表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

3、デリカシーのない言葉

――それは、突然にやってきた。




晴馬と再会した同窓会から、1ヶ月がたとうとする。



あのとき、お義母さんからもらった子宝グッズのおかげだとは、決して思いたくないけど…。



どうやらわたしは…、『妊娠』したらしい。




お義母さんの急な泊まりの訪問と、無理やりに子宝グッズを押しつけられ、ストレスが溜まっていたせいだろうか…。


今周期は、基礎体温がガタガタしていた。



低温期と高温期の違いを読むことも難しく、いつが排卵日かもわからない。



健康な人でも、1年に1回はこうした無排卵の周期もあるっていうし…。



と自分に言い聞かせ、完全に今周期は望めないと肩を落としていたけれど――。



そういえば、なかなか生理がこない。


やっぱり無排卵のせい?



だけど、なんだか少し体が熱っぽくて、寝不足でもないのに日中眠くなるときがある。



それに、ご飯の炊ける匂いを嗅ぐと気持ち悪いような気もする。



なんだか、いつもの生理前の症状とは少し違うような…。



――もしかして。



そう思って、今朝妊娠検査薬を試したのだった。



妊娠検査薬を使うのは、これが初めてではない。



気になって気になって仕方なくて、高温期14日目辺りで検査薬を試したことが何度かあったから。


いわゆる『フライング検査』というものだ。



だけど、いつも結果は決まって…真っ白。


判定ラインに、陽性の線が出ることはなかった。



今周期は、いつもより高温期の体温が高いような気がする。


下腹部の痛みもなく、生理がきそうな感じでもない。



そう思ってフライングするけど、真っ白判定の検査薬を見るたびに、いつもとんでとなく肩を落とすのだった。



だから、ここ最近はフライング検査はしていなかった。



今日だって、きっと真っ白に違いない。



なぜなら、翔平とタイミングを取れたのは1回きり。


そのときは、夜遅くに飲み会からベロベロになって帰ってきた翔平が、珍しくわたしを求めてきて、断れなくてしただけ。



排卵日付近かどうかもわからないあの1回だけで、そう簡単に妊娠するはずかない。


だって、これまで何度排卵日前を狙って試しても、妊娠できなかったんだから…。



9割そう自分に言い聞かせ、残りの1割でわずかな希望を抱いていたら――。




なんと、判定ラインに真っ赤な線が入っていたのだった。



初めて見る現象に、思わず息が詰まった。


そして、手が震えた。



これって…、妊娠してるってことだよね……?




妊娠していなければ、判定ラインに線が出ることはない。


…だから、これはほぼ間違いなく妊娠しているはず。



しかし、まだ『化学流産』という可能性もある。



妊活についていろいろ検索魔になっていたら、そういう知識も入ってきてしまうのだ。



こんなに線が濃かったら、その可能性は低いだろうけど…。


でもでも、化学流産じゃなくても、『子宮外妊娠』の可能性だって否定できない。



だから、病院に行って診てもらわないと、正常な妊娠かどうかはわからないのだ。




ぬか喜びになる可能性もあるから、朝のうちに翔平に話すのはやめた。



だけど、やはりうれしさはじわじわと込み上げてくる。



「あれ?なんか今日、いいことでもあった?」



寝起きの翔平に、突如そんなことを言われた。



「え…!?な…なんで?」


「だって、いつもより起こし方が優しかったような気がしたから」



…やばいっ。


無意識に、うれしさが滲み出ていた。



「そ、そんなことないよ?いつもと同じだよ…?」


「そう?まぁ、陽葵が機嫌いいなら、俺もうれしいけどー」



翔平には平静を装ってみるけど、早く病院に行きたい気持ちでいっぱいで、朝食の準備も翔平のお弁当作りだって、なかなか手が付かない。



頭の中は、ようやく待ちわびた『妊娠』の二文字しかなく、自分でもわかるくらいわたしはどこか上の空だった。



本当は今日、コンタクトを買いに眼科を受診する予定だった。


しかし、それをやめて、わたしは翔平が仕事に行ったあと、家から一番近い産婦人科に電話をしたのだった。




プルルルルル…



コール音の間、耳にかざすスマホを持つ手が緊張で震えている。




〈はい、赤鹿(あかしか)産婦人科です〉


〈あっ…あの、そちらにお伺いするのは初めてなんですが、今日の予約を取りたくて…〉



〈初診の方ですね。本日は、どうされましたか?〉


〈に…妊娠検査薬で、陽性反応が出たので…。それを確認してもらいたくて…産科を〉


〈妊娠のご確認ですね。でしたら、まずは産科ではなく婦人科での診察となります〉



あ…そうなんだっ。


てっきり、妊娠したら『産科』だと思っていた。



そうして案内してもらうがまま、今日の10時半に婦人科の初診の予約を取ってもらうことができた。



そのために、早く朝の家事を終わらせなきゃ!


でも、激しく動くのは…よくないよね?



昨日までなんとも思っていなかったけど、検査薬で陽性が出たとたん、わたしはお腹を気遣い出した。




赤鹿産婦人科を選んだのは、家から一番近いということもあるけど、この辺りでは人気の産婦人科らしい。



その分、いつもいっぱいらしく、当日に電話して予約を取れたのは運がよかったのかもしれない。



電話で、『少し待つことになるかも…』と言われたけど、全然構わない。


それで、赤ちゃんを見ることができるのなら。



赤鹿産婦人科は先生も評判がよくて、外装も内装もまるでホテルみたいにキレイ。


産後のお祝い膳も豪華で、遠くから受診する人もいるんだとか。



そんな産婦人科が近くにあるなら、必然的にそこを選んでみたくなったのだ。



いつかわたしもここで…。


という思いを抱きながら、何度その赤鹿産婦人科の前を通り過ぎたことか。




赤鹿産婦人科までは、自転車で10分もかからないくらいだ。


しかし、自転車の振動がお腹によくない…なんてことも聞いたことがあるから、20分かけて歩いて行くことにした。




「あ…あの。10時半から予約していた、飯田ですが…」


「飯田様ですね。こちら、問診票になりますので、おかけになってご記入お願いします」


「はい」



受付で問診票を受け取ると、わたしは初めての産婦人科におどおどしながら、待ち合い室のソファに腰を下ろした。



当たり前だけど、女性の患者さんばかり。


それと、ふっくらしたお腹の妊婦さんの隣に、旦那さんらしき付き添いの男の人も何人かいた。



翔平もいっしょに赤ちゃんを見たい、なんて言ってくれたりするのかな。



そんなことを考えながら、わたしは問診票を記入した。




予約の時間から遅れること…20分。



〈婦人科でお待ちの飯田様。診察室にお入りください〉



アナウンスで名前が呼ばれ、わたしはドキドキしながら診察室のドアを開けた。



中にいたのは、40歳くらいの女医さんだった。   



イスに座ったあと、簡単な質問をされて――。



「それでは、さっそく赤ちゃんを見てみましょう」



そう言われ、看護師さんが隣のカーテンを開けると、診察台があった。



…あ、これ知ってる。


座ったら、足がパカーンって開くやつだよね。



「下は、ショーツまで脱いで診察台にお上がりください」


「は…はい」



恥ずかしいけど…。


そんなことも言ってられないよね。



わたしは言われた通りに、診察台に腰掛けた。



「では、診察台が動きます」



診察台を操作されるまま、わたしは大股開きに。


そして、冷たい器具のようなものが入ってきた。



「力抜いてくださいね」


「はい…」



診察台のすぐそばにあるモニターには、白黒の映像が映っている。


だけど、なにがなんなのかさっぱりわからない。



「飯田さん」


「…はい?」


「モニターで、黒い袋のようなものが見えるのがわかりますか?」



黒い…袋のようなもの?



この、丸っこいやつかな?



「は…はい」


「これが胎嚢と呼ばれる、赤ちゃんが入っている袋です」


「これが…」



モニターの映像が、わたしのお腹の中を映し出していることにいまいちピンとこないけど、確かにわたしのお腹の中には、赤ちゃんが入っている袋が確認できたのだ。



「あの…赤ちゃんは…」


「週数が早いので、赤ちゃんは小さくてまだ見えませんね。でも、ちゃんと子宮内で正常妊娠しているので、安心してくださいね」



よ…よかった。



化学流産でもない、子宮外妊娠でもない。


わたし…ちゃんと妊娠できたんだ。




診察の結果、今は5週と2日くらいだとのこと。


2週間後の検診で赤ちゃんの姿、そして運がよかったら心拍が確認できるかもしれないらしい。



「では、また2週間後にきてくださいね」


「はいっ。ありがとうございました」



診察はそれだけで、意外とあっさり終わってしまった。



テレビだったら、「おめでとうございます!母子手帳をもらってきてください」って、お医者さんから言われたりするんだけどな…。



調べたら、病院にもよるみたいだけど、予定日が確定するまでは、そういったことは言わないらしい。


妊娠はしているけれど、予定日がわかる週数になるまでは、流産の可能性もあるからだそう。



わたしにもその可能性は無きにしもあらずだけど、初めてのエコー写真を手にして、内心は顔がにやけそうなくらいうれしかった。



まだ黒い輪っかしか見えないエコー写真。


だけど、この中に小さな小さな赤ちゃんがいる。



早く赤ちゃんの姿が見たくて、次の検診が楽しみで仕方がなかった。



そのせいだろうか…。



2週間後の検診までが、驚くくらい長く感じた。



いつもなら2週間なんてあっという間なのに、まだ3日しかたっていない…。


まだ1週間しかたっていない…。



わたしは、毎日カレンダーとにらめっこだった。



翔平には、心拍が確認できてから報告することに決めた。


わたしでも、胎嚢だけのエコー写真を見ただけじゃあまり実感がないから、ちゃんと赤ちゃんの姿が映ったエコー写真を見せて、翔平をびっくりさせたい。



幸い、今のところつわりも軽く、翔平はわたしが妊娠していることにはまったく気づいていない様子。




そして、待ちに待った2週間後の検診。



「飯田さん、わかりますか?赤ちゃん、見えますね」



白黒のモニターには、確かに前回は見えなかった細長い丸いものが映っていた。



これが…赤ちゃん。



そして、そのさらに中にはチカチカと点滅して見えるものがある――。



「これが、赤ちゃんの心臓ですね。無事に、心拍確認できましたよ」



普通の人間の鼓動のリズムと比べたら、ものすごい速さでチカチカと動いているけれど、これが赤ちゃんの心臓なんだっ…。



この2週間で、ちゃんとわたしのお腹の中で育ってくれていた。




「それでは、また次は2週間後にきてください。次回は妊娠9週目辺りになりますから、おそらく予定日もわかると思いますよ」



どうやら予定日が確定すれば、晴れて婦人科から産科に移動できるんだそう。



また、長い長い2週間の始まりだ。



心拍も確認できたことだし、早く翔平に伝えたい!



そう思って、スマホのメッセージ画面を開いた。


…だけど、それをすぐに閉じた。



やっぱり大事なことだから、メッセージじゃなくて直接伝えたい。



わたしは、その日翔平が帰ってくるのを楽しみにしていた。




しかし、そういうときに限って、翔平は残業で遅くなってしまった。



【先に寝てていいよ】



翔平はそうメッセージを送ってくれたけど、今日は特別な日だから…できれば翔平の帰りを待っていたい。



だけど、眠りづわりのせいで、驚くくらい眠い。


22時の時点で、寝転びながらいじっていたスマホを顔に落とすくらい眠くて仕方がなかった。



だから、その日は結局、翔平が帰ってくる前に眠ってしまった。




次の日。



今日こそは…!


今日の朝食のときに、翔平に伝えよう!



そう思って、張り切って朝食を作っていたんだけど…。



「あれ…!?翔平、もう起きたのっ?」



いつもはわたしが起こしているのに、今日は自分で起きて忙しなく身支度をしている。



「…ああ。朝一で大事な会議があって、その準備で早く出社しないといけないんだっ…」


「えっ!?じゃあ…朝ごはんは!?」


「食べてる時間ないから、適当にコンビニで買って済ませるよ。もう出るから、お弁当もいいやっ」


「…あっ。でもわたし、翔平に――」



話したいことがあったんだけど…。



こんな朝のバタバタしているときに話しても、素直に喜べないだろうから――。



「ん?どうかした?」


「…ううん!なんでもないのっ。いってらっしゃい」


「いってきます…!」



翔平は履きかけの靴に躓きながら、急いで出ていった。



毎年、秋くらいから年末にかけては繁忙期らしいけど、今年はとくに急に忙しくなったんだそう。



だから、毎日のように夜遅くまで残業。


そして、いつもより早く出社するものだから、『妊娠した』とゆっくり話す機会なんてなかった。



そして、気づけば明日が次の検診日となっていた。



【今日は早く仕事終われそうだから、飲んで帰るから】



お昼すぎに、翔平からそうメッセージが届いた。



早く終われそうなら、早く帰ってきてほしいのが本音だけど…。


この約2週間、短い睡眠時間で仕事をがんばっている姿を見ていたから、たまの息抜きも仕方ないよね。



【うん、わかった。ちょっと翔平に話したいことがあるから、できれば少し早く帰ってきてくれたらうれしいな】



と、わたしは返信しておいた。




飲み会のときは、いつもなら遅くても22時までには帰ってきていた。


だけど今日は、22時を過ぎても帰ってくる気配がない。



わたしはと言うと、数日前から眠気が徐々にましになってきていた。


だから、まだ起きていられる。




そして、0時近くになって…。


ようやく玄関のドアが開く音がした。



「ただいま〜」


「おかえり、翔平…!遅かったね」


「あ〜…、ごめん。途中で部長と会っちゃって、それで…」



付き合わされたんだね。


それなら、怒るに怒れない。



翔平はものすごいお酒臭かったけど、それにしては足取りや呂律はしっかりとしていた。




「で、話があるんだっけ?」



しかもシャワー後、お昼に送ったわたしのメッセージのことまで覚えていた。



できれば、アルコールが入っていないときのほうがよかったけど…。


翔平の受け答えもしっかりしているし、この機会に話すことにした。



「…うん、実はね。わたし…、妊娠したんだっ」



それを聞いて、翔平は間抜けなくらいポカンとしていた。



「…ん?妊娠?」



その顔に笑いそうになりながらも、わたしは赤ちゃんが映っているエコー写真を見せた。



「これ、エコー写真。このちっちゃいのが赤ちゃんなの」



わたしが差し出したエコー写真をおそるおそる手にする翔平。



「…これ、…本物?」


「なに言っるの〜。本物だよ!」


「これが、俺と陽葵の…赤ちゃん?」


「そうだよっ」



わたしがそう言うと、表情の固かった翔平の頬が徐々に緩んでいくのがわかった。



「…えっ!マ…マジか!」


「マジだよ、マジ!」


「ほらなっ。オレが言った通り、作ろうと思えばすぐに作れるだろ〜。陽葵が考えすぎなだけだったんだよ〜」



それは、『今回はたまたま運がよかっただけ!』と言いたかったけど、翔平も喜んでくれていることだし、その言葉をぐっと飲み込んだ。



そうして安心したのか、翔平はベッドに入るとものの数秒で眠ってしまった。



翔平には、直接伝えられた。



そして、明日は検診日。



また大きくなっている赤ちゃんの姿を楽しみにして、わたしも眠りにつくのだった。




次の日。



「…ヤバイ!!寝坊だ〜…!!」



昨日、飲んでいて帰ってくるのが遅かったから、今日はいつもの時間かと思いきや、今日も早めの出社らしく、寝坊した翔平が飛び起きてきた。



昨日のことについてまともに言葉を交わす暇もなく、翔平は慌ただしく家から飛び出していった。



「あんなパパで大丈夫かな〜?ねっ?」



と、わたしはお腹をさすりながら声をかけた。




三度目の検診。


おそらく今日で、予定日がわかるはず。



わたしは期待に胸を膨らませ、赤鹿産婦人科を訪れた。



「おはようございます、飯田さん。体調いかがですか?」


「そうですね〜。とくに吐くようなつわりもなくて、今のところ大丈夫です」


「つわりは、ないにこしたことはありませんからね」


「前まではものすごく眠かったんですけど、少し前からそれも徐々に和らいてきました」


「そうですか。それでは、今日もさっそく赤ちゃんを見てみましょうか」


「はいっ」



ショーツを脱いで診察台に上がることにも、すでに抵抗がなくなってしまった。



赤ちゃん元気かな?



わたしは、モニターにじっと視線を移していた。




…あっ、見えた。


たぶん、あれが赤ちゃんだっ。



なんとなく、白黒エコーでも赤ちゃんの姿がわかるようになってきた。



……でも、あれ…。


前回と、なにかが違うような…。




「飯田さん、お疲れさまでした」


「いえ。…それで、赤ちゃんは?」



診察台から下りて、先生と向い合わせで座る。



だけど、なぜか先生の表情は固かった。



前までは、『これが胎嚢ですよ』、『これが赤ちゃんですよ』と、微笑みながらエコー写真の説明をしてくれたのに…。



「さっきエコーで、赤ちゃんの様子を見てみたのですが…。前回確認できた心拍が、今回は確認できませんでした」



その言葉に、わたしの頭の中は一瞬にして真っ白になった。



……えっ。


それって…。



「も…もしかして――」


「…まだ断定はできません。ですので、数日後にまた見てみましょう。それで確認できれば、問題ありませんので」


「…は…はい」



前回までは、赤ちゃんの元気に育つ姿を見れて、幸せな気持ちで診察室を出ていた。



だけど、今は…とてつもなく気持ちが重い。


両足になまりがついたように、足取りも重い。



…赤ちゃん、どうなっちゃったの。



わたしも、おかしいなとは思った。



だって、チカチカ点滅して見えていたものが、今日は見えなかったから。



それに、先生もいつもエコーですぐに、「赤ちゃん元気ですね」って言ってくれていたけど、今日はなにもなかったから…。



…ねぇ、赤ちゃん。


元気だよね…?


元気なんだよね…?



わたしはただただ、赤ちゃんの無事を祈ることしかできなかった。




次の診察は、3日後。


家に帰るとすぐに、スマホで検索を始めた。



7週目で確認できた心拍が、9週目で確認できなくなった。



それらしきワードを入れて検索をかけると、出てくる言葉は…『流産』。



でも、お腹の痛みもないし、出血もない。


流産の兆候なんてなかった。



ごくまれに、数日後にまた見てもらったら無事に心拍が確認できました、という記事も見つけた。



きっと、わたしもそれに違いない。



そう思いたかったけど、『流産』という言葉が頭の中をグルグルと回って離れない。



1人じゃ抱えきれないくらいの不安に襲われる。



…どうしよう。


一度、翔平に相談してみようかな…。



その日の夜、翔平の帰りを待っていた。



翔平に『きっと大丈夫』なんて言葉をかけてもらえたら、少しはこの不安も和らぐはず。



――そう思っていたんだけど。




「ただいま〜」



その日、翔平は残業もなく、いつも通りの時間に帰ってきた。



「おかえり。…ちょっと翔平、今いいかな」


「うん、どうした?」



と聞き返してきた翔平だったけど、急にハッとしたような表情に変わった。



「…もしかして!昨日のことだろ…!?」



…昨日のこと。


そう、翔平に妊娠したのを打ち明けた。



「うん…。昨日のことで、ちょっと…」



すると、なぜか突然翔平は顔の前で手を合わせた。



「…ほんと、ごめん!!昨日…俺、酔っぱらい過ぎてたよな…!帰りの電車に乗ったところまでは覚えてるんだけど、そこから家に帰ってきた記憶がまったくないんだよ…!」



…えっ……?



「気づいたら、今日の朝だったからさ…。なんか俺、帰ってきてから変なことでもしてた…?」


「そ…そうじゃないけど…。わたしと話したこと…覚えてない?」



おそるおそる尋ねるわたしに、翔平はキョトンとして首を傾げる。



「昨日、陽葵起きててくれてたの?…ごめん、全然覚えてないわ…」



そ…そんな……。



「そういえば、昨日のメッセージで話したいことがあるって言ってたんだっけ?なになに?聞くよ?」



…この様子からすると、どうやら本当に昨日のことは覚えていないらしい。



わたしが恐れていたことが起こってしまった。



受け答えもしっかりしていたから、大丈夫だと思って話したけど…。


帰りからの記憶が一切ないだなんて……。



わたしは、ため息をついた。



…なんだか、話す気もなくなった。



『流産したかもしれない』と相談したかったけど、それを話すにはまずは『妊娠した』ことをまた話さなければならない。



ただでさえ気が重くなる話だというのに、一から説明するのは…ちょっと今のメンタルに堪える。



「…ううん、いいや。そんな大した話じゃないから」



わたしはそれだけ言うと、せっせと夕飯の準備に取り掛かった。




次の検診までの2週間は、すごく長く感じたけど…。


再度心拍確認をするまでの3日間は、それよりも長く感じたのだった。




そして、3日後。


わたしは、気が進まないまま赤鹿産婦人科へと向かう。




本当は、逃げ出したいくらい。


でも、放っておいていい問題ではない。



…向き合わなくちゃ。



大丈夫っ…。


この前はきっとなにかの間違いで、今回はまた心拍が確認できるはず。



そう自分に何度も言い聞かせた。



――しかし。




「…飯田さん。残念ながら、今回も心拍は確認できませんでした…」



先生から告げられたのは、最悪の結果だった。



「赤ちゃんの大きさも、7週目の検診のときからあまり変わっていませんし、心拍も確認できなかったため、…赤ちゃんはすでにお腹の中で亡くなっています」



先生の声が…どんどん遠のいていく。



…ああ、そうか。


これは、夢なんだ。



わたしは、悪い夢を見ているだけなんだ。



しかし、それはすぐにただの現実逃避だと認識させられる。



まだ現実を受け止められないわたしに、着々と手術の説明がされる。



赤ちゃんがまだここにいるというのに、その赤ちゃんを外へ出す手術。



なるべく早いほうがいいと言われ、わたしの都合と病院の予約の空き状況から手術日の申込みをした。




「…飯田さん。大丈夫…?」



放心状態のわたしは、助産師さんに連れられて別室へと案内された。



そこで、妊娠初期の流産は決して珍しくないこと。


赤ちゃんに原因があり、お母さんは悪くないこと。



そんな話をしてもらえたけど、それでわたしの心が癒えることはなかった。



そういえば、最近眠気がましになったと思っていたけど…。


それはすでに、赤ちゃんが亡くなってしまっていたからなんだ…。



病院では、涙は流れなかった。


でも、家に帰ってきて1人になったとたん、次から次へと涙が溢れ出した。



お母さんは悪くないって言われたって、そんなのなんの慰めにもならない。



本当なら、今日予定日が決まるはずだったのに…。



決まったのは、…手術日だった。




その日は泣き散らかして、無気力状態。


なにも手につかない。



翔平には悪いけど、夕食は外で食べてくるようにメッセージを送っておいた。




「…陽葵?どうした?具合でも悪いのか?」



なにも知らない――。


いや…覚えていない翔平は、てっきりわたしが体調を崩したものとばかり思っている。



もちろん翔平に話す気力すらなくて、わたしはただただ布団にくるまるだけだった。




赤ちゃんが亡くなってしまったことがショック過ぎて、それから数日たっても翔平に打ち明ける気になれない。



こんなことなら…。



そう思って、わたしはだれにも報告しないまま、1人で手術の日を迎えたのだった。




もう、わたしの中に…赤ちゃんはいない。



悲しみに沈む、クリスマス前の出来事だった。




思っていた以上に手術はあっという間に終わり、周りに気づかれないように涙を流しながら、わたしは家へと帰るのだった。



しかし、その途中――。



「…陽葵?」



歩道のすれ違いざまに、だれかに声をかけられた。



鼻までマフラーで隠し、目元を見られないように視線を移すと、そこにいたのは…。



「…晴馬」



なんと、2ヶ月前の同窓会以来の晴馬だった。



「あれ?もしかして、陽葵ってこの辺りに住んでるの?」


「あ…。う…うん」



…やばい。


泣き顔を見られそう…。



「そうなんだっ。俺は、この近くに友だちが住んでて、今その帰りで――」



と言いかけた晴馬が、そっとわたしの腕をつかんだ。



「…陽葵、ここで立ち話も冷えるだろ?ちょっとこいよ」



……えっ?



それだけ言うと、晴馬はわたしの返事も聞かずに腕を引っ張っていった。



そして、近くのパーキングに置いてあった晴馬の車の助手席に乗せられた。



「ホットココアでいい?」


「あ…ありがとう」



パーキングの料金を精算したついでに、隣にあった自販機で、晴馬が温かいホットココアを買ってきてくれた。



「…急にどうしたの?」


「いや。せっかく会ったんだし、家まで送ろうかなって」


「って言っても、わたしの家…すぐ近くなんだけど」



そんな、車で送ってもらうような距離じゃない。



家まで送ろうかなと言っていたわりには、晴馬はわたしの家の場所を聞かずに、適当に車を走らせる。



「…ごめんっ。さっきのは嘘。陽葵のそんな顔見たら、放っておけるわけがなかった」



晴馬にそう言われ、とっさに顔を隠す。



だけど、わたしが泣いていたことに、晴馬はとうに気づいていた。



「…なにかあった?旦那とケンカでもした?」



晴馬の問いに、わたしは黙って首を横に振る。



「そっか…」



それだけ言うと、晴馬はなにも聞いてこなかった。




とうやら、これはいわゆるドライブのようで、晴馬は目的もなく車を走らせてくれた。



「わたしと2人でいるところをもし彼女さんに見られたら…、まずいんじゃないの?」


「それはお互いさまだろ?それに俺たち、もうとっくにそういう関係じゃないじゃん。今はただの友だちだろ?」


「…うんっ、そうだね」



その言葉に、なぜか安心した。



わたしたちは、もう恋人同士ではない。


だけど、なにもなかったただの友だちというわけでもない。



付き合っていたときは、わたしの悲しいことも辛いことも晴馬は共有してくれた。



…だから、その名残りなのだろうか。



「わたし…、さっき手術してきたんだ」



自分でも驚いたけど、翔平にも打ち明けられなかったことを、晴馬には話していた。



「…手術?どこか悪いの…?」


「ううん。ここにね、赤ちゃんがいたんだけど…」



そこまで言うと、また涙がじわりと溢れ出して喉が詰まった。



「…そっか。それ以上、なにも言わなくていいから。…辛かったな」



晴馬の言葉に、わたしは涙をこらえながらゆっくりと頷いたのだった。




そのあと、車内には会話はなかった。


だけど、べつに気まずいという雰囲気でもなかった。



晴馬は、あえてわたしに言葉を求めていないだけ。


わたしは、気分を紛らわせるように、ただ車の窓から過ぎゆく風景を眺めるだけだった。




晴馬は無事にわたしを家まで送り届けると、改めて声かけるわけでもなく軽く手を上げ、そのまま行ってしまった。



翔平には言えず、これは1人の問題だと思っていた。



でも、晴馬に話して…。


少しだけ気持ちが軽くなったような気がした。




それから、わたしはなんとかいつも通りに振る舞おうと心がけた。


そのおかげで、翔平はなんにも気づいていない。



そして、最後に辛い思いをした年から、新たな年へと移り変わった。




1月1日、元旦。


この日は、飯田家に集まるというのが決まりだ。



車で翔平の実家へと向かう。


手土産の和菓子も持って。




「ただいま〜!」



そう言って翔平が玄関のドアを開けると、中からバタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。



この家には、お義父さんとお義母さんしか住んでいない。



なのに、この軽い足取りは――。



「あー!翔ちゃんと陽葵ちゃんだー!」


「きたきたー!」



玄関まで駆けてきたのは、お揃いの服を着た2人の男の子。



陸斗(りくと)海斗(かいと)かっ!?久しぶりだな!」



翔平はそう言って、2人の頭をわしゃわしゃと撫でる。



この男の子2人は、上が陸斗くんで、下が海斗くん。


わたしたちの甥っ子にあたる。



つまり、この2人がいるということは――。



「きたきた、兄ちゃん!」


「お久しぶりです、お姐さん」



奥から出てきたのは、美男美女の2人。



そう。


陸斗くんと海斗くんの両親だ。



緩めのパーマのあたった黒髪短髪のイケメンが、翔平の弟の哲平くん。


その隣のきれいな奥さんが、真奈(まな)ちゃんだ。



「なんだよ〜。こっちにこれるなら、連絡くらいしろよ〜」


「ごめんごめん!急に帰れることになって!」



翔平と哲平くんは、話ながらリビングへと向かった。



哲平くんたちは、今はアメリカに住んでいる。



去年のお正月は戻ってこれなくて、最後にあったのは去年のゴールデンウィークだ。



陸斗くんは7歳。


海斗くんは5歳。



2人とも、この前あったときよりもまた背が伸びたような気がする。




「おはようございます」



そう言ってわたしもリビングへ入ったけど、まるでわたしの声なんて聞こえていないのか、お義父さんもお義母さんも久々に帰ってきた孫を溺愛中だ。



「あら、陽葵さん。きてたの」


「は…はい。あけましておめでとうございます」


「おめでとう。今年もよろしくね」


「…はいっ」



思わず、苦笑い。




そのあと、お義母さんが支度をしていたお節料理を真奈ちゃんといっしょにお重に詰めていく。



「それにしても、お姐さんっていつ見てもお綺麗ですよね」


「…えっ!?わたしが…?」


「はい、会うたびに思ってたんですよ。ほら、私なんて陸斗も海斗もやんちゃで、服が汚れることとか考えたら、オシャレとか自分磨きとか疎くなっちゃって…」



真奈ちゃんは、自嘲するようにハハハと笑う。



でも、真奈ちゃんも細くてスタイルがよくて、ロングヘアを丁寧に巻いていて、とても2児の母になんか見えない。



真奈ちゃんは素直でいい子だから、決して嫌味で言っているわけではないのはわかっているけど、そんな話はわたしにとってはうらやましかった。



真奈ちゃんは、わたしと同い年だっていうのに、すでに2人の子どもに恵まれている。



『子どもに手がかかって、なかなかオシャレなんてできない』



わたしもそんな贅沢な悩みをこぼしたいくらいだ。




ちなみに、真奈ちゃんは翔平と哲平くんの幼なじみ。



翔平と付き合う前、酔っ払った翔平が愚痴っていたけど、どうやら昔から真奈ちゃんのことが好きだったらしい。



でも、かわいくてきれいな真奈ちゃんは、周りからもモテモテ。



それなりに彼氏もいたから、チキンな翔平は真奈ちゃんに告白する勇気もなく、ずっと想いを心に秘めていたんだそう。



そうしたら、ある日真奈ちゃんが哲平くんといっしょに家にやってきた。



何事かと思えば、結婚すると。


さらには、真奈ちゃんのお腹の中には哲平くんとの赤ちゃんがいると。



デキ婚…、今で言うと授かり婚というやつだ。


その赤ちゃんが、陸斗くんだ。



2人が付き合っていたことすら知らず、しかも結婚して子どもまで生まれると聞いて、当時の翔平は大きな衝撃を受けた。



そして、真奈ちゃんのことを吹っ切れさすために、知り合いや会社の人の合コンの誘いに乗り、そこで出会ったのがわたしというわけだ。



今ではもう真奈ちゃんのことは想っていないだろうけど、翔平にとって真奈ちゃんは大恋愛と大失恋をした相手なのだ。




「お義母さん!お節、できましたよ〜♪」


「あら、ありがとう真奈ちゃん。陽葵さん」



小さな頃から知っているだけあって、真奈ちゃんとお義母さんは傍から見ても仲よさそうに見える。


お義母さん、わたしに見せる顔と…全然違うもん。



それに、呼び名だってそうだ。



わたしは、さん付け。


真奈ちゃんは、ちゃん付け。



そこは、昔からのそう呼んでいたんだろうから仕方ないけど、哲平くんも真奈ちゃんもわたしのことを『お姐さん』と呼ぶ。


それに、敬語。



2人とも同い年だし、呼び名も話し方も普通でいいよと何度も言ったんだけど、結局そこは変わらなかった。



…だから、哲平くんと真奈ちゃんとも仲が悪いわけではないけど。



なぜかそこに…壁を感じるのだった。



「真奈ちゃん、そこのお皿取ってくれる?」


「お義母さん、これですか?…あっ、お姐さん!これ、持っていってもらってもいいですか?」


「…うん!」



こうして家族で集まっても、わたしだけが浮いているような気がしてならない。




そして、昼食。


お節料理たちが並べられたこたつを囲む。



陸斗くんは、お義父さんの膝の上。


海斗くんは、お義母さんの膝の上に座っている。



2人とも「自分で座って食べれる!」と主張しているけど、どうやらお義父さんとお義母さんが離してくれないようだ。



2人の孫が帰ってきたら、いつもああだ。


普段なら見せないようなとろけそうな顔をして、孫を溺愛している。




昼食が一段落し、お茶を淹れていたときだ。


哲平くんが、静かにお箸を置いた。



「父さん、母さん。ちょっと報告したいことがあるんだけど」


「…ん?なに?急に改まっちゃって」


「実は…」



そうつぶやきながら、微笑み合う哲平くんと真奈ちゃんを見て、わたしは『もしかして』と思った。



「今年の6月に、3人目が生まれることになったんだ」



…やっぱり。



わたしはキッチンで緑茶を人数分の湯呑みに注ぎながら、心の中でつぶやいた。



「…本当なの!?それはおめでとう、真奈ちゃん!」


「ありがとうございますっ♪」


「これは、正月早々めでたいな!」



3人目の孫の報告に、お義母さんもお義父さんも大喜びだ。



「体調はっ!?大丈夫なの?」


「はい、おかげさまで。安定期にも入ったので、この機会に報告しようって、てっちゃんと」


「そう!それで、性別はもうわかったの!?」


「はい♪今度は、女の子でした♪」


「まぁ、女の子!上に2人も男の子がいるんだし、次は女の子でちょうどいいわね!」


「私も、女の子も育ててみたかったので楽しみです♪」



幸せそうに話す真奈ちゃん。



…『うらやましい』。



今のわたしには、その言葉しか出てこなかった。



それと同時に、『ずるい』。


おめでたいことなのに、そんなふうにも思ってしまった。



わたしだった、もしかしたらいい報告できたかもしれないのに…。



自分の中で、黒い渦が渦巻いているのがわかった。



「おめでとう、真奈ちゃん。哲平くん」



なんとか黒い感情を押し殺して、最大限の笑顔を作って、お茶を淹れて席へと戻る。



「ありがとうございます、お姐さん♪」



幸せに満ち溢れた真奈ちゃんの笑顔が、一層眩しく見える。



…と、そこへ。



「陽葵さん!なに、そんなのんきなこと言ってるの〜」



お義母さんからの横槍が飛んできた。



「こんな幸せそうな話を聞いて、あなたも子どもがほしくならないの?」



そんなの…ほしいに決まってるじゃん。



それに、いたよ。


ついこの間まで、ここに。



「母さん、そんなこと言うなよ〜。俺たちだってがんばってるんだからさ」



翔平がフォローするも、まったくフォローになっていない。


『がんばってる』なんて、よくそんな嘘を。



「そうですね〜。早くきてくれたらいいんですけど」



と、笑って受け流すことしかできなかった。



「確か、あなたと真奈ちゃんって同い年だったわよね?」


「はい…」


「それなら、真奈ちゃんを見習わないと〜。これからさらに少子化が進むんだから、真奈ちゃんみたいにたくさん子どもを生まないとね!」



会うたびに子どものことをうるさく言われるから、このお正月の集まりも覚悟していた。



だけど、流産直後で…。


しかも、幸せな妊婦さんの真奈ちゃんと比べられたら…。



…もう、メンタルがついていけない。



「ちょっと…お手洗いにいってきます」



なんとかその場を抜け、わたしはトイレへ。


そこで、声を殺して泣いた。



なにも知らないとはいえ、今のわたしにあんなこと言わなくたって…。


それに、真奈ちゃんの妊娠のことを素直に喜べない自分が……嫌で仕方がない。




しばらくして、トイレから出た。


リビングから聞こえる会話は、陸斗くんと海斗くんのことについて変わっていた。



だから、もう大丈夫だと思って戻ったのに――。



「…あっ!陽葵さん、帰ってきたわね!」



お義母さんはドアの音に反応するなり、わたしに手招きをする。



「陽葵さん、若いうちに生まなきゃダメよ!これ持ってたら、すぐに赤ちゃんできるから!」



そう言って、差し出されたのはまたしても…子宝グッズ。



もう…こんなものいらないのに。


それに、手術後でしばらく妊活もお休みするように言われているから、子宝グッズをもらったところで気休めどころか、ただのストレスでしかない。



「ははは…、ありがとうございます…」



そう言って受け取ってみるも、わたしはなにかの糸がプツンと切れたように、家に帰ってからもらったばかりの子宝グッズと、その他押し付けられて家にあった子宝グッズをすべて捨てたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ