お風呂で鉢合わせてしまいました!?
そんなこんなで旅館へ戻ると、
「ちょっと先輩!?どこに行ってたんですか!?」
「みぞれが夜風を浴びに行こうって言ってな。それでちょっと散歩してた」
「ほ、ほう・・・」
「みぞれちゃん、中々やりますねー」
「っ!!ちょ、ちょっと!!真愛ちゃん!!」
「?どうした?みぞれ」
「な、なんでもありません!!」
「えーっと、仲良さそうなところ悪いけど、そろそろ寝ましょうか。夜も遅いですし」
「そうですね。寝ましょう」
そうして布団を敷いて、僕は寝転がった。
「おにいちゃーん」
「おいこら。自分の布団があるだろうが」
「最近甘え足りなかったの。兄妹なんだしいいでしょ?」
「あはは。相変わらず兄妹仲がいいんだねぇ」
「助けてくださいよ」
「いやいや。愛の巣にお邪魔はできないわ」
「お母さん・・・」
「ほら、優希ちゃんのお母さんもそう言ってるんだから。いいでしょ?」
「だからって言ってなぁ」
優希とみぞれの視線が怖いんだよ。
「はぁ。さっさと寝るぞ」
「うん。お兄ちゃん、また手繋いで?」
「わかった。これで寝れるか?」
「うん。おやすみ、お兄ちゃん」
そうして僕は、目を閉じた。
「大和!!」
「は、はい」
「てめぇ何してくれてんだ!!娘と関わるなって言っただろ!!」
「って言っても、仕方なかったことだし、何より兄妹だし」
「あぁ?口答えする気か?はぁ、なんでこんなのが生まれたんだよ。こうなったら」
「おい。親父。それは」
「黙れ。死ねぇ!!」
「っ・・・」
変な夢を、見てしまったな。そういえば、こんなこともあったか。僕の親父は、娘への愛が深すぎるあまり、何度も僕を刺し殺そうとした。その度に、なんとかして避けていたのだが、まあ当時は中々焦ったことだ。
「変に汗かいちまったな」
ちょっとだけ、シャワー浴びてくるか。たしか、部屋についていたはずだから。そうして僕はゆっくり起き上がり、洗面所へ向かった。衣服を脱いで、そして、ドアを開けた次の瞬間、
「え!?」
「・・・・・・」
なんでいるの?しかも、なんで電気つけてないの?
「と、とりあえず・・・」
「いや、えっと」
どうしようか。とりあえずまぁ、一旦ドアを閉めるか。それで、
「なんでいたの?」
せめて電気つけましょ?そうして、僕が洗面所で待機していると、
「あ、あの、先輩。入ってきてください」
「は?いいのか?」
「えぇ、まぁ。どうぞ」
言われたので、仕方なく入る。
「どうしたんだよこんな夜に電気も付けずに」
「えっと、ちょっと気分を変えようって思って。その」
「あー、えっと。怖い夢とかでも見た感じか?」
「はい。お恥ずかしながら・・・」
「じゃあなんで尚更電気なんか消してたんだ」
「それはー、みんなを明かりで起こしたら悪いなって思って」
「別にいいよそれくらい。びっくりしたー。次から電気付けろよ?」
次があるかわからないけど。
「はい。善処します」
「んじゃ、それで」
「待ってください!!」
「どうしたよ」
「せっかくだから、入っていきませんか?」
「・・・えっと、その。誘ってます?」
「はい。誘ってます。いいから、来て」
「じゃ、じゃあ。わかった」
そう言われたので、僕は湯船に入る。
(なんだよほんと。どうしたんだ?)
昨日の散歩の時といい、様子がおかしいぞ。なんでまたわざわざ入ってこいなんか言って。
「先輩。今日でもう終わっちゃうんですね」
「そうだなー。楽しかったか?」
「もちろん。楽しくないわけがないじゃないですか」
「そっか。そりゃよかった」
「・・・。あの、先輩」
「どうした?」
「私、怖い夢を見ちゃって」
「あぁ、さっき言ってたな」
「それで、もしよかったらなんですが、ベッドまで連れてってくれますか?」
「・・・はぁ?」
なんだほんと。意味わかんない。なんでこいつは優希みたいなことをして来る?まさか、好きなのか?いやでも、そんなはずが。
「先輩。そろそろのぼせそうで・・・」
「あーはいはい。わかったよ」
いや、後輩なんだから、甘えたいときくらいあるか。仕方ない。そりゃあ、目の前であんなのを見せられたら嫌にもなってくるよな。そうして僕は、みぞれを抱えて部屋へ戻った。
「これでいいか?」
「はい。ありがとうございます」
「それじゃあ寝ようか」
「・・・はい。おやすみなさい」
正直言えば、終わって欲しくなんかなかった。先輩とお風呂で鉢合わせたのは本当にたまたまだけど、でも、もっと話したかった。だって、だってさ。
「優希と真愛ちゃんばっかさ、ずるいじゃん」
そりゃ私もアタックしに行かないのが悪いんだけどさ。でも、あんな見せつけるようにされちゃったらさ。私も我慢できないよ。
「せんぱい・・・」
先輩は、既に眠りについたようだった。
「私だって、先輩のことが大好きなんだよ?」
先輩は、誰のものでもない。そんなことはわかってるけど。でも、ほしい。先輩という男の人がほしい。
「いやいや、だめだめ!!」
真っ当にアタックしなくちゃ。でも、私もさ、
「やるときはやるんだよ?」
先輩の寝顔に顔を近づけて、そして、
「先輩。ごめんなさい」
私は人生で初めて、誰かにキスをした。
「私も、先輩に甘えたいんですから。これくらい許してくださいね」
うん。やりたいことはやれた。そろそろ、私も寝ましょうか・・・。




