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商人ギャスパル

少し忙しく、こっちの更新まで手が回りませんでした(o_ _)o))


更新遅れて申し訳ございません……!

 しかし、それを誤魔化すようにジゼルは紅茶の入ったカップを口元に運ぶ。


 いつも通りのもののはずなのに、なんだか甘ったるいような気がする。


 そう思いつつ、ジゼルはそっとエヴァリストから視線を逸らした。


「……そうそう。今日呼び出した用件なんだけれど」


 そんなジゼルの態度を気にも留めず、エヴァリストはそう言う。その姿をジゼルがぼうっと見つめていると、彼は立ち上がって部屋を出て行ってしまった。


(きっと、私の教師役を連れてきてくださるのね)


 ジゼルがのんびりとそう考えていれば、エヴァリストが戻ってきた。その後ろには、若い男性がいる。


 彼は黒色の短い髪を持っており、その目の色は黄金色。形は少々鋭く、ちょっときつい印象を与えてくる。


「彼はギャスパル。テモワン商会所属の、商人の一人だ」


 エヴァリストがさも当然のようにそう言ってくる。その目は、きれいに細められていた。


 が。


(テモワン商会って……この大陸一の!?)


 その名前は、商売に疎いジゼルでさえ知っている名前だ。だから、ジゼルの頬が引きつる。


「一応彼に商売のことは教えてもらえたら……って思っているんだけれど、どう?」


 エヴァリストがジゼルの顔を覗き込んで、そう問いかけてくる。……どうとか、そういう問題じゃない。


(テモワン商会のお方ということは、相当のやり手だわ。問題あるわけがないじゃない……)


 心の中でそう呟いて、ジゼルは笑みを浮かべた。


「テモワン商会に属する商人さんということは、相当なやり手でしょう。……問題ありません」


 紅茶のカップをテーブルの上に戻して、ジゼルはギャスパルに向き合う。柔和な笑みを浮かべた彼に立ち上がって一礼をする。


「ジゼルと申します。今後、よろしくお願いいたします」


 優雅な一礼を披露すれば、ギャスパルはこくんと首を縦に振った。


「こちらこそ、よろしくお願いいたします。ジゼル様」


 どうやら、彼は温和な性格のようだ。……容貌はきつく見えるが、それは容貌だけのよう。


(やっぱり、人を見た目で判断することは避けたほうがいいわね)


 ジゼルがそう思っていれば、不意に部屋の扉がノックされた。


 驚いてそちらに視線を向ければ、扉が開きそこからギオが現れる。


「殿下。少々、不測の事態に陥っております。よろしければ、ご意見を……」

「あぁ、わかった。じゃあ、ジゼル、ギャスパル。俺は少し席を外すけれど、二人でお話しでもしておいて」


 彼はそれだけの言葉を残すと、颯爽と部屋を出ていく。残されたのは、ジゼルとギャスパルの二人だ。


(お話しでも……と言われても、何をお話しすればいいのやら)


 商人ということは、貴族の常識なども通用しない。すなわち、話題がないということである。


 そんな風に思ってジゼルがソファーに腰掛け一人考え込んでいると、不意にギャスパルもソファーに腰掛けて身を乗り出してくる。


 なので、ジゼルはハッとして顔を上げた。……彼の顔は、楽しそうに歪められていた。


「ジゼル様」


 ただ、名前を呼ばれただけ。なのに、何となく――嫌な予感が、ジゼルの背中を駆け抜ける。


「あなたさまは、商売を本気で学びたいと思っていらっしゃいますか?」


 優しい言葉での問いかけ。でも、言葉の節々には確かな敵意。……それに気が付かない、ジゼルじゃない。


 合わせ、ギャスパルの纏うオーラが変わったような気がした。先ほどまでは柔和な好青年。今の彼は……なんだろうか。


「……はい」


 そう思いつつも、ジゼルはこくんと力強く首を縦に振る。そうすれば、ギャスパルは額に手を当てて脚を組みなおした。


「ったく、僕だって暇じゃないんだ。……貴族のお嬢様の遊びに付き合っていられるほど、時間が有り余っているわけじゃない」

「……え」

「一つだけ言っておきます。僕はあなたさまのためにこの仕事を引き受けたんじゃない。父が、エヴァリスト殿下に恩があったので、引き受けただけです」


 そっと開いたギャスパルの目が、ジゼルを射貫く。敵意のこもったその目は、とても恐ろしい。


「……あの」

「大体、貴族のお嬢様が商売をして何になるんです? 悠々自適に、豪華絢爛な暮らしをしているのに。あっ、もしかして、もっと散財したいとか?」


 明らかにバカにしたような口調と言葉だった。


「でも、残念ですね。僕の教えはスパルタです。……そんな生半可な気持ちじゃあ――」


 ――続きませんよ?


 挑発的に笑って、彼がそう言う。……でも、ジゼルからすればそんなことどうでもいい。


(スパルタな教育っていうことは……相当役に立つということじゃないのかしら?)


 ジゼルは頭の中でそんなことを考えていたためだ。

現在こちらの作品は書籍化作業を行っております。諸々解禁できる時期になったら、お知らせしますね(n*´ω`*n)


どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします……!

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