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帰
闇が私を覆う時
私は楽になれるだろう。
気丈だった心は
ドーピングが切れたように溶けていき
地面をのたまう日々を越え
その時はきっと、そうきっと
この抱えきれない荷物を両手から投げ捨てて
帰っていくのでしょう。
私はいつだって満たされているの、と
高貴なお姫様は毒を吐く。
それでも、その足元は泥でまみれ裸足で強がる。
けれど、背中から寄り添う半分の傘。
やがて二人帰っていくのでしょう。
世界が私を拒むなら
私は輪廻に帰りましょう。
何十週もしたら手足も生えるでしょうか。
美しき世界は薔薇のように棘だらけで
鮮血が世界を潤す。
それでも棘を踏み鳴らして歩く者だけが
見える世界がそこには確かにあって。
帰る場所なんて、本当にあるのでしょうか?