友と馴染みと体育と
お友達紹介No.1です。
墨田区立第3中学校は周辺3つの公立小学校の進学先で一学年約180人、30人6クラスで全体で、約550ほどの生徒がいる。
入学から1月ほどがたち、だいぶ慣れてきたし、小学校からの友人も無事同じ1組となり、新しい友達も出来た。
朝の教室で席についていると声をかけられる。
「今日も早いね、縁。おはよう」
「はるとん、おはよう」
教室の後ろから入ってきたのだろう、肩を叩きつつ挨拶して来たのは「はるとん」こと桐生 春人君だ。
はるとんは僕の小学校からの友達で身長は165cmと中学一年生としてはかなり高く、学年でも片手で数えられるくらい、このクラスでは一番だ。でも、体つきは華奢でどこか小動物を思わせる顔をしていて、女子に人気だ。運動系の部活から、特にバレーやバスケットからスカウトされたけど
「僕が全力で運動部の練習なんてしたら、一時間で足が折れます」
こう言っては断って、ある意味な武勇伝も作り上げた、本人が嫌がるのであまりその話しはしないけどね。
「おはようでござるよ、縁殿、きのうの乱丸くんは見たでござるか、拙者、久々の日下部先生の登場に」
「おはよう、タカシ、乱丸くん見たよ、日下部先生大活躍だったね」
「おー、やっぱり見ておりましたか。さすが縁殿」
挨拶そうそう、国営放送の子供向けアニメ忍者スピリッツ 落ちこぼれ乱丸こと略して忍すぴ乱丸くんの話しをしだしたのははるとん同様に小学校からの友達で佐藤 貴くんだ。身長は152cmの僕より、やや低い148cmでちょっとぽっちゃり、タヌキみたいな見た目で、でも運動神経抜群だったりする。
むかしはこんな口調じゃなかったんだけど、半分というか、ほぼ僕のせいでこんな口調になってしまった。それとなく、それやめないとは伝えてるが、「そうはいかんでござる」と返ってくるので諦めている。
「相変わらず乱丸くんなんだね、たかしくん。縁くんにはるとんもおはよう」
「お、おはようでござる」
「ん、篠宮さん、おはよう」
「茜ちゃん、おはよう」
次に声をかけて来たのは篠宮 茜ちゃん、女の子としても小柄で長い髪をいつも綺麗に編み込んでいる。清楚で可憐な、僕の幼なじみだ。
小学校からの親友たちと話しているとホームルームの時間になる。それぞれ席について1日が始まった。
三・四時限目は体育で、今日は一年に一回の体力測定が行われる。
運動着に着替えて体育館にいるとクラスメートの水守 葛葉さんが近付いてくる。
「絶対に負けないからね、全項目、あんたを上回ってやるんだから、覚悟しなさい」
「水守さん、体力測定は勝負じゃないよ」
「でも、数値は出るんだから、競えるでしょ」
「そうだけど」
水守さんはなぜか僕にライバル意識があるらしい、小学校は違ったんだけど、小学校では生徒会長を努めたり、成績も学年で常にトップだったそうで、当然、入学にさいして生徒代表に選ばれると思っていたら、僕が選ばれて不満だったらしい。
ちなみにあの時の殺気の犯人かもと少し疑ってみたけど、気配が違い過ぎる、あからさまな敵意をぶつけてくるけど、水守さんのは正々堂々としていて、あの時の殺気に感じた禍々しさはない。
「やっぱり気のせいだったのかな」
「なにボソボソ言ってんの、あんたが負けたら私の言うこと一つきいてよねっ」
「えっ、いや、それはいいけど」
「余裕ね、ムカつくけど、すぐに吠え面かかせてやるわ」
それだけ言って去って行く水守さん、理不尽過ぎないかな。
「相変わらず絡まれてんな、この前も小テストで負けたのに良くやるよ」
そう呆れ声で話しかけて来たのは水守さんと同じ小学校出身の森田 要くんだ。身長は155cmと僕と同じくらいだけど、すごいがっちりしていて、顔もちょっと怖い、同じ出身の子たちから「ゴリ田」と呼ばれているけど、気にしてないらしく、たまにゴリラの真似をして皆を笑わせている。顔は怖いけど、よく気の利く優しい人だ。ちなみに水守さんの情報をくれたのも要くんだったりする。
「やっぱり、嫌われてるのかな」
「いや、それは無いわ、水守はさ、なんでも一番じゃなきゃ納得できないらしいから、そのせいだろ」
あの、性格じゃなきゃ、スゲー可愛いのにな、そう続けた要くんだったけど、確かに水守さんは可愛いのだ。身長は女子としては高めで155cm以上はありそうだし、涼やかな目元が特徴の美人さんなんだけど、常に一番を目指す向上心が周りへの攻撃に繋がってしまうため、少し怖がられていたそうだ。
結局、体力測定も僕は全ての項目で一番だったため、水守さんには勝ってしまった。
水守さんは「次は負けないからね」と言い残して教室に走っていき、先生に注意されていた。
怖いというより、残念だと思うけどな。
来月は運動会もあるし、また絡まれるんだろうな。
そんなことを考えていたんだ。
更新遅れていてすいません。
なるべく早く次話あげます。