達を作っていなかったし。妹とも、ちょうど離れて生活していた頃だから、公園で遊ぶことはなかったな。一度、公園というものを知ってみたい気持ちもある。そりゃあ、目にしたことはあるが、それがどれだけ楽しいのか。久しぶりに、感じてみたい。
「ありだな」
僕も、そうやって返信しておいた。そんなこんなで、予定も決まって。10時に遊ぼうとなった。
「じゃあ、用意するかー」
と、僕が立ち上がった瞬間。
「少し、時間いいか?大和殿」
例の王子様こと、神堂カズから連絡が届いた。
「どうしたんだよ」
「大和殿、優希殿たちと夏休み最後だからと、遊ぶ計画をたてているだろう?」
エスパーが誕生した。ちょうど先ほど、遊ぶ約束をしたばっかだ。
「ま、まあ」
「そうだろう!!だから、私も混ぜてくれないか!!」
少し、悩んだ。僕は別にいいのだが、優希やみぞれがどうか。
「まぁ、問題は優希殿だろうな。彼女は、許嫁である我輩のことを嫌っておる」
ちなみに、許嫁ではない。あくまで神堂家のお父様がお見合い相手に優希を選んだだけで、許嫁になったわけではない。
「そうだな」
「だから、彼女がどう言うか。大和殿、連絡してくれないか?」
「いいよ。ちょっと待ってろ」
そうして僕は、優希とみぞれに聞いてみた。すると、
「えぇー?あの人?いい人だったけどさぁー。許嫁にされてるし、あとちょっとうるさい」
そこまで、乗り気ではないようだ。一方、みぞれは、
「まぁ、近所迷惑にならないくらいにしてくれるなら、私はいいですよ」
これはどっちなんだ?とにかく、
「まぁ、誘ってみてもいいんじゃないか?」
「いやだ。それで求婚とかされると迷惑だし面倒。だって私は、先輩と結婚するから」
「それだったら私だって!!私も、先輩のことが大好きなんだもん!!」
あー、なんか。変な言い争いが始まってしまった。とりあえず、そんな言い争いを止めながらも、
「今日くらいはいいじゃないか。前もいい人だってわかったんだろ?だったら、遊ぶくらいはいいじゃないか」
「うーん。じゃあ、先輩。責任取ってくださいね?」
「お、おう?」
よくわからないけど、誘っていいとのことらしい。
「とりあえず、渋々承諾してくれたぞ」
「おぉ、そうか!!ちなみに、どこへ行くんだ?」
「公園で遊ぶらしい」
「なぬ!?公園だと・・・!!」
あ、そうだ。こいつは王子様だから、庶民の遊びとか気にしたことないのか。
「我輩も思っていたんだ。一度、公園で遊んでみたいって」
「え?」
「昔から、我輩の家は太かったからな。特に、小学生の頃は、生活を制限されていたからな。公園で遊ぶ。なんて時間はなかったんだよ。だから、凄く心が踊る!!」
「っ・・・」
そっか。こいつもこいつなりに、辛い思いをしてきたのか。家庭が裕福であるが故、その分庶民とは違う生活を送ってきたのだ。
「そっか。わかった」
固定観念に取りすがりすぎてしまった。
「これは、また楽しくなりそうだけどな」
そんなこんなで、改めて準備を始めるのだった。




