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綻び  作者: 雨森蜜
3/9

もしも君へ

もう忘れてしまった

振り返り方も 手の振り方も 走り方も 繋ぎ方も


水辺に立って手の平にすくう小さな水たまり

天に掲げ晴天に雨粒が舞う 笑顔が舞う 髪が躍る


ぴちゃぴちゃと足を駆けて

後ろ姿、手が届かない所まで

もしも君へ あの時笑い返せていれば

瞳の中に留めておくだけで精一杯

手を引っ張られ 躓きそうになって 連れていかれる世界

私の足もぐちゃぐちゃになって それを笑う


息を吐くだけでも秒は刻まれる

瞬きをしても 眠っていても 階段を上がっても 見下ろしても


夕闇に立って顔を上げこぼれるもの

手をかざしすくいとる

掴んだマフラーゆらゆら揺れる

空へ駆ける 悲笑が舞う 髪が顔を隠す


スタスタと私の元にきて真正面を通り過ぎ

後ろ姿 手が届かない所まで

もしも君へ あの時振り返っていれば

瞼を閉じることしか出来なかった

背中から手を引っ張られ 足がもつれそうになって つれていかれる幻郷

私の顔もぐちゃぐちゃになって それを拭う


もしも君へ

もしも君へ

もしも君へ

もしも君へ 生きていますか?

仮定の話しはもう終わり

どこへだって行けるさ

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