学園一の美少女が甘えん坊になってしまって!?
約束の土曜日になったので、駄々こねてついてきた真愛と一緒に、優希を待っていた。
「たのしみー」
「みぞれになんて言われても知らないからな?」
「大丈夫だって!!先輩なら、受け入れてくれるって」
「お前なぁ・・・」
人を信じすぎだと思う。人は、信じるだけ損だ。裏切られて、最終泣くのは自分自身。勝手に信じて、泣くだけ。それなのに、人を信じることの何がいいのだろうか?
「またなんか思ったでしょ」
「そりゃあな。じゃなかったらこんな渋い反応しねぇよ」
「ま、それもそっか。あ、あれ優希先輩じゃない!?」
すると、その先には、
「わぁぁぁ!!!きれい!」
「モデルかな?めっちゃ可愛くない!?」
そこには、周りから黄色い声援が飛び交う注目の的、白夢優希がいた。
「そういえば、あいつ学校のマドンナだったな」
短いようで、長く関わっていたから、少し忘れかけていた。そうだ。こいつは学園一の美少女だった。
「あ、先輩たち!!おはようございます!!」
「うげっ」
「優希先輩!!おはようございます!!」
「真愛ちゃんおはよう!!来てくれたの?」
「はい!!先輩の勇姿を目に焼き付けたいので!」
「きっとみぞれも喜ぶよ!!・・・てか、先輩。私が挨拶したら、うげって言いましたね?」
「あ、やべ」
つい漏らした反応が。
「ひどい。そんなに私のこと嫌いなんですか・・・?」
「う、うぅぅ」
「お兄ちゃん酷い。こんなに可愛い先輩に、そんなこと言ったの?さいてー」
「ち、違うんだって。優希は注目の的だったろ?僕は注目を浴びるのが嫌いだ。だから、注目の的の向かう先がこんな僕たちだっていうことが知られて、ちょっと恥ずかしいなってなって!!」
「僕たちって何よ!?」
だめだ。今日地雷を踏みまくっている。もう、口を開けないほうがいいんじゃないか?
「はい。理由はわかりました。じゃあ、改めて言ってください。おはようございます。先輩」
「お、おはよう」
「うん!!それでいいんです!!」
「ふ、ふう」
なんとか、機嫌を戻せたようだ。
「それじゃあ、早速行きましょうか」
「片道2時間かぁ~」
気が遠くなる長さだな。
「ほら、何してんの。はやく行くよ」
「あ、あぁ。わかった」
電車に乗ってすぐ、
「お、空いてるな」
僕が近くの席に座ると、
「先輩の横貰いまーす!!」
「おいこら」
最近、なんかこいつのスキンシップ増えていないか?好きだから・・・というのもあるだろうけど、前はこんなやつじゃなかったような気がする。
「いいじゃんお兄ちゃん。グチグチ言ってたら嫌われるよ?」
「そうですよ先輩!!真愛ちゃんわかってるー!!」
「ほんと、こいつらの団結力はなんなんだよ」
ちゃっかり真愛も隣に座ってきやがるし。やっぱこいつブラコンだろ。
「お兄ちゃん。あれ、出して」
「はいはい」
ちなみに、あれ。とは、真愛の大好きな陽の夏ソーダだ。僕はよくわからないが、真愛曰く、
「夏のような涼しく暑い情景が頭に流れ込んできて、少し甘酸っぱい味がする」
とのこと。その時、僕はこう思った。
(こいつ、食レポうまいだろ)
と。
「先輩、今日は暑いですね」
「そうだな。天気予報見たが、30℃越えるってよ。まだ6月なのに夏さん張り切ってるよな」
「そうですねぇ。溶けてしまいそうです。だから、先輩・・・」
その瞬間、
「うわっ!!」
「先輩の体温で、私を涼めてください」
「いやいや、お前、人間の平温知ってるか?」
「36℃ほどですね」
「知ってるんじゃないか。だったら、僕で涼むなんてできねぇだろ」
「いや?それは間違いですよ?先輩好きな人いたことないから知らないんですかー?好きな人にくっつくとね、体温が下がるんだよ?」
「あのなぁ、流石に僕でも知ってる。そんなんで、体温が下がるわけがない」
「・・・チッ」
「おい、いま舌打ちしたな!?」
「いえ?してませんけど?」
「うそつくな」
「まぁまぁいいじゃん。ちょっとくらいは許してあげなよー。それでもって先輩でしょ?」
「じゃあお前、同級生の男子に抱きつかれても、嫌じゃないのか?」
「それとこれでは話が違うじゃん?」
「違わない」
「論点がずれてるんだよ。まぁ結局は、許してあげてってこと」
「傍観者の癖に・・・」
「そうですよ!!先輩として、優しく見守ってあげるべきです!!」
「お前は何様だ」
まったく、朝からとんでもないぜ。
「ねぇねぇ先輩」
「なんだよ。また」
「私ね、今日寝不足なの」
「ほう、そりゃどうしてだ?」
「先輩のためにね、朝早くからセットしてきたの」
そういえば、だからいつもと雰囲気が違ったのか。
「だからね、ちょっと寝不足なの。そこで、先輩に頼みがあるの」
「・・・なんだよ」
「肩、貸してくれますか?」
だろうと思ったよ。今日のこいつは、甘えたいモードだろうからな。でもまぁ、眠いんだったら、仕方ないか。
「まぁ、今日だけな?」
「っ!!」
「どうしたんだよ。お前から聞いてきたんだろ?」
「いいえ。なんでもないです。ありがとうございます。先輩」
そう言うと、優希が僕の肩に頭を寄せてくる。その瞬間、シャンプーの香りが漂ってくる。
(いい匂いだな。まさか、これも・・・?)
「いや、流石に妄想しすぎか」
「私を妄想に使ってくれてもいいんですよ?」
「だまれ」
僕がそう言うと、優希はゆっくりと、静かに目を閉じた。
「ふふん、お兄ちゃんもやるね」
「うるさい。おまえも寝不足なんだろ?」
「う、うん。先輩の試合が楽しみすぎて、夜眠れなかった」
「じゃあ、今寝ておけ」
「はぁーい」
その後、僕はとんでもない状況に巻き込まれるのであった。




