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第1章 13 朝の来訪者

 8時―


スカーレットは憂鬱な気分でダイニングルームへとやって来た。すると既にそこには義母のアグネスと義妹のエーリカが隣同士で着席し、じろりとスカーレットを見た。そのそばには給仕の2人のフットマンが立っている。既にテーブルの上には料理がズラリと並んでいた。


「おはようございます。お義母様、エーリカ。」


スカーレットは長いスカートの裾をつまんで挨拶をした。


「ああ、おはよう。スカーレット。・・少し遅かったわね。」


アグネスはチラリと暖炉の上に置かれた大きな置時計を見た。時計の針は8時3分になっている。


「あ、あの・・・?」


(ほんの数分の遅れでも遅いのかしら・・?)


しかし、アグネスとエーリカがジロリと恐ろし気な目つきで自分を見てきたので怯えたスカーレットは言葉を飲み込んだ。代わりに素直に謝ることにした。


「遅れて申し訳ございませんでした。」


「ええ、次回からは・・・最低でも指定した10分前には来て頂戴。さもなければ食事は抜きよ?」


「え?!」


その言葉にスカーレットは驚いた。いや、スカーレットだけでは無い。給仕として黒の燕尾服姿で左腕にトーションを掛けたフットマンも驚いた様子でアグネスを見ている。


「何よ、文句でもあるの?」


その視線に気づいたのかアグネスは隣に立っていたフットマンを睨み付けた。


「い、いえ。とんでもございません。」


フットマンは小刻みに震えながら返事をする。


「フン!全く・・。」


そして再びスカーレットを見ると言った。


「何やってるのよ?いつまでそうやって立っているつもり?さっさと席に着きなさい。朝食が食べられないじゃないの。」


「あ、す・すみません。」


慌ててスカーレットは椅子を引いて座った。その様子を見てエーリカは言う。


「あら?お義姉様、どうして給仕に椅子を引いて貰わなかったの?」


「え?ええ・・・我が家ではそのような風習は・・無いから・・。」


「何ですって?それじゃ給仕は付けないって言うの?」


アグネスは驚いたように2人のフットマンを見た。


「ええ・・そうですね・・。」


するとアグネスはギリギリと歯を食いしばった。実はアグネスにはある願望があったのだ。裕福な貴族の家に嫁ぎ、食事の時は必ず給仕を付けるのだと―。


(それなのに・・・何よっ!伯爵家なのに・・・食事の時に給仕を付けないですって?!冗談じゃないわっ!)


そこでアグネスは言った。


「そう?確かに今までは給仕は無しだったかもしれないけど・・・でもね。これからは私がこの屋敷の女主人になったのよ。だから方針を変えます。今後は3度の食事の時と・・ティータイムの時には必ず給仕を付けるようにします。それが貴族として当たり前の生活なのです。分かりましたね?」


じろりとスカーレットを睨みながら言った。


「は、はい・・・分かりました。」


アグネスの視線が怖いスカーレットはビクビクしながら返事をした。


(怖いわ・・・お義母様も・・そしてエーリカも・・どうしてこの2人はいつも怒っているように見えてしまうのかしら・・?)


そしてテーブルの下でギュッとスカートを握りしめた、その時―。


「お待たせ致しました。アンドレア様をお連れしました」


突然ブリジットの声が聞こえて来た。


「え?アンドレア様?!」


驚いて入り口を振り返ると、そこには栗毛色に鳶色の瞳の愛しい婚約者、アンドレの姿があった。


「あ・・貴方は・・?」


突然現れたアンドレアにアグネスは驚いた。そしてエーリカの方は見目麗しいアンドレアにすっかり心を奪われていた。


「アンドレア様、何故こちらに・・?」


茫然と座っているスカーレットにアンドレは近づいて跪くと言った。



「それはね、愛しい君と今日からここで暮らす為だよ?」


そしてスカーレットの右手を取ると、甲に口付けした―。

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