雲
都内アパート。
功が先に帰った後の喫茶店で、デザートを完食するまでの間をゆっくりと過ごした梨乃と則陽は、ようやくアパートの部屋に帰って来た。
則陽が奥の作業部屋のデスク脇に鞄を置くと、窓枠の出っ張りに置いてある友喜から貰った梨乃と則陽の石が目に入る。
「…梨乃。ちょっと、こっち来て。」
則陽が石に目を向けながら梨乃を呼ぶと石を差して言う。
「ねえ、梨乃、石のこれ…見える?」
「…え?何?この、もくもく…。」
二人が目にしたのは、石の中から、はみ出している様に見える雲の様な形の光の残影だった。
住宅街の一角。
「ただいま。」
家に帰り着いた功が、玄関で第一声を発する。
リビングに入ると座卓の席に居るなつに謝った。
「ごめんな、なつ。遅くなって。」
「うん、良いよ、友喜でしょ?」
なつは当然の様に功に返す。
「…何で?分かるか?」
不思議そうに返す兄、功の表情に、なつはため息をつく。
「まあね。だから良いよ。で?外行くの?」
「そうだな。遅くなったから、あの店に食べに行こうか。」
「やったあ!今日は何にしようかな~。」
即座に立ち上がって両手をぱっと上げて喜ぶなつに功が言葉を添える。
「なつ、外は割と涼しいぞ。何か羽織って行った方が良いかも知れない。」
「そうなの?はーい。」
なつは軽やかな足取りで、自分の部屋にカーディガンを取りに行った。
都内アパート。
則陽が用意した夕食を梨乃と二人、ダイニングテーブルの席で食べながら先程見かけた現象について話す。
「あれさ、何だったんだろうね。」
「…神獣?」
喫茶店で神獣の話を梨乃が持ち掛けた時に、功はまともな返しを一切しなかった。
則陽に言われた絵の事をよっぽど根に持っていたのか恥ずかしいからかどっちか知れないが。…いや、後者か。
そんな功を思い出して口角を上げると則陽は難無くばらす。
「前にさ、功が自分達の神獣の姿を教えてくれようとして職場で絵を描いてくれたんだよ。面白い絵だったけど。それが丁度さっき見たのと似ててさ…。案外…あの絵は真を突いていたのかも知れないな…。」
楽しそうに話しながらも途中からは真顔になり最後は呟きがちに言った。
「じゃあやっぱり、さっきのは神獣?吉葉さんが見えた神獣が私達にも見えたって事?則ちゃんは…石の光が見えるんでしょ?」
私には分からないけれど、と梨乃は続ける。
「だけどさっきのは私にも見えたし…。則ちゃんにも見えて…。」
「うん…梨乃はさ、その後も、石の中の光は見えない?」
「?ん~見えて無かったと思うよ。待って、もう一度見てみる。」
梨乃が席を立って作業部屋の窓枠にある二つの石を改めて眺めた。
先程は手に取る事も仰々しく感じて二人は置かれた石をただただ見つめるばかりだった。
光の残影は最後には煙の様にかき消されたけれど、だからってそれを存在しないだなんて決めつけは決して出来ない。
二人共が、それを目にしていたのだから。
梨乃は石をじっと見た後、二つの石を丁寧に手に取ってダイニングの席まで戻る。
「う~ん。」
「見えない?」
「ぼんやり?あ、でもさっきの名残かなあ…だったら見える。」
則陽が梨乃の言葉に頷いて、自らも石を眺める。
「…。」
「則ちゃんはどんな風に見えるの?」
「うん。すごくきらきらした光が宿ってる。」
「じゃあ私は、やっぱり見えて無いんだ。そういうのじゃ無いから。」
梨乃は則陽に感心して、テーブルの席の自分と則陽を挟んで真ん中に置いた石を眺めつつ、箸とご飯茶碗を手に取り再び食事の手を進めた。
林の奥の二棟の家。
夜は漆黒の様相を醸し出す手前の家では、友喜が功と解散して奥のリビングに戻って来た。
「友喜、功くんは元気だったか?」
ソファに座る父に話し掛けられる。
「…うん、元気だった。あのね、お父さんとお母さんと、お兄ちゃんによろしくって。」
「あら、そう、嬉しいわ~。また今度時間のある時に寄って貰いましょうね。」
友喜の受け答えに父も、ダイニングに居る母も、にっこりと笑う。
父の隣に間隔を開けて座る有津世に視線を移して功からの言葉を友喜は有津世に伝える。
「後…お兄ちゃんに、ありがとうって。」
「そっか。」
有津世が友喜に柔らかな笑顔で頷いて見せる。
「そろそろご飯にしましょうか。」
母のひと言で、友喜は手伝いをする事が無いか確認しようと母の近くに寄って行き、近くに来た友喜に母はにっこり微笑んだ。
薄暗い空間でキャルユが一人歩く。
重い空気が漂っていて、長くは居られそうも無い場所だ。
キャルユはそれでも行く先を真っ直ぐ見据えながら進み続ける。
一見するだけで辺りの気温が寒々しいのが伝わってくる石畳で出来た空間は、歩いて行くと通路が狭まってきた。
床部分の石畳がぼんやりと発光しているのが唯一の光源でお世辞にも明るいとは言えなくて、しかも所々にある、光が抜け落ちている箇所の空間は更に暗い。
キャルユは左手を壁に着きながら慎重に歩みを進めた。
彼女の顔に石畳の床以外の方向から光が当たる。
キャルユは眩しさを覚えて手を顔の前に宛てがい、やり過ごした。
光源はどうやら奥の行き止まりの部屋から発せられており、閉じられている重そうなドアは上の半分がくり抜かれている形でそこから明かりが漏れていた。
ドアの前まで辿り着いたキャルユは立ち止まって両手指を絡めて組むと、目を閉じて何かを唱え始めた。
組んだ手の内から緑色の光が漏れ出たかと思うと瞬く間に放射状に光の矢を放ちキャルユの体からその場一帯を包み込んだ。
直前に一瞬だけ見えた奥の部屋の複数の人影はかき消された様に姿を消した。
目を開けたキャルユは奥の部屋へのドアを開ける。
中は足元を照らす灯りだけが残り、先程ドアから漏れていた光源は何処かにたち消えた様だ。
キャルユは薄暗い部屋を見回して、中へ進み、ある一点で立ち止まる。そこにはゆらゆらと揺れる淀んだ黒いもやの残骸があった。
一瞬キャルユの胸の奥が閃光の様に光って瞬時に指の先まで伝い、その手のひらを黒いもやへ向けた。
直後黒いもやはさらさらと崩れ落ち、跡形も無くなった。
今の現象がキャルユを変化させたのか、彼女の体は透き通っていた。
キャルユは胸の奥に自分の腕を入り込ませ、様々な淡い色合いに輝く光のバッジを取り出した。
それを空間の隅に設置する動作をしたキャルユの姿は、直後立ち消えた。
上空からの視認が難しい山奥の神社。
今夜もノリコは小さな座卓を社内で一番広い空間の縁側まで運んで写本を行って居た。
祖父も今夜は瞑想を夜にも行う様で、祖父の姿をたまに目の端に入れながらノリコは写本の手を進める。
ふと見えた情景で、女神様が自分のかつて戦々恐々とした石畳の空間で何かを執り行うのを感知した。
自分より随分と強気で進むその姿は勇ましく見えたし、ノリコは女神様は大丈夫かと内心冷や冷やしたが難無く終わり、彼女の姿はそこから消えた。
何をしていたのだろう…。
戻って来た意識と共に、筆記具を口元近くに寄せてぼうっと考える。
女神様、無事で良かった…。
住宅街近くの中華飯店。
功となつは、それぞれ食べたい物を注文して、テーブルに届いた定食メニューと一品メニューを箸で摘まみながら話をしていた。
「で?友喜どうだった?」
当然の様になつが功に友喜の様子を聞いてきた。
「…うん。大丈夫になってた。なつ、もしかして…。」
納得して頷くなつに、功はなつの顔をまじまじと見る。
なつはもしかして俺よりもずっと能力が高いのだろうか。
見透かした様に功に話題を振ってくるなつに、功は自分の考えていたよりもずっとなつが勘の良いのに想いを巡らせる。
「ん?もしかして…?言いたい事は分かるけどさ、お兄ちゃんと変わらないと思うよ。たださ、お兄ちゃんが友喜の事を考えている時はその顔になっているから。それだけ。」
「…そうか?」
なつの説明に功はなつにそれだけでは無いんじゃないかと問いたげな表情だ。
「そうだよ。お兄ちゃんさ、分かりやす過ぎ。良いんだけどね。」
まっ、純愛だよね~、と、なつは心の中で思う。
「そんなつもりはねえけどな…。」
功はなつの言葉に自分がそんなに単純では無いと返したいらしい。
それにしても…、功は続ける。
「有津世くんの言ってた友喜ちゃんの変調がまたいつ起こるか分からないから、どうすれば良いかな…。」
ネックレスはぽわぽわの意識と自身の意識がごっちゃになるのを防げていても、今回の友喜の変調には役に立たなかった。
つまりは、功からのアイテムが機能しないという事だ。
「…危ないよね。友喜、大丈夫そうだから、あたしもそのまま帰しちゃったけどさあ。今度は送るね。」
「うん…。いや、俺がするよ。」
気遣い功に言ったなつに、頷きかけた首をやんわりと振って答える。
そう?と、なつが言い、何か良い案が浮かぶと良いね、と続け、
「そうだな。」
功が答えて、二人は箸の手を伸ばして食事を続けた。
緑の途切れた穴の部分には白色と淡い虹色の光の渦が巻き、周りは様々な濃淡の緑色で埋め尽くされている星。
アミュラとツァームはぽわぽわがキャルユであると知ってから、度々ぽわぽわを交えて会話をする様になっていた。
「じゃあさ、ぽわぽわ。聞くけれど、僕達が術をした時に見えた黄緑色の光は、あれも、キャルユなんだよね。」
質問をすると決まってツァームはアミュラの顔を見る。
アミュラしかぽわぽわからのメッセージを受け取れないからだ。
「そうだよ、だって。」
ツァームがアミュラからの通訳に嬉しそうに頷く。
「キャルユの役割の進みは…ぽわぽわ、君の活動も入っているのかな。いずれも順調かい?」
ツァームは自分の感覚から得たキャルユの順調さを、ぽわぽわからも確認したいみたいだ。
「順調だし、楽しいよ、だって。」
ぽわぽわを両手で、すかすかと抱き抱えながら、アミュラはぽわぽわから得た答えを都度ツァームに伝えた。
ぽわぽわとのやり取りを通して二人が感じたのは、ぽわぽわは自分達よりも更に軽くて、次元が上だという事だ。
くれるメッセージの端々にそれを感じて、キャルユだろうけれどキャルユの有していた、時にうじうじと悩む彼女の特徴をぽわぽわは持ち合わせていなかった。
…持ち合わせていないという点では以前一緒に居た彼女の容姿についてもだ。
その事がキャルユへの想いを更に募らせた。
「ぽわぽわ、…ぽわぽわは、キャルユの姿にもなる事は出来るの?」
キャルユの姿をひと目見たくてアミュラはぽわぽわに聞いてみる。
半分透明のぽわぽわは、アミュラにだけ分かるメッセージを、そっと伝えた。
「?…アミュラ。ぽわぽわは何て?」
「…今は…出来ないって。」
アミュラがぽわぽわの答えに判然としない表情を見せて、ツァームもアミュラの通訳を聞いて自分なりの解釈をアミュラに伝えてみる。
「今はだめでも、出来る時が来るって事かな?」
「そうなのかな…。」
二人に一抹の希望が見えてきて、アミュラとツァームは互いにふわりと頬を緩めた。
林の奥の二棟の家。
夜も深まり二棟の家がそれぞれ幻想的な姿を見せる。
手前側の屋根の二つの丸い天窓からは淡い光が漏れていて、窓の内側では有津世が友喜の部屋の前でドアをノックをする姿があった。
「友喜。まだ起きてる?」
カチャ、とドアの開く音と共に、友喜が顔を覗かせる。
もうお風呂上がりでネックレスは外しており、代わりにハンカチを鼻に当てていた。
「なあに、お兄ちゃん。」
「友喜、ちょっと良い?」
「良いけど…。」
ドアを大きく開いて部屋の中に入って貰うと友喜は部屋のドアを閉めた。
友喜は有津世がドアをノックする前は机の席に座っていたみたいで、キャスター付きの自分のとは色違いの椅子が机から大きく外れた場所に位置しているのを有津世は見て友喜に言う。
「座ってたんでしょ?座りなよ。」
有津世の言葉に友喜が椅子に腰掛けると、有津世が話を切り出す。
「友喜さ、あれから大丈夫?」
「うん…一旦寝て目が覚めたら…大丈夫で、そのまま。」
有津世が友喜の受け答えに頷いて続ける。
「今回、胸がとくんってなる前の予兆とか前兆は…何かあった?」
友喜は首を振って答えた。
「ううん、何にも…。気付くと、なり出してたから…。」
「そっか…。」
有津世は友喜の机の端に両腕を載せてしゃがんだ体勢で机の上の友喜と友喜の石を交互に眺めた。
「対策さ、何か考えなきゃね。」
「うん、それは私も思ってた。」
「でも今回、ハードル上がるよなあ…。友喜、何かさ、アイデア無い?」
有津世の言葉に友喜が、えっ、と言い、口元に手を当てて目線を下に移す。
「あの…。」
友喜がおずおずと口を開くのを、有津世は真剣な表情で見守った。
住宅街の一角。
なつと功は中華飯店から家に帰り着き、なつが先にバスルームに向かった所だ。
功はダイニングテーブルの上に図書館に返しそびれた大きな妖精の本と自分で購入した妖精の本との2冊を今夜も広げる。
友喜から貰った石もお決まりの如くテーブルの隅に置いて、石と本とをぼんやりと眺めた。
石碑の傍の草原。
黄緑色のウェーブがかった長い髪が、そよ風に吹かれる。
草原の所々に咲く花を見つけては顔を近づけて香りを嗅いでいたキャルユが、ふと石碑に振り返った。
見ると薄ぼんやりと見える人影がある。
キャルユは腰を上げて、石碑に近寄って行った。
周りに光源が無い、辺りが真っ暗な神社。
ノリコは顔を上げ、中央奥に胡坐を組む祖父の背中を見つめた。
僅かに動いたその背に気付いて、すかさず声を掛ける。
「おじいちゃん。」
ひと息入れてノリコの祖父はノリコに振り返った。
「ノリコ。写本は順調ですか。」
「うん、順調だよ。おじいちゃんは誰かと会った?」
ノリコが気楽に答えて祖父に質問を投げ掛ける。
「はい。…ノリコがいつか、女神様と呼んだ美しい女性に会いましたよ。」
「女神様!…私も今さっき写本の中で見つけたよ!」
「おや、それは驚きですね…。ノリコの見た写本の中での女神様はどんな調子でしたか?」
「うん。なんかね、ちょっと、危険な場所に行って何かを唱えていたの。何だか分からなかったんだけど。」
興味深そうにノリコの祖父は聞いていた。
「おじいちゃんの会った女神様は何をしてたの?」
「私のお会いした女神様は…今回も私とお話しして下さいました。…流れが来ている様です。それに備えなさいと。」
「流れ?」
「はい。だいぶ前からそれはありますが、今それが顕著だと。ですから、私は気を付けますと、女神様に返事をしましたよ。」
「気を付ける…。って事は危険な何かがあるの?」
祖父を案じてノリコが尋ねた。
「必ずしもそうとは…。今の所は何とも言えませんが。強いて言えば、以前ソウイチくんが持って来てくれた箱が意味を持つ日が近いとも言えるかも知れませんね。」
ソウイチの名前が祖父から出て、ノリコはほんのりと頬を赤らめた。
「ソウイチくんのあの箱は、小川の近くに埋まっているよ。」
「なるほど。小川の近くにそれがあるんですね。」
感心してノリコの祖父は頷いた。
設置を一緒に手伝った過ぎし日の事をノリコは思い出す。
「…ねえ、おじいちゃん、結界があって、その地が清浄に保たれていても、人の心はまた別なの?」
「…そうですね…。私達はある意味、それがひとつ醍醐味として与えられてこの地に来ていますから、ある程度の浮き下がりする感情は付き物では無いでしょうか。」
ノリコの祖父は柔らかな表情で、ノリコを見ながら言葉を紡ぐ。
「…胸に覚える想いは、それがどんなものであっても、あなたを痛めつける為に存在するのでは無い事を、ノリコもソウイチくんも知っておくべきです。」
今ここに居ないソウイチの事も名指しで祖父は話を進める。
「ただそれは、そこに存在したかった。だから想いをあなた方は感じるのです。それだけは…覚えておいて下さい。」
ノリコは目を丸くして祖父の言葉を聞き、話が終わると今の言葉を反芻した。
ほうっと静かに息を吐いてソウイチの事を改めて思い浮かべる。
ノリコの胸の奥とポケットの中に入れた石が同時に呼応するのを感じた。
林の奥の二棟の家の手前側の家。
屋根から見える天窓の片方を覗くと、ハンカチを鼻に当ててため息をつく友喜が居た。
友喜は兄、有津世が部屋から出て行ったのを見て、のろのろとロフトの上に移動する。
ロフトの上に上がりきると、ハンカチに包んでいた飴とネックレスをそっと枕の傍に置き、ふと手のひらを見て手指を折り曲げ、何かを数えた。
眉をひそめて頬を膨らませると、面白く無さそうに寝っ転がった。
ハンカチを鼻に当てながら、枕の傍に置いたネックレスをもう一度手に取って眺めた。
…でも会えた。
会いに来てくれた。
友喜は功を想うと胸の奥が温かくなった。
功を想いながら友喜は目を閉じる…。
奥側の、夜も明るい印象のログハウスでは、雨見が既に就寝していて明かりの消えた暗い部屋の中でベッドに横たわる雨見の眉間からは糸の様な光の筋がくるくると回り出す。
「…ん。」
光の筋は時にぱちぱちと派手に光り、雨見の寝返りとは別の動きでゆらゆらと揺れていた。
…そう、あなたには知っておいて貰おうと思って。
声が聞こえる。
とても心地良い場所だったけれど、何処だか分からない。
雨見は空間の温かさに、安心感を覚えた。
そして感覚に気付く。
…私、雨見のままだ。
話を聞いている誰かが居る。
話をしている誰かが居て。
あなたに任せるから。
お願いね。
話を聞いているのは自分だ。
…ここに自分が居るのに?
じゃあ、話をしているのは…。
それも………自分?
手前側の家の有津世の部屋では、有津世がロフトの上に上がって今夜もぽわぽわを迎え入れていた。
ぽわぽわは友喜で、キャルユで…。
有津世は想いを巡らせる。
毎晩の様に有津世を訪問する淡い光の玉に、有津世は温かな笑みを投げ掛ける。
何を言っているのか分からなくても、自分に会いに来ている事は明白で。
友喜の意識が混濁してしまうので、ぽわぽわからの情報は友喜から貰うのは今の所は叶わないけれど、あちらの世界でならアミュラがぽわぽわのメッセージを言葉に変換して教えてくれる。
以前夢で見たと友喜が話してくれた時も、ぽわぽわはひたすら有津世に会うのを目的にこちらに来ていると話していた。
有津世は浮遊しているぽわぽわを眺めると手のひらを伸ばして上に乗る様、導いた。




