挨拶と姫と古長と
短いですm(_ _)m
ヤタガラス様の背中に乗せてもらって、烏天狗たちの住まう世界に連れていってもらう、淡雪はいざなみ様の元で修行することに決まったんだけど、烏天狗の古長と呼ばれる長老に挨拶するとのことで、一緒に来ている。
「ヤタガラス様、乗せて貰ってありがとうございます。烏天狗に教えて貰えるなんて嬉しいです」
「縁殿、烏天狗と言うより、天狗という存在は教えたがりですから、きっと良く教えてくれますよ」
え、教えたがり。あーだから偉そうなイメージがあるのに、師匠ポジションが多いのか。でも、これから教えて貰うのに、そんな失礼な事考えてたらいけないよね。
「縁、古長もですが烏天狗たちは少し偏屈なところもありますが、皆、優しくて親切ですから不安に思うことはありませんよ」
僕がうんうんと考えていると、淡雪が優しく語りかけてくれる。本当に僕を大切にしてくれる。早く淡雪みたいにならなくちゃ、僕はさっきまでの考えを振り払って、烏天狗さんたちにしっかりと教えて貰えるようにしようと決めた。
「うん、淡雪、楽しみだよ」
あと、淡雪を不安にさせたら、失格だよね、すさのお様。
しばらくすると、鬱蒼とした森の中に少し開けた場所が見えた。
「さあ縁殿、そろそろ着きますよ」
ヤタガラス様がそう声をかけて来て、集落が見えて来る。すごい、中心の巨木の周りに等間隔である樹にツリーハウスが組み込まれて、烏天狗さんたちが翔び回っている。
「すごい、…カッコいい……っ淡雪、すごいよ。すっごいカッコいいっ!」
そうですねと、淡雪が返してくれて、興奮のなか、僕は烏天狗さんたちが暮らす、流星窟へと訪れました。
「縁殿、ようこそ流星窟へ。吾はこの流星窟の長老にして、熊野烏天狗の頭目、玄笙と申します。皆からは古長と呼ばれとりますから、そう呼んで下され」
「よろしくお願いいたします。木ノ下縁って言います。すさのお様との約束を果たすため、頑張ります」
「素晴らしいですな。流石は姫様の魂を宿す男子ですな」
「姫…様?」
「古長殿、姫はやめてくれと何度も」
「何を仰るのですか、我らが主、熊野大権現様がその御霊の穢れなさ、清らかさ、何よりその慈愛と不惜身命の精神に心を打たれ、御自ら神へと召し上げました魂、更には末の娘として大権現様の寵愛賜る烏産姫様を姫様と呼ぶは当然のことでござります」
「頑固ですね、烏神で十分だと申しておるのに」
「頑固なのは姫様もですぞ、大権現様が直に名付けられた烏産姫様の御名を恥ずかしいと申してはそのように呼び変えられて」
見たこと無いくらいに恥ずかしがる淡雪と楽しそうに話している古長様は本当に信頼してるのがわかって、羨ましかったり嬉しかったり、すさのお様にこっちに呼んで貰って、僕は淡雪を認めて大切にしてくれている人たちに出逢えて本当に良かったと心から思ったんだ。
僕はやっぱり、凄い神さまを目標にしたんだって、少し不安になって、そしてすごいワクワクしたんだ。
次回はついに修行が始まります。




