学園一の美少女に告白されて・・・!?
「日常」とは、同じことを繰り返すだけだ。起きて、学生なら学校に行って、授業を受けて、部活をして、帰宅する。その流れが、日常と化すことだろう。僕というモテない男は、何も転機が訪れない日常だ。僕の名前は、夢叶 大和。ごく普通の高校二年生。だったはずだが、俺には、誰にも明かすことが出来ない、”秘密”がある。
僕という人間には、前世が存在していた。過去に、二つの世界を渡り歩いた。シスコンな妹に恋をされる世界と、異能力が存在した世界。その、二つの世界を生きていた。もちろん、そんなことを話しても、中二病扱いされるだけなので、誰にも言おうとも思わない。そして、前世では結婚をした。そんな、誰にも話すことが出来ない秘密がある。
そんなこんなで、俺は生まれ変わることとなった。それからは、特に何もない日常を過ごす筈だった。しかし、とある少女に出会ったことがきっかけで、僕の日常に転機が訪れた。その少女というのは、白夢 優希。1個下の高校一年生だ。放課後、校舎の一年生棟に、彼女に突然呼び出されたかと思えば、
「好きです!!付き合ってください!!」
と、予想もしない告白を受けた。まず、これが彼女との最初の会話だった。というのも、彼女と関わりは全くなかった。一方的に彼女のことは認知していたが、相手は僕のことなど眼中にないはずだ。だって、彼女は学園一と言って良いほどの美少女だと言われているから。そんな高嶺の花と言っても過言ではない美少女と、平凡な僕では関わりがあるはずがなかった。それなのに、告白をされた。その理由が、僕には一切分からないのであった。
「一応、惚れた理由ってのは訊けるか?」
「えぇっと、他の人とは違って全く私に興味ないといった感じが、好きになっちゃいました」
「それって、僕が好きになったらどうなるんだ?」
「それは、わからないです。私も、こんな感情を抱いたことはありませんから。もっと好きになって付き合ってほしいと言うのか。はたまた突然冷めるのか。それはまだわからないです」
そんな、曖昧な返答をされる。しかし、僕の答えは決まっていた。
「悪い。付き合うことは出来ない」
「ですよね。でも、絶対に振り返らせてみせますから!!覚悟しておいてください!!」
あぁ、面倒な奴に絡まれてしまった。しかし、それが僕と彼女が出会った瞬間だった。はて、平凡な学生である僕に訪れた、このような物語は、これからどうなってしまうのだろうか。
次の日、朝早くにチャイムが鳴った。はて、何か宅配でも頼んでいただろうか?まったく、そんな覚えはないが、とりあえず重い体を起こして玄関へ向かう。そうして、その戸を開けると。
「おはようございます!」
「・・・」
僕は、玄関の扉を閉めた。すると、またチャイムが鳴った。
「はーい」
「おはようございます!!」
「なんでちょっとキレ気味なんだよ」
「貴方が扉を閉めたからですよ!!」
「あぁ。ごめん。それで、白夢優希。何か用か?」
「なんでフルネームで呼ぶんですか。まぁ、別にいいですけど、それよりも!!一緒に登校しましょ!!」
「いや、無理だが?」
「なんでですかー!!」
「なんで友達でも、ましてや好きでもない女子と一緒に登校しなければいけないんだよ」
「じゃあ私のことを好きになってください!!」
「無理だ」
「なんでー!!けち」
「なんでそれで僕がケチになるんだよ」
そんな感じで、寝起きである僕にうるさい朝が訪れる。
「とにかく!!早く用意してください。学校行きますよ!!」
「だから、一緒に行かねぇっての」
そうして、何かを言う彼女を無視して、僕は玄関の扉を閉める。はぁ、全くうるさい奴に好かれたもんである。
そうしてそれから30分が経過し、俺は家を出ると、
「もう!!待たせ過ぎですよ先輩!!」
いると思っていなかった奴が、まだ玄関の前で待機していた。
「なんでいるんだよ!!」
「一緒に行くって言ったじゃないですか!!」
「そんな約束をした覚えはない!!」
「だって、一緒に行きましょって誘ったら、貴方が無言を返してきたから、てっきり承諾してくれたのかと」
「なわけあるか!!普通無視をされたら断られたって思うだろ!!」
いや、しかしそんなことを言っても無駄か。結局、こいつはそう解釈をした。だったら、何を返しても無駄か。しかし、このまま放って学校へ登校するのは流石に無理な話である。故に俺は、
「・・・今日だけだからな」
と、そう冷たい声で言い放った。しかし、優希の反応は思っていたのと違うくて、
「きゃーー!!塩対応な先輩かっこいい!!」
そんな、180度上の反応だった。
「はぁ、面倒くせぇ」
再度、思う。なんで僕みたいな男に惚れ込んでしまったのか。自分自身では、何も良いところなんてないと思うのだが。それから考えるに、つまり・・・
「この少女は、とんでもなくあほなのかもしれない」
そんな、答えしか思い浮かばなかったのだ。4月中旬の春、僕はとある少女に恋をされた。その少女は、とんでもなくあほで・・・。そんな、どう進展するかがわからない恋物語が始まるのであった。