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天才ゲーマーの異世界転生  ~<幸運>スキルが最適すぎて~  作者: りんご丸太郎
第1章 最初の町編
10/10

第10話 ご都合スキルと問題発生

投稿が遅れ、本当に申し訳ありませんでした。今後は、高頻度の投稿を心がけます。

「<魔物使役>なー、あても一回だけ持っとる奴、見たことあるわ。デカイ魔物に荷物持たせて、ごっつ便利そうやったわ!そのスキルのおかげでこいつが大人しゅうなったんか」

「もにゅ!」

 

 俺とアルマはカオススライムの上に乗ってみている。もう俺達を襲う気はないようだし何より乗り心地がいい。それにしても、商人歴の長そうなアルマが、一度しか見たことないということはこの<魔物使役>はなかなかのレアスキルかも知れない。


「それで具体的にどんな効果のスキルなんや?あても詳しいことは知らんのや」

「え、知らないぞ?俺は詳しい事どころか何も知らない」

 

 まあ実際は名前だけで、なんとなく想像がつきはするが黙っておこう。


「<魔物使役>はその名の通り魔物を使役することの出来るスキルです。使役と言っても、主従関係を結ぶのではなく、魔物が友好的になり、指示を聞いてくれるという感じです。基本、生まれつき持っている先天性のスキルで、技能というより、体質に近い能力です」


 なるほど。本当にモンスターを‘仲間’に出来る能力のようだ。よくある、


>倒したモンスターが仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?


が実際に出来るのかも知れない。


「はえーすごいスキルやなー。でもユウには不向きかもなー」

「ん?何でだ?」

「だってユウ、冒険者やろ。倒さんといけん魔物がすり寄って来たら倒しにくないか?」


 それは盲点だった。レベリング中ならともかく、普通の状態で友好的に接してくれるモンスターを狩るのは、さすがの俺も抵抗がある。


「確かに、それは嫌だな。まあ、出来ないとは言わないが」

「せやろー。あてやったら会った魔物、全部甘やかしてもうて、仕事にならなそうやわ!」


 正直、今の岩の見た目だとアルマのほうが、魔物に見える。何か爆発しそうだし。


「それについては大丈夫です。<魔物使役> は任意発動型のスキル―――つまり優さんがスキルを発動しないと効果はありません。なので普段はいつも通り魔物を倒せます」


 突如出される便利設定。いや、そういえばルーンさんにステータスの説明を受けた時にそんなことを聞いた気もする。まあともかくこの仕様は有難い。


「なるほどなー。でもルーンさん、俺、こいつにスキルを使った記憶がないんですけど」

「もにゅ?」


 それどころかスキルを持っている事さえ知らなかったし。

  

「うーん・・・多分なんですけど優さんが、カオススライムに飲み込まれた時にスキルが発動したんだと思います」

「ん?」

「ん?」

「もにゅん?」  


 3人(1人+1石+1匹)の疑問の声が一斉に挙がった。さっきも言ったとおり、俺はあの時スキルを発動どころか、認知すらしていない。どちらかというと<幸運>のスキルのほうに祈っていた気がする。


「実は<魔物使役>の発動条件は、使用者の体の一部を食べさせることなんです。カオススライムは飲み込んだ相手を消化して吸収するという生態があるので、優さんの一部が取り込まれたことでスキルが発動したんだと思います」

 

 衝撃の事実発覚。<魔物使役>、まさかのきびだんごシステムである。これじゃあ


>自分の髪の毛を食べたモンスターが仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?


という、なんだか非常に気まずい状況になってしまう。自分の髪の毛で餌付けとか勘弁してほしい。まあ、発動のコストが安いのは不幸中の幸いだが。


「へー、ちゅうことはこいつの飲み込んで消化するっちゅうエグい生態が偶然噛み合ったんやな」

「もにゅ!」

「ユウはホンマ、()()とんなー。流石、あての認めた男や」

「そりゃ、〈幸運〉が()()てるからな、物理的に」


 まあ、〈幸運〉の効果はまだ良く分かってないんだが。


「優さん、そろそろ街に戻りませんか?とりあえず、一段落しましたし」


 ルーンさんに言われて気付いたが、もうすっかり夜になっている。今日はいろいろあったし、疲れたから、確かにそろそろゆっくりしたい。何個か浮かんだ疑問点も考え直したいしな。


「じゃあ帰りましょうか。ルーンさん、アルマ……あっ、」

「ん?どしたんや?」

「ルーンサン、ハヤクカエリマショウ」

「ちょっーと待てや、なんであてを無視するんや!」

「だって、アルマ、石じゃん」


 一瞬、時が止まった。アルマはともかく、ルーンさんまで、そうだったという表情を覗かせている。流石の俺もバスケットボールほどの石を抱えて宿屋に泊まろうという気はしない。質量や体積を無視して無限に入るゲームのバッグは素晴らしいものだったんだな…


「優さん、どうしましょうか?」

「うーん、ここに置いていくか、もう一度割るか、それとも埋めるか、アルマはどうしたい?」

「全部嫌に決まっとるやろ!何やそのトンデモナイ選択肢!」

「個人的におすすめは、埋めるだが」

「一番トンデモナイのを勧めんな!死んでまうやろ!」

「分かった、分かった、真面目に考える」


 と、言ってみたもののアルマが嫌がりそうな選択肢か、俺が面倒くさい選択肢しか浮ばない。


「もにゅ!」

「優さん、カオススライムが何か言いたげですよ!」


 ルーンさんに呼ばれた。どうやらカオススライムに案があるようだ。溶かしてみる、とかか?


「どうした?」

「もにゅにゅ、もにゅ!」

「ほうほう、それで、それで?」

「もにゅーもにに」

「なるほど!」


 これはすごい。もにゅとしか聞こえないのに、言いたいことが伝わってくる。これも〈魔物使役〉の効果だろうか。しかもこの状況を打破する名案を出してくれた。これは策士ならぬ策スライムだな。


「こいつがいい案を出してくれました」

「「おおー!」」

「凄いなお前!」

「もにゅ!」

「それでどんな案なんですか?」

「そうだな…アルマ、ちょっとこっち来て」

「ん、なんやなんや?」


 近づいて来たアルマを鷲掴みにし、カオススライムに向かって投げる。やっぱ気持ちいいな、アルマ投げるの。そして投げられたアルマは予定通りカオススライムに飲み込まれた。


「よし!」

「何がですか!?」

 


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