誰の女に手ェ出したか分かってんのか?
そんなこんなで、ようやく海へとやって来ていた。
「海だーー!!」
どうやら、ここの海は有名らしい。春になると、海岸に咲いている桜が、絶景となるらしい。夏は、そこまで有名ではないが、まあ遊泳スポットとしては、人気はそこそこらしい。
「それじゃあ、まず何する?」
「そうだねー。初っぱな海に入るのも悪くないよね!!」
「わかるぅ~!!やっぱ、海行っちゃう!?」
「行こ行こ!!お姉ちゃん」
「あ、待って。尊死する」
「死なないでー!!」
「ま、楽しんでこいよ。僕はパラソルの下で休んどく」
「なんでよ。海で遊びたくないの?」
「一旦休憩。そのうち遊ぶよ」
「んー。まぁ、わかった。それじゃあ、お姉ちゃん行こ!!」
そうして、真愛と優希は海へと走っていった。
「それで、みぞれはどうするんだ?」
「あ、えっと。先輩は、海に行かないんですよね?」
「今はな」
「正直なことを言うと、先輩と遊びたいんですけど・・・。動けないですよね」
「いやまぁ。根性で動けることはできるけど」
「あ、いえ。無理しなくて大丈夫です」
「そっか。まぁ、とにかく楽しめよ。優希たちと一緒に遊んでこいよ」
「いいんですか?」
「いいに決まってる。行きたいなら行ってこい」
「わ、わかりました」
そうして、みぞれも走っていった。僕が行かない理由は、そこじゃない。楽しみすぎたら、周りに目が行かなくなる。だから、僕はまだ遊ばない。だって、忘れがちだが、あいつらは美少女だ。だから、ナンパをする男が現れるだろう。そうなったとき、女の力じゃ無力だ。だから、僕がみないといけない。
「流石に、中二病過ぎるか?」
心配しすぎな気もするけど・・・。まぁ、
「とりあえず、寝るか」
気配だけ探っておけばいいだろう。さて、目蓋を閉じるとしよう。
「いっけぇー!!」
「きゃっ!!冷た!!」
私たちは、すごく楽しんでいた。だって、海に来るなんてそうそうないから。だから、遊び呆けていた。
「まてーい!!」
「えへへー。私の速さについてこれるかな?」
「忘れちゃいけませんよ?一応、私中学生陸上の日本記録保持者ですからね?」
「え?」
刹那、一瞬でお姉ちゃんに接近し、私はすぐに捕まえた。
「は、はやい・・・」
「言ったでしょ?私は日本記録保持者なんで」
「これは勝てない。よし、疲れたし、飲み物でも買いに行く?」
「いいね!!先輩も、行きましょ!!」
「あ、うん」
そうして、私たちは売店へと向かった。
なんでだろう。なんだか、すごく複雑な気持ちだ。楽しいはずなのに、何故か。複雑な気持ちだ。今日、あの光景を見たときから、少し胸がざわついていた。この感情が、何を示しているのか。私にはわからなかった。しかし、考えたら、なんなのかはすぐに分かった。これは、先輩に向けての感情だった。何故か、今日先輩を見ると、心臓が跳ね上がるのだ。先輩を見るたびに、ドキッとしてしまう。この感情がなんなのか。私には分からない。先輩が遊ばないのも、モヤモヤする。何かあるんじゃないだろうかって。心配してしまう。
「みぞれ?」
「ん?どうしたの?」
「いや、ちゃんと楽しんでる?」
「もちろん!!ごめん、なんか変な顔してるように見えた?」
「いや、全然。まぁ、楽しんでいるようだったらそれでもいいよ!!」
私は、こうやって仮面を被ることしか出来なかった。そりゃあ、優希達に心配をかけたくないから。でも、やっぱり、先輩のことが気になってしまう。この気持ちは、一体なんだろう。私が、体験したことのないモヤモヤ感だった。
僕は、前世で安心して寝れない生活を送ってきた。いつ襲撃されてもおかしくないし、いつ死んでもおかしくない世界で、生きてきた。だから、僕は気配に敏感になった。寝ている間でも、危険を察知したら、すぐに目を開けれるようになった。だから、ナンパをされたって・・・。
「っ・・・」
刹那、気配を感じた。何かを示唆しているような、そんな気配。
「そういうことか」
早速、ナンパ男が現れたわけだ。
「よくもまぁ、俺の連れに手を出しやがって」
さぁ、どんな奴か見てみようじゃないか。そうして、気配のする方向に足を向けて・・・。やがて、人集りを見つけた。まずは。
「ぐはっ!!」
一番近くにいた男を殴っておいた。
「なんだよお前!!」
「あぁ。そいつらの連れっす。んで、何をしてたんだ?」
「関係ねぇだろ!!お前みたいなヒョロガリに、関係ねぇよ!!」
「ほう。そういうか。真愛。ナンパされてたんだよな?」
「え?・・・う、うん」
「答え合わせが出来た。さぁ、覚悟しろよ?兄ちゃん達。誰の女に手ェ出したか分かってんのか?」
「あぁ!?知らねぇよ!!」
そう言って、そいつらは僕に向かって殴りかかってくる。大人数でしか、行動できないのかよ。しかしまぁ。前世で積み上げてきた実力がある僕に、叶うわけもなく。
「はぁ。ヒョロガリじゃねぇよ」
若いお兄ちゃん達は、一瞬にして倒れていた。
「行くぞ。お前ら」
そうして、僕は自分達のパラソルへと戻っていった。はぁ、ほんと。
「可愛いっていうのも罪だよなぁ」
なんて思いながら、僕はまたパラソルの下で寝そべるのだった。




