表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後輩にまさかの好かれてしまった!?  作者: 柴田優生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/108

花火は花のように咲いた

そんなこんなで、その後も、

「ねぇねぇ、金魚すくい!!」

「はいはい。わかったよ」

みぞれも、それ以外も。みんな楽しんでくれていたようだった。僕だって、いっぱい楽しんでいるがな。

「はぁ~。もうこんな時間かー」

「だねー。すっかり遅くなっちゃった」

「改めて大和殿、混ぜてくれてありがとうな」

この祭りで知れたことが一つあった。それは、カズがいい奴だってこと。こいつも、後輩や真愛たちのことを全力で楽しませてくれていた。意外に、人への思いやりがあったのだ。それに、関わりやすい人だった。

「あぁ、いいよ」

なんだかんだ言って、カズと一緒に行ったのも正解だっただろう。

「あ、そろそろ花火の時間だよ!!」

「え!!嘘!?なんかいい場所ない!?」

まったく、慌ただしいもんだ。

「それなら、我輩が絶好の場所を知っておるぞ。着いてくるがいい!!」

「おぉ、頼りになります!!」

言われるがままに、僕たちはカズへ着いていった。

「先輩!?あとすこししかないですよ!!」

「待て待て。そう焦るな。あと少しだから・・・」

「あ!!圏外になっちゃった」

「仕方ない。ほんとあとちょっとだから・・・!!ほら」

そうして、頂上に着いた瞬間。

「おぉぉ~」

僕は、そんな感想しか湧いてこなかった。なぜなら、そんな言葉しか出てこないほど、絶景だったから。

「あ、ちょうど花火が!!」

上がった花火が、ゆっくりと、花のように開花して、暗く染まった海に落ちる。花火の光が、暗い町と海を照らして、それがまた綺麗だった。

「先輩」

「お、おい。優希」

「こういうときくらい、許してくださいよ」

「わかったよ」

これが、形に残る『幸せ』なんだろう。僕が、あの頃から夢見てきた、本当の『平和』。二人の後輩に好かれていて、面倒くさい毎日を送っているが、それもまた、悪くないんだろう。

「ねぇ、先輩」

「なんだよ」

と、その瞬間。

「○○○○____」

「っ・・・」

花火の音で、その声は掻き消されてしまった。しかし、口の動きでは、こう言っていた。

「大好きですよ」

漫画みたいなことを言いやがって。可愛いだけあって、それでまたなんともいえない感情になるんだよ。

「ねぇねぇ、先輩。私も・・・」

そして、タイミングを見計らっていたかのように、また、

「○○○○○_____」

花火が開花すると同時に、みぞれもその言葉を言った。

「まったく、大和殿の妹と、我輩がいる前で青春を見せつけるな。まぁ、いいけどさ」

「僕は悪くないんだ」

「なんでですか?先輩が悪いんですよ?」

「は、はあ?なんで僕が」

「先輩が、私たちを好きにさせるのが悪いんです」

「そんな、暴論だろ」

そんな、祭りを過ごしたのだ。


「終わっちゃったねー」

花火も最後の一発を打ち上げて、遂に花火は終わってしまった。

「まだ帰りたくないなー」

「仕方ない。もう夜も遅いから、流石に帰るぞ」

「うーん。わかった」

「そうだ。大和殿」

「どうした?」

「もしよかったら、なんだが。帰る前に、連絡先を交換してもよいか?」

「・・・」

正直、もういいだろう。動画編集のバイトは、パソコンの方にファイルが送られているから、携帯で誤送することもなくなった。だから、仲良くなりたい人とは繋いでもいいか。

「うん。いいよ」

「え!?先輩私とは繋いでくれないのに!!」

「あ、そうだ。優希もいいよ」

「え、え・・・?ほんと?」

「あぁ、いいよ」

「やったやった!!やっと、先輩と繋げる!!」

「じゃあ優希殿!!我輩とも!!」

「先輩は、たしかにいい人なんですけど、でもやっぱ、許嫁と言われることがなくなるまでは、やめておきたいです」

「そんなに嫌かね」

「当たり前ですよ。私には好きな人がいるんですから」

「まあ、それもそうか。とにかく、大和殿とは繋げたから、我輩はこれで満足だ」

「じゃあ、そろそろお開きにしますか」

「じゃあ、さらばだ!!また機会があれば、どこかで会おう!!」

そうして、王子様は去っていった。

「じゃあ、二人とも。送ってくよ」

「え?いいですよ、そんなの。悪いですよ」

「大丈夫だって。真愛も連れてくし」

「そうですそうです!!」

「んー、まあ。甘えてもいいですか?」

「うん。いいよ」

そうして僕らは、二人の迎えをするのだった。


家に着けば、また静かな夜が始まってしまった。真愛がいるから、一人ではない。が、やっぱり物足りなさを感じる。

「まったく、僕は優希に依存しすぎなんだよ」

好きに生きる。とは言ったけど、優希やみぞれを好きになる。とは言っていない。しかし、優希と過ごしたあの一週間が楽しかったのも、恋しいのもまた事実。

「はぁ、めんどくさい」

忘れて、今日はもう寝よう。そうしようとしたのだが、

「おにいちゃーん」

瞼を閉じようとする寸前で、妹によって起こされた。

「なんだよ」

「いやさ?そういえばお兄ちゃんに言ってなかったけど、私2日後、陸上の全中なの」

「そうなのか。頑張ってこいよ」

「うん。頑張ってはくるんだけど、数日はお兄ちゃんと会えないからさ。だから、最後に一緒に寝たいんだけど。いい?」

「あぁ、いいよ」

元は、こんな妹ではなかった。僕に甘えてくるような、そんな奴ではなかった。しかしまぁ、こいつにとっては、両親がいないということは、相当辛いことなんだろう。

「僕が、親になるか・・・」

こいつに、辛い思いをして欲しくないしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ