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後輩にまさかの好かれてしまった!?  作者: 柴田優生


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真実

その日から、少しだけ優希の様子が変わった気がする。いつもは、朝教室にやって来ては

「おはようございます」

と挨拶をしに来るのだが、今日はそれをしに来なかった。用事があるんだろう。と思ったが、彼女は用事があったとしても必ず朝休みの間に間に合わせて挨拶をしに来る。だから、このような出来事は僕が一度距離を置いた以来の話だ。まぁ、ぼくにとってはそんな話どうだっていいことだから、その日は無視して1日を終えたが、それでも流石に違和感を感じる。たしかに学校では優希を見かけたから、休んではいないんだが、今日は一度も話しかけてくる、なんて事はなかった。珍しいな。と思いつつも、何があったのか気になっていた自分がいた。

「多少は、意識してしまうようになってしまったか」

自分にとって、それは最低な感情だった。だって、前世で僕は結婚しているから。だから、浮気など、許される行為でもないのだ。ただ、どうにかしてその気持ちを紛らわせようとしても、無意識に心配をしてしまう。これは、優しさなのか、それとも依存なのか。それは僕でもわからない。しかし、何か特別なんだろうということだけはわかる。

「しかし・・・」

気になっているというのも事実、明らかに優希の様子はおかしかった。僕が何かをした・・・と言えば、昨日の事なんだろうが、優希の事だったらいつもは、

「やはりそうですかぁ~。でもでも、私、諦めませんからね!!」

と言って、逆に笑顔を浮かべる。から、それも合間って、引っ掛かるというわけだ。だったら、昨日の優希は、何かしらそこが違ったということなんだろうか。だとしたら、何が。なにが、違ったんだろうか。少し、それを考える。しかし、それは簡単な問題ではなかった。いくら考えても、わからない。

「そりゃそうか。人の心を読めたりする訳じゃないしな」

でも、何かしら原因は僕にあるだろう。これだけ関わっているから、いつしか原因を生んでいたとしてもおかしくはない。でも、だったらなんだ?しばらく、考える。いろいろな原因を探って、さがし続けて・・・やがて、

「まさか?」

いやしかし、一番可能性はある。が、確定的な自信は持てない。だって、その答えは、一番解答に近く、結果に遠いから。しかし、これしか思い浮かばない。だったら、

「聞くしかない」

そう思った僕は、すぐさまみぞれに電話をかけた。少し経ってから、やがてみぞれが応答する。

「先輩から電話って、珍しいですね。どうしたんですか?」

「今日、優希の様子、おかしいと思わなかったか?」

「・・・。先輩も、そう思ったんですね」

「もちろんだ。それで、考えたんだ。何かしら、僕がしてしまったんだろうと思って。考えて、それで答えを出した。その前に、お前に聞きたいことがある」

僕がそう言うと、みぞれは待っていたかのような声色で、僕に問いかけてきた。

「どうしたんですか?」

「優希の親友であるお前なら、彼女から全部聞いているだろ?だから、僕の相談内容も分かるよな?」

「先輩は、本当に観察力が凄いですね。そうですよ。優希から全部聞きました。それで、その先輩の捻り出した答えってなんなんですか?」

「あぁ。優希は・・・」

そうして、僕が考え出した答えを告げる。

「僕がそれを言うことを、求めていたんだろ?」

「・・・まぁ、そうですね」

それ、とは、僕に『好き』と言って欲しかったのだろう。いつもなら諦めるよりもよりやる気を引き出す優希だが、その物語の裏側に何かがあったんだろう。だから、僕にあんな質問を投げてきたのだろう。

「なぁ。聞かせてくれないか?その、”真実”を」

あまり、こういう人のプライベートな事情に踏み込むべきではないだろう。しかし、友達となってしまった以上、あいつに不幸な目には遭って欲しくない。だから、その”真実”を知る。

「優希から、絶対に話さないで。と言われてたけど、今後の先輩と優希の為だもん。優希になんと言われてもいいから。話してあげる」

そうして、みぞれは語る。


優希の家庭は、少し残酷な家庭だ。最初は、幸せな家庭だった。お父さんも、お母さんも、とても良心的な人で、優希の2つ上だったお姉さんも、面倒見がいい優しいお姉さんだった。しかし、ある日、交通事故で、お父さんとお姉さんが先立ってしまった。そのせいで、お母さんは仕事に明け暮れて、毎日帰りが遅くなってしまった。だんだんと、お母さんの目からは光が失われて行き、実の娘にも『愛情』を注ぐことはなくなった。その影響もあって、優希は一時期、目の光も完全に失われて、自分を閉ざした時期があった。しかし、そんな中に現れた、優希にとっての、唯一の光が、大和先輩だ。優希は、そんな先輩に完全に惚れ込んでしまった。しかし、そのおかげで、目に光が灯っていなかった優希も、徐々に明るさを取り戻していた。しかし、母親の愛情はもらえないばかり。限界が尽きてしまったことで、最後の望みとして、先輩に愛を確かめた。しかし、返ってきた答えというのが、

「恋愛的な意味では、すきじゃない」

という答えだった。それが、優希のメンタルを滅多刺しにした。


その話を聞いた僕は、とても後悔することになる。

「これで、彼女の話は終わりです」

「なるほど。わかった」

だったら、僕のすることは、ひとつしかないだろう。彼女を救うためにも・・・。僕は。

「最後の質問だ。優希は、今どこにいる?」

「私が教室にいたときは、まだ自分の席で座っていました」

だったら、それに賭けるしかないだろう。

「わかった。ありがとう!!」

そう言って、僕は走り出す。自分のしてしまった後悔を背負って。優希を、これ以上悲しませないように。

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