鏡に映ったもう一人の僕が同居人になったよ!
___僕の名前は、『前辻 大祐』25歳、小さな工場で働いている。
毎日、朝早くから残業して夜遅くまで頑張って働いても、、、。
___もらえる給与は? ごく僅かだ!
ここの会社は、残業手当が付かないのに、僕に残業をさせる!
『___悪いが、今日も残業してくれ! お前がこの工場の中で一番若い
から、他の奴には言いにくいんだ! 今度、晩飯おごってやるから!』
『・・・・・・あぁ、ははい、』
『___じゃあ! 後は前辻、お前に頼んだぞ!』
『・・・・・・』
・・・まあ、こんな感じで。
僕は残業も上司に断れず、黙って残業手当も付かないのに頑張って仕事を
しているよ。
___家に帰る頃には?
疲れて、途中で立ち寄ったコンビの弁当とお茶も飲まずに
そのまま、玄関先でバタン・キューと寝てしまう事も増えていった。
___僕は、半年で15キロも痩せてしまって......。
パートのおばちゃんからは、気を遣ってもらい。
『___最近、前辻君! 痩せたんじゃないの? ちゃんと食べてる?
これね! おばちゃんが作ってきたお弁当なの! よかったら、食べて!
栄養がある物でも食べないと? 体もたないわよ!』
『・・・あぁ、ありがとうございます。』
『___前辻君は、本当に大人しくていい子だから、社長も言いやすいのよ!
前辻君の代わりに、おばちゃんが言ってやろうか!』
『・・・あぁ、大丈夫です! 気持ちだけ、もらっておきます。』
『___本当に、あなたはいい子ねぇ~私の息子になる?』
『・・・えぇ!?』
『ジョーダンよ! また、真に受けて~そこも! いいところよねぇ~!』
『・・・ありがとうございます。』
『___何かあったら? おばちゃんに言いなさいよ! 力になってあげる
から!』
『・・・あぁ、はい!』
___毎日、ヘトヘトで工場と家の往復。
僕はふと、洗面所に映った僕に目が留まった。
初めてと言っていいほど、僕はあまり自分自身に興味がないから。
___たまたま、僕が映る鏡に目が留まる!
そして、僕はなんとなく、ぼやいてしまった。
【___僕は、一体!? 何をしているんだろうな? 残業をしても
手当は付かない! タダ働きで残業までして、本当に断れない僕自身
が嫌になるよ~!】
・・・そう、僕がぼやくと?
鏡に映ったボクがこう言った!
【___じゃあ! ボクが変わってやろうか?】
【・・・えぇ!?】
【___いいんだぜ~! どうせ! ボクもお前も同じだからさ!】
【・・・・・・・】
___そういうと?
鏡に映ったボクが、鏡の中から出てきたんだ!
『___僕が二人?』
『___これからは? 一人で悩まなくてもいいんだぞ! 二人でやれば!
効率もいいだろう?』
『・・・ううん。』
『___じゃあ~早速! ボクが今日は、仕事に行くから! お前は家の
事でもしてろ! 毎日、仕事で家の中? 汚すぎだろう!』
『___ううん。でも、いいのか? 本当に!?』
『___いいさ! どっちのボクが行っても、構わないからな!』
『___でも、仕事は? ちゃんとできるのか?』
『___勿論さ! だって! お前はボクなんだから!』
『・・・・・・・』
___取り合えず。
もう一人のボクに、仕事に行ってもらうことにした。
___なんだろうな? 久々に、休んだ気がする!
毎日毎日、なんだかんだと言って! 僕にあの社長は残業させるから
休みもほとんどないし! 家に居ても、溜まった疲れで寝てる事が多い。
___いやいや?
僕がもう一人いると助かるよ。
*
___それからというもの。
僕ともう一人のボクとで、入れ替わりに仕事に行くことになったんだ!
家に居る方は? 家の事をやって晩ごはんを作って待ってたり。
___仕事から家に帰ってきて! 自分の部屋の電気がついていて。
【ただいま~!】【おかえり~】という会話。
___今までにない! 幸せを感じる。
しかも? 一緒に居る相手が僕自身だから! 気も遣わないしね!
気が楽なんだよ! ずっと、こうして! ボクと居れるなら、幸せだ!
『___今日の晩ごはんは? 魚の煮付けとキノコの味噌汁だぞ!』
『___マジか!? いつもありがとう!』
『___おいおい? 自分自身にお礼なんかいいよ!』
『___いや? 本当に嬉しいんだ! お礼を言わせてくれ!』
『・・・照れくさいじゃないか! お前、いいやつだな~!』
『___自己満かっ!?』
『___はいはい! ご飯食べよ~』
『___スルーかよ!』
『あははははッ~~~』
『アハハハハっ~~~』
___こんな、幸せもアリだよな!
僕は、そんな風に素直に思ったんだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。