蚊が鬱陶しくて眠れない
今日も充実した1日だったと午前0時を回ってから何となく呟いて、ベットに寝転がり寝ようとしていた時にヤツが現れた。
蚊である。
人の神経を逆撫でする事だけを目的として進化したんじゃ無いかというぐらい不愉快な羽音に俺がした事は一つ。
「蚊うるさすぎて寝れない。キレそう〜!……っと」
俺はツイ廃とまではいかなくてもTwitter大好き人間なので即座に投稿した。
X?うるさいな今はどうでも良いんだよそんな事。
さて、クソみたいな投稿も終わったのでさっさと蚊を叩き潰す作業に入る。
そう言えばTwitterで、『蚊は視界がスローに映ってるのでゆっくり叩きにいった方が逆に当たるよ』みたいな投稿を見かけた事がある気がするので実践してみる。
ブーンwwww
普通に逃げられた。
というかこの文を書いてる時に改めて調べたら、蚊じゃなくてハエの対処方法だった。
まぁ落ち着け。
俺はクレバーで冷静なハンサムボーイ。
たかが蚊に一度逃げられた程度でキレ散らかすような弱い男じゃ無い。
今俺が寝てるのは?そう、ベットだ。
もっと簡単に現状を解決出来る方法がある。
人間には考える頭脳があるんだ。
と言う訳でタオルケットを広げながら蚊が止まっている壁に向かってジリジリと歩いていく。
まだこのゆっくり戦法が蚊に効くと信じ込んでる俺は着実に距離を詰めていく。
もう少し……もう少し……もうちょっと……今だ!
ブーンwwwwww
……まぁ落ち着け。
仏の顔も3度までと言うだろう。
孫悟空を手のひらの上に乗せたお釈迦様を思い出せ。
イタズラ好きの蚊は孫悟空で、そんな蚊を手のひらの上に乗せられるサイズ感の俺は釈迦だ。つまり俺は仏。まだ許せる。OK?
俺が蚊の手のひらの上で踊らされてるとか言った奴、あとで屋上な。
話を戻そう。
タオルケットで押し潰しにいったものだから、逃げられたのは分かったが視界が遮られて蚊が何処に行ったか分からない。
気づけば羽音も無くなっていて、メガネを外した近眼では目をすぼめても蚊が見つからない。
ついに蚊も俺に恐れをなして逃げたか。
勝ち誇り、眠気も覚めてしまったのでちょいと眠くなるまで文でも書くかとテキストアプリを開く。
そうして20分ほど経っただろうか。
ある異変に気づく。
太ももと脇が猛烈に痒い。
犯人は分かりきっていた。
仏様でも3回殴られるとキレると言う。
人間風情の俺がキレ散らかすのはもう必然だった。
顔を真っ赤にしてTwitterに文句を垂れ流すと、俺は犯人探しに出かけた。
が、見つからない。羽音も聞こえない。
何処だ?何処に行った?
しばらく血眼になって探して、自室だけでは無くリビングも探すが先程の安眠の侵略者の姿は影も形も無い。
このやり場のない怒りを殺虫スプレーを買わなかった自分にぶつけるしか無くなったので何だか虚しくなり、もう寝ようとベットに入る。
が、そこでまた違和感に気づく。
頬が猛烈に痒い。
3度目でキレ散らかすなら4度目は?
そりゃもう激昂である。
某狩りゲームで何度も見た二文字の状態になってた。怒髪天だ。
タオルケットをバッサバッサと振り回しながら深夜の自室を徘徊するのを他の人が見たら、気でも狂ったんじゃ無いかと思われるかもしれない。
実際間違っては無い。蚊によって俺の正常な判断力は狂わされてる。
というか何だよ太ももと脇と頬に跡を残していくって。
一晩寝た後のセフレ同士か?
というか血を吸うって事はメスだよな?
たった一晩ベットの上で一緒にいただけで恋人気取りの勘違い女がよ……。
でもその勘違い女はいまだに見つかっていない。
このままだと俺は、隣からいつの間にか消えた昔の女の陰にビビって夜を越す事になる。
こんな辛くて悶々とした経験、人間の女性相手と甘酸っぱい夜にしたかった。
そんな火曜日の始まりでした。