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転移
俺―――安井司つかさは某ブラック企業に勤める33歳独身だ。
仕事をかたずけすぐにかえってきたのに、 現在時刻、午前2時。
こんな生活ももう15年目。可哀想な後輩もできた。
少しでも疲れを紛らわすために、鼻歌を歌いながら遅い夕食を作る。
「ふんふんっふんふふふ」
今日の献立は、男のぶっかけ飯に甘さ控えめの卵焼き。
「野菜を切って~フライパンにいれます~」
「お肉を少量炒めて~」
「フライパンにばっしゃーん!」
中年男性ひとり、マンションの一室で奇妙な歌を歌う。
真夜中に隣の部屋からこんな不気味な歌が聞こえてくる、お隣さんには心の中で手を合わしておいた。
「最後に焼き肉のたれをかけると~野菜炒めの完成~!」
「そし~て仕上げの卵焼き~」
最後に卵焼きを作ろうと、卵に手をかけた瞬間。
「うわっ!なんだ!」
白い光に包まれ、この世界から安井司の姿が消えた。
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