バスケ元日本代表の後輩の動きがレベチすぎる!?
ようやく電車を降りれた僕は、安堵していた。
「はぁ。まだ行きだってのに。もうこんなに疲れてんのかよ」
ほんと、最悪だった。両肩には女子の頭があるし、周りの視線は痛いしで。更には起こすのも悪いから、無理に身動きが取れない。
「はぁ・・・。肩いてぇ」
「ん?どうしたの?お兄ちゃん」
「知ってるくせに」
「ははーん。ごめんねお兄ちゃん。ついぐっすりしちゃって」
「ったく、とりあえず、会場まで歩くか」
「んー。まだ眠たいです」
「起きろ」
「あいたっ!?」
「あ、お兄ちゃん、女の子に暴力振るった!!だめなんだ。DV彼氏!!」
「小学生みたいなことするな。あと彼氏じゃない」
「DVは認めるんだ」
「あーもう、めんどくさい」
こいつ連れてくるんじゃなかった。と、僕は思った。
「ごめんって。まぁ、とりあえず行こ」
「出発?」
「いい加減起きろ」
「せんぱぁい。眠くてたおれそうなんで手貸してください」
「あーもう、なんでこんな面倒くさいやつしかいねぇんだよ」
「いいじゃーん。ほらっ」
「おい!!押すな!!」
「わぁ、先輩の手暖かい」
「あーもう。とりあえずこれでいけるならいいわ。つべこべ言わず、もう行くぞ」
「はぁーい」
何回このくだりやるんだよ。まったく・・・。朝から、ほんと疲れる。真愛はめんどくさいし、優希はシャキッとしないし・・・。まぁ、いいか。
会場につくと、既にわが校は練習を開始していた。ほとんどの1年生部員がスタンドに居座っている中、みぞれは一人だけ練習に参加していた。なんか、異質だな。
「優希。みぞれって、中学の時有名だったりしたんか?」
「んー。まぁ、女子バスケ界ではそこそこ名は知れ渡っていたと思います。なんせ、U16の日本代表ですからね」
「しれっととんでもない暴露されてる」
U16?日本代表?とんでもねぇ。
「だから試合もレギュラーを勝ち取ることが出来たのか」
流石に学校推薦だろうな。この学校は、私立だし。
「先輩かっこいい・・・!!」
「たしかに、普段見ない姿だしな」
普段のみぞれは、おしとやかで、物静かな清楚系タイプだが、バスケとなると雰囲気が一気に変わっているような気がする。それだけ、本気でやっていることに没頭しているというわけか。
「俺はそういうやつ、好きだな」
前世では、怠惰に生きていた。それから、最強になって、何かに全力で没頭している人を見ることが好きになった。どれだけ下手でも、それでも努力を続ける人。俺が最強になるまでの過程だったから、俺はそれが好きだ。
「ちょっと、見直した」
おしとやかではあるが、まだちょっと妹というか、子供感が強い。夢川涼緩という人間は、そういう人間だ。
「ねぇねぇ先輩。手振ったら振り返してくれるかな?」
「やめとけ。気持ちはわかるが、アップに集中させてやれ」
「ん。わかった」
なんだ素直だな。すっかり眠気も収まったか。よかったよかった。そして1時間後、
「今だったらちょっとだけ空きの時間があるし、みぞれと話せるんじゃないか?」
「ほんと!?じゃあ行きましょ!!」
「おい走るな」
慌ただしいやつだ。
「お兄ちゃん遅いよ!!」
「はいはいわかった。今行くから」
焦ると危ないぞー。と思いつつ、僕も彼女の元へと向かうのであった。
僕が着いた頃には、既に優希たちがみぞれと話していた。
「あ、先輩。来てくれたんですね」
「そりゃまあ、約束だからな」
ドタキャンするような最悪な男じゃねぇよ。
「試合まであと何分なの?」
「もうあと10分後とかだと思う」
「先輩のこと全力で応援します!!」
「ありがとう真愛ちゃん。是非ともお兄ちゃんにも見習って欲しいなぁ」
「だってお兄ちゃん。かわいい後輩がそうやって言ってるんだよ?」
「応援しないわけがない。じゃなかったらここに来てない」
「頑張ってねみぞれ」
「うん。ありがとう」
「それじゃあ、邪魔しすぎてもなんだし、戻るぞ」
「えー。まだ話したーい」
「でもな」
「いいよ。別に直前になるまでは自由だから」
と言われたので、僕らは雑談を続けた。
試合が始まってからのみぞれは、まったくの別人だった。そりゃあ、日本代表なだけあるわ。試合が始まった途端、みぞれがバンバンと点を決めていた。相手がどうにかして止めに入ったとしても、それをも見透かしていたかのように、先読みして避けていた。
「すげぇなあいつ」
もし、前世にあんなのがいたら・・・。
「ははっ。たまったもんじゃねぇ」
とにかく、僕が凌駕するくらい俊敏な動きをしていた。それから前半も、後半も落ちることなく、試合が終了していた。結果は、わが校の圧勝。
「周りのレベルも高いし、みぞれのレベルも異次元だしで・・・叶うわけないよな」
77ー4。こんなスコア、見たことあるか?連携がとにかくうまかった。励んできた絆が、試合に現れているんだろうと思った。それくらい、わが校のバスケ部は完璧だった。
「先輩凄かったね!!」
「そうだな」
「お兄ちゃんには到底出来ない芸当」
「うるせぇ」
出来ないじゃなくて、やれないんだよ。やったら、試合じゃなくなるから。
「いやぁ。来てよかった。まさかみぞれがあんなに運動できるなんて。知らなかった」
「そうだな。僕もそれは初耳だ」
「これからどうしますかー?先輩」
・・・。察してしまった。どうする。どうするのが、正解だ?どうしたら、デートを回避できる?ここには真愛もいる。つまり、真愛は確定で優希の味方をする。だったら、二人を納得できる策を・・・!!そうだ!!と思って、僕はその案を口にしたのだが。
「いや、普通に無理ですけど。ということで、デートに行きましょう!!あ、もちろん真愛ちゃんも着いてきていいよ!!」
「やったー!!先輩、ありがとうございます!!」
結局、デートさせられる羽目になるのであった。




