僕の実の妹が甘えてきて・・・?
そうして怒った真愛は、そのままお風呂へと向かった。
「いってぇ」
たしかに、最低なことはしたが、もう少し加減してくれたっていいのに。
「まぁ、そらぁ。流石に怒らせちまうよな」
一応、勘違いされないためにも言っておく。僕が突然、真愛の服を脱がせたのには理由がある。僕は、真愛が家にやって来ていた瞬間から気づいていた。
(こいつ、何も知らずに・・・)
真愛の服の中に、盗聴機が仕掛けられているのに気づいた。しかし、迂闊に口を動かしてしまっては、あいつにいろんな会話を聞かれてしまうから、僕は出来るだけ話さずにうまく自室へと呼び出した。そして、脱がしている隙に服の内にあった盗聴機を潰して、なんとか最後までは聞かれなかったようだ。しかし、
「あいつには、ちょっとは嫌われたかもな」
咄嗟に溢した言い訳も言い訳だ。
「ただ、どんな体か」
そんな、クソみたいな台詞を吐いてしまった。これじゃあ、近親相姦じゃないか。
「流石に、やってしまったな」
あんなことをしなくても、対策法はあったはずだが、今更になってあの行動に後悔する。そんな後悔をしていると。
<<ガチャリ>>
と、僕の部屋の扉が開く音がした。そこには、不機嫌そうにしながら、パジャマを来た真愛が立っていた。
「おかえり、真愛。あの、さっきは悪かった」
「・・・」
まぁ、そら黙ってしまうよな。あんなことをしたんだから、話したくなくなるのも当然か。と、思っていたが、
「それで、なんであんなことをしたの?」
「・・・え?」
「だから、なんであんなことをしたのって聞いてんの」
「あ、あぁ」
これはどうするべきか。もう盗聴機は機能を失っているから、会話を盗聴することは出来ないが、こんな理由を話したところで、ただの言い訳にしかならない。いや、何を話したって言い訳なんだが。しかし、真実を話してもこいつは信じないだろう。だったら、嘘を吐くしかないか・・・?
(ええい!!一か八かだ!!)
そうして僕は、嘘を吐いた。
「ただ本当に、体が気になっただけだ」
「それは、えっちな意味で?」
「いや、あのクソ親父は暴力癖があるだろ?だから、真愛が怪我を負ったりしてないかって」
「もう、なんで私の周りには心配性しかいないの?そんなの、されてないから。ほら、見たらわかるでしょ?腕にも脚にも、痣の痕とかないでしょ?」
「あ、あぁ。たしかにそうだな」
「だから、心配しなくたっていいの。もう、びっくりしたんだから。体がって言い出したとき、妹にそんな邪な感情を抱いていたのかと思って、一瞬びっくりしたじゃない」
「あ、はは。悪い」
「笑い事じゃないって。もう・・・」
なんとか、真愛の機嫌は戻ったようだ。あぁよかったよかった。とんでもない事態に発展しなくて。
「絶対、心の中では反省してないよね?」
「い、いや??そんなわけないだろ??」
鋭い。鋭いよ。僕の妹ちゃん。
「はぁ。なんか疲れた。これも、全部お兄ちゃんが悪いんだから。罰として、コンビニでアイス買って」
しかし、これに関しては流石に反省しないといけないだろう。だって、真愛からしたら実の兄に襲われかけたんだから。だったら、これくらいの謝罪は込めないといけないか。そう思って、僕たちは家を出てコンビニへ向かうのだった。
そして、コンビニからの帰り道。
「んー!!おいしー!!」
「ははっ。そうっすか。それはなによりで」
「いやぁー。ありがとうね?お兄ちゃん」
「これに関しては、僕が悪いからな。これくらい当たり前だっての」
「それもそうね。まぁ、なんやかんやで優しい兄でよかったよ」
「しかし、寒くないのか?そんな格好で」
「んー。ちょっと寒いかも」
最近ははやく暑くなるとはいえ、まだ5月の最初だ。夜になると、冷たい風が吹くだろう。現在、僕はそれを肌で感じているんだから。
「じゃあ、これが最後の償いよ。ちょっと、あっためさせて」
そう言って、少しだけ真愛は僕の方へ寄ってきた。ちょっとだけ、真愛の体を見ると、ほんの少しだけ、震えているのが分かった。
「寒いなら、最初からそうやって言えよ」
「お兄ちゃんも、こんなにかわいい妹にくっつかれて幸せでしょ?」
僕は、すこしからかうようにして、言う。
「いや、そうでもないな」
「な、なんですと!?」
「ははっ。悪い悪い」
「あっ!!絶対悪いと思ってない返事だ!!」
バレてしまったか。しかし、
「寒いなら、上を貸してやるよ」
そうして、僕は上着を着せてやった。
「ん、んっ。ありがとう」
何故かすこし残念そうな顔をしながらも、真愛は僕の上着を受け取って、それでもひっついてくる。
「なんでだよ。上着貸したから、もう寒くないだろ?」
「それだと、お兄ちゃんが寒くなるでしょ?だから、ひっついてあげてんの」
なにかおかしい。と思ったが、考えてみればすぐに答えが出てくるような、簡単な問題だった。
(ほう、そういうことか)
ここは、兄として、話を聞いてあげるべきだろう。真愛という少女は、何かあったら、甘えん坊になる性格だ。だから、恐らくなにかがあったんだろう。と、僕は睨んだ。だから、
「何かあったんなら、僕が相談に乗ってやるよ」
「・・・え?」
なんでわかったの?と言わんばかりに、きょとんとした顔でこちらを見つめてくる。
「やっぱり、私たちは兄妹なんだね」
そんな当たり前の言葉に対し、僕は、
「あぁ。僕たちは”兄妹”だ」
そう、返すのだった。




