7/9
さくら
あの日見た青空には
花びらが舞っていた
ひらり──
ひらり──
踊るように
風と戯れるように
そして、
自由に。
視界に髪がその先を隠していく
鎖のように絡みついていく
桃色の花びらは空に帰っていく
そのうちにも
ひと瞬きした瞬間にはもう
見失ってしまった
そして
私の目は地へと帰っていく
消えてしまったはずの花びらが
私の手のひらで挨拶をしていた
私は大きく手を天に上げると
風の帆に乗れるように
そっと
「さあ、いってらっしゃい」
◆ ◆ ◆