思い出の場所で告白を・・・
そうして昼食も食べ終わり、僕たちは午後の部を楽しんでいた。
「そうだ!コーヒーカップ乗りましょう!!」
「コーヒーカップ?」
たしか、あの回すやつだったか?
「そう。私がゆっくーり漕いであげますから」
「まぁ、そうしてくれると助かるな」
まだ、昼飯を食べ終わってから数分しか経っていないし。そして、僕たちはコーヒーカップへ乗る。
「・・・ゆっくりすぎない?」
「早くしすぎても、目が回るだけじゃないですか」
「まぁ、そうだけどよ」
ほとんど回ってないぞ。これ。
そして次は、アヒルボート。
「見てみて!!先輩!!亀が泳いでる!!」
「ほんとだ」
珍しいもんだ。こんな水面に近かったら、轢かれてしまいそうだが、大丈夫なのか?
「もし先輩が、亀をペットとして飼うならなんて名前を付けますか?」
「そうだな。ほとんどは見つかった場所とか時期とかに由来して付けたいけど、定番のでいくなら亀太郎かな」
「か、かめたろう・・・。素敵な名前ですね」
「顔ひきつってるじゃねぇか」
そんな、他愛もない会話を繰り広げる。そんな、悪い名前だっただろうか?亀太郎は。
それから僕たちは、遊びに遊びまくって、気づいたときには夕暮れが空を染めていた。オレンジ色に空は染まり、近くにある海はおそらくそんな空を反射しているのだろう。
「あー。楽しかった!!」
「そうか。それはよかった」
「ねぇねぇ先輩。最後に観覧車に乗りましょ?」
「観覧車か。いいな」
もしかしたら綺麗な海を見れるかもしれない。そうすると、少し胸が高鳴ってきた。そうして僕らは、観覧車に乗る。
「わぁ。きれい・・・」
「海の方が完璧すぎる」
なんだあのオレンジ色に光る海は。見たことないぞ。
「それで、なんですが」
「どうした?」
「先輩は、今日のデート楽しかったですか?」
「もちろん。楽しくなかったわけがないだろ」
「っ!!それなら、良かったです!!初めてのデートが、先輩で、そして互いに楽しむことができて良かったです!!」
「とくに、お前がお化け屋敷でビビりまくっていたことが面白かったな」
「ちょ、先輩!!恥ずかしいことを掘り返さないでくださいよ!!」
「ははっ。悪い悪い」
少しだけ、彼女の顔が赤く染まった。照れているのか。面白いやつだ。そんな、無駄話を繰り広げていると、観覧車は頂点に達していた。そして。いざ後半に取り掛かろう。と、そんな時。
「先輩。私、最初から決めていたことがあるんです」
「ほう。それはなんだ?」
「最初から、絶対に、観覧車の頂点を回ったら言おうと思っていたことがあって。この、思い出の場所に、私のもう一つの思い出を残したくて」
「は、はぁ。それは?」
僕がそう言うと、彼女は意を決したように言った。
「先輩。私は、先輩の事が好きです。恋愛的な意味で。一人の男性として」
「っ・・・」
そんな、盛大な告白を受けた。
「だから、私と付き合ってください」
一度、僕が聞いたことがあるその言葉とまったく同じ文字列で。彼女は2度目の告白をしてきた。だが、僕の答えは決まっている。それはもちろん・・・
「ごめん、なさい」
「ですよね。わかっていました。・・・けど!!私、まだ先輩の事を諦めませんから!!絶対に、絶対に・・・!!先輩を私の彼氏にしてみせますから!!」
必死の叫びに、僕は、
「あぁ。頑張ってくれ」
と、返すのだった。彼女の2度目の告白は、また呆気なく夢叶大和という男に振られてしまった。しかし、前回と違ったことがひとつある。それは、
「っ・・・」
僕が、少しだけドキッとしてしまったことだ。しかし、そのことは、誰にも、話すことができない。それは、僕だけの秘密となるのだった。
観覧車はやがて下へ到着し、僕たちは日が鎮まって暗がり始めた園内を歩いていた。
「もう、終わりですかぁ。はやかったなぁ。先輩とのデート」
それは、僕も同感だった。いつも以上に、時が過ぎるのをはやく感じていた。
「あっ。あれって。プリクラ。というやつですね」
「プリクラ?なんだそれ」
「先輩知らないんですか?ポーズを決めて、一緒に写真を撮る機械なんですよ?」
「そう、なのか」
「あっ。そうだ。最後に、写真撮りましょ?思い出は、記憶に残すより物として残した方が印象深いですから」
「あぁ。わかった」
そうして、僕らは機械の中へとはいっていく。
「ほんとだ。カメラがあるな」
「そうなんですよ。あのカメラで写真を撮るんですよ。わかりました?」
「なるほどな。わかった」
そして、機械の音声が響く。
『二人でポーズを決めて!!』
「先輩。ポーズどれにしますか?」
「とは言ってもな。僕はそういうのには疎いんだ」
「そうですか。だったら・・・先輩。こっちをみてください」
「お、おう。わかった」
僕が、優希の方を見ると同時に、機械の音声がカウントダウンを始めた。
『それでは撮りますよ!!3、2、1!!』
「これで、いいか?」
すると。
「んっ!!」
「撮れましたね。先輩」
「お、お前。それは・・・なしだろ」
僕が優希の顔を見た瞬間。頬に柔らかい感触が伝わった。と同時に、カメラはシャッターを落とし、タイミング悪くその場面が撮られてしまった。
「今日だけは、お許しください。これも、私には大切な思い出なんです。初めてできた好きな人との、遊んだ思い出なんです」
いつもなら、何をやっているんだ。と怒声をあげて怒るが、今日だけは・・・。
「あ、あぁ。わかった」
彼女が起こしたその行動を、僕は許してあげるしかないのだった。




