幕間 それぞれの思惑
玉藻前は上機嫌だった、可愛らしい妹分が増えて、その妹分にはやっぱり可愛らしい弟分までいる。
殺生石に封じられて長かったため、封が解けた今も力は万全とは言えないが、それでも可愛い子供たちのために頑張らなくちゃと張り切っていた。
「はー、淡雪はんは可愛いありんすねー、縁坊やは英雄の素質があると見えるし、その上可愛い、正義どすなー。大正義どす」
うんうんと一人頷く玉藻前はサポートのために取り付く依り代を探し始めた。
伊佐那美は微かな異変を感じていた。ほんの些細なものだが、自身の力が漏れでているのを感じたのだ、気のせいかとも思ったが、残念だが心当たりもある、夫に話して籠らねばならないかも知れない。
その日のうちに伊佐那岐、そして須佐乃男にも事情を話して、外界との関わりを封じた結界へと籠った。
天界での異変に熊野大権現、須佐乃男は縁に関わる大事件を予測し、対策を練り出す。それとともに、若き一族の新星がこの試練をどう乗り越え解決にどれ程に貢献するか、楽しみで仕方ないようだった。
「縁よ、見事に救ってみせよ。お前の家族となりし、神々をな」
豪快な笑い声に慈愛だけではなく、苛烈な厳しさも持つ益荒男の魂が騒いでいた。
これで幕間が終了となります。
次話より、第2章スタートですm(_ _)m