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見上げる空に願いを込めるのは何故だろうか(仮)  作者: 晴海 真叶(はれうみ まかな)
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逢引の瀬

挿絵(By みてみん)










 林の奥の二棟の家。

周りの木々がさわさわと音を立てているのが窓の外から聞こえる。


有津世は妹、友喜の部屋で、友喜を机の席に座らせて机の上に置いてあったネックレスを友喜の後ろに回って丁寧に着け直した。


鏡に映る友喜の顔が、表情がふわりと変わる。


「…あ…れ?…お兄ちゃん?」

友喜が気が付いて後ろに立つ有津世を不思議そうに見る。


目の前の鏡を見ると、自分の周りを覆う黄緑色の光のもやのキャルユがいつもとは違う表情をしているのが見えた。


それが自分の今の顔と丁度重なるみたいで、友喜は思わず自分の頬に触れる。


「?…涙?」

有津世が気まずそうに一瞬顔を下に向けてから、振り返り見てくる友喜に向き直った。


いつの間にか友喜の手元を離れ机の上に石が置かれているのを傍目で見ると、有津世はひと呼吸置いて友喜に話しかける。


「友喜…。」

「お兄ちゃん、私…。」

戸惑いの表情で友喜が有津世を見る。


「何で泣いてなんか…?」

「友喜、……聞いて欲しい。この前、雨見が家に来た時も、今さっきも…友喜は石を手にする事で、友喜の様子に変化が起こっていたんだ。」

「私…に?」

有津世が頷く。


「…私、変な事しなかった?大丈夫?」

「変じゃない。ただ…キャルユだったよ。友喜じゃ無くて…れっきとした。」


…自分に、キャルユが?

気持ちを引きずられるのでは無くて、直接キャルユが入れ替わってたって事?


「え、じゃあ…。」

「俺の事をツァームって呼んでたし、この前は雨見の事をアミュラって呼んで……自分達に抱き着いてきたよ。」

ほら、…以前、友喜が初めて記憶を失った時の様にさ…、と小学生時代の事を持ち出して有津世は説明する。


「あの時は石は無かったけれど。思ってみたらあの時も…、今と同じ状態だったのかもね。」

有津世が考え込む。


「何で…だろう?」

「それは分からない。今度のは2回とも石を手にしていたから、石が引き金になったとも考えられるかもね…。」


…キャルユがツァーム達に会いたくて友喜自身と入れ替わった。

嬉しかったかも知れない、それで抱き着いて…。

去る間際は悲しかったかも知れない、それで友喜の頬には涙の伝った跡があって…。



「お兄ちゃん…どうしよう。」

友喜がことの外その現象は重大だと思ったみたいで、どうすべきかを有津世に尋ねてきた。


…キャルユがツァームの事を愛しているのは雨見も知る事実だし、これをそのまま放っておいたらきっとぐちゃぐちゃになってしまう。

そんな風に、この時、友喜は感じて。


「石が…友喜にとっては強かったらしくて、この前の時も顔に添えていたハンカチよりも石が勝っていたみたいなんだ。友喜、言ってたでしょ?石を手に取るとぽわぽわの意識寄りになるみたいだって。」

友喜が頷く。


「幸い、今回吉葉さんが友喜にくれたネックレスはハンカチよりも効果が強いみたいだから、なるべくネックレスは着けて、石はなるべく触らない様にするのが良いんじゃないかな…。」

「そんな…。」

友喜は手元近くに転がっている机の上の石を眺める。


…功お兄ちゃんとお揃いの石なのに…。


とくんと胸を打つのを感じた。


「そう言えば友喜はさ、何でネックレスを外そうと思ったの?」

「…あ、そうだ、私さっきもこの胸の感じを確かめようとして…。」

「?」

「下に居た時に、胸がとくんとなった、って言ってたでしょう?」

ネックレスをして、胸を打つ波が来て、それが強力だったので外してそれがネックレスに因るものなのかを確かめようとした事を有津世に話す。


「今も?また?」

「うん、とくんってなった。」

「…強力って…痛いの?」

「大丈夫、痛くは無いの。ただ…激しくて…ちょっとびっくりしちゃって。」

言う間にも胸は何度かとくんと打つ。



目がちかちかした。


自分の視界に見えるものと、胸の奥から流れ込む情報が一挙に増幅して…。


友喜はネックレスのペンダントトップを握り締めてそっと目を閉じた。



 様々な色の細かな光が明滅する星空の様な空間で、友喜はゆっくりと体を回転させながら周りを見る。

渦を巻いている所が一か所あって、友喜は回転を止めてその渦をじっと見つめた。

すると虹色を帯びた光が渦の奥から流れてきて、渦を虹色に色づかせながら友喜に迫ってきた。


友喜は虹色の光を頭から全身に浴びた。



 「友喜?」

有津世の声が聞こえる。

友喜がゆっくりと目を開けると、有津世が心配そうに友喜を見ていた。


とくん、と胸を打つ。


「お兄ちゃん、私は大丈夫。」

「…友喜。」

すっきりした表情で告げる友喜を見て、有津世は目まぐるしい変化の中に居る友喜を想い、慈しむ気持ちが強くなった。



「本当に?本当に大丈夫?」

有津世が眉を寄せて友喜に念を押して聞いてくる。

友喜は何度か頷いて、有津世に微笑んでみせた。


「大丈夫みたい。胸の…打つのも…きっと、何かの情報みたいだし、悪いものじゃ無いみたい。」

「情報?」

「うん…。」

有津世は真剣な表情のまま、友喜の顔を見てしばし考える。


友喜は有津世に見つめられながら、兄の有津世の心配を一手に負っているのを実感した。


「とにかくもう平気。大丈夫。石にも気を付けるし、…心配かけて、ごめんね。」

有津世は友喜の言葉に静かに息をつく。


「うん。友喜が謝る事も無いんだけど、気にかかっちゃうのは事実だから、その言葉は受け取っておく。」

友喜は有津世の返事を聞いて、有津世にもう一度微笑んでみせると、有津世も今度は友喜に微笑み返した。



有津世がドアに向かって歩きながら、


「石…。いや、何でも無い。」

ふと振り返り友喜に言いかけて止めた。


「気を付けるね、これからは。」

「…分かった。じゃね。」

「うん。」

有津世が友喜の部屋から出てドアを閉めていった。


有津世は友喜の部屋のドアを閉めると、振り返り、ドアを見る。

一拍後に有津世は自分の部屋に戻って行った。






 街路樹の緑が映える道路脇の、6階建ての小ぶりなビル。


4階の則陽と功のゲーム会社では、功が会社入り口の観葉植物ノーリの前にパイプ椅子を広げて座っていた。


手には友喜から貰った石が握られ、功は石を見つめている。


「功、やっぱりここに居たんですか。」

則陽が功を見つけて、自分もパイプ椅子を広げて座った。


「その石…。」

「ああ。」

則陽が言わんとしている事に、功が相槌を打つ。


「何かこの前と色味が違いますね…。」

則陽が思った事をふと口にする。


「…分かるのか?」

功が真顔で則陽の方を向いた。


「…ええ、分かりました。その石…派手、ですね。」

「派手?ああ、まあ、派手か。うん、そうだな…。」


功は燃える様な色味で発光している石を見て、則陽にも見えている事に驚きながらも肯定する。


「ああ、そう言えばお前、ノーリが光ってるのも見えてるんだもんな。じゃあ石も分かるか。」

「神獣までは見えませんけどね。…まさか雲形のキャラクターとは…。」

功が則陽の言葉に、


「お前まだそれ言うのかよ!」

途端に血の気を多くした。


則陽は功の反応に軽く息をついて、口角を上げる。


「功、これが対の石という事は、二人の間の変化でも石が変わったりするって事ですか?」

「え、まあ、…そう…かも。」

今度は途端に赤面して声が小さくなっていく。


…分かりやすいな、と則陽は思い、


「じゃあ功と友喜ちゃんの間に何らかの変化があったって事ですかね。」

更に突っ込んで意見を言った。


「まあ、…変化は、常々…起きるだろ…。って俺達の事は良いから!則陽お前は最近どうなんだよ!」

人の事ばっかり聞いてるなよ、と、功は慌てて自分の話題から話を逸らす。


「おかげさまで、順調ですよ。ただ、最近梨乃は疲れて帰る事も多いので、マッサージを…。」


「………あの、頼むから、そういう話は退社後の居酒屋とかで…。」

赤面して下を向いた功が則陽に懇願する。


「?」

則陽はけろりとした顔で功に頷いてみせた。







 則陽達の会社からちょっと離れた所にある会社のオフィス。

給湯室では、この会社の社員が自由につまめるお菓子の箱を梨乃が覗いてチョコレートの包みをひとつ手にした所だ。


「野崎さんだ。」

給湯室の入り口から声がかかり、振り返ると手にしたチョコレートの包みを今しがた声を発した穂乃香に向けてぴらぴらと揺らして見せびらかした。


「小腹、空いちゃって。」

「うん。私も。良いな、そのチョコ、まだある?」

「ん~とね…。」

梨乃がもう一度箱を覗き込むのに後ろから穂乃香も覗き込んで、


あ、あった、と二人で声を合わせて言う。


「ふふ。」

互いに笑い合って、手に取ったチョコレートの包みから中身を取り出し、二人はそれぞれ口の中に放り込んだ。


自分のマグカップにお茶を淹れながら梨乃は穂乃香に話しかける。


「今日もまた、行くの?」

「うん。来い、ってさ。」

当然の様に穂乃香が答える。


「それってさ、私、前にも思ったんだけど、…デートじゃない?」

「えっ!」

穂乃香が梨乃の言葉に盛大に驚く。


「…思った事、無いの?」

穂乃香が唖然として首を振った。


「ただ、仕事しに行ってるだけだって!お小遣い稼ぎ!それ以上でも、それ以下でも無いよ!」

随分と気を張って言う。

梨乃は頑なに答える穂乃香に、今回も小首を傾げた。


「じゃあさ、何で時間を合わせる必要があるの?」

「…。」

穂乃香が梨乃の更なる質問に絶句する。


「あ、ううん。責めてるんじゃ無くて、…どうしてかなあって、ただ思っただけ。」

「…。」


「もしかして穂乃香さんと水内さんだけ、ペアじゃ無いとオフィス、入れてもらえないとか?」

…な訳無いか、と思いながら梨乃は話を詰めてみる。

だって前に、穂乃香がオフィスに着くと既に辰成が居て…と言う話だって聞いているし覚えているのだ。


「そんな事…ある訳無いよ。」

「あはは、だよね。」

「そうだね…私何で、誘われるといつもオッケーして一緒に行っているんだろう…。」

急にトーンを変える穂乃香に、梨乃は彼女の表情を目で追って確かめる。


「穂乃香さん…?」

「…。」


「今までそれ、考えてみた事無かったの?」

「全然。気が知れてるから、良いだろうと思って、何にも考えて無かった。…良くないかな…。」

穂乃香が梨乃に聞いてくる。


「良くない…って事は無いんじゃない?」

「そっか。私さ、野崎さんは別なんだけどさ、男の子の友達の方が、今までずっと付き合いやすかったんだよね。その延長線上と言うか、今のは…。」

梨乃が穂乃香に頷いて相槌を打った。




 男友達との別れは何度か同じ様なケースを繰り返した。

一緒に居て心地良くて、信頼出来る仲だと思って楽しく過ごしていた折に告白されて、そんなつもりは無かったと答えると相手の男友達ががっくり肩を落として去って行くというパターンだ。


ただ、楽しくて、心地良くて、冗談が言い合えて、最高の友達だと思っていたのに。

どうしてこうなっちゃうんだろう。


でも辰成の場合は違っていた。

最初から穂乃香が辰成の事を好きだったから。


だから友達として、では無くて、最初からアタックするつもりで声をかけて…。


そんな過ぎし日の事を穂乃香は思う。


…それでも、私は…。






 天井の高い部屋。

一脚しか置かれていないデスクの席で、ソウイチが変わった型のコンピュータのモニター画面を見つめている。


分割されたライブ中継がそこには映っていて、ソウイチは綺麗な切れ長の目を細めてモニター画面から目を逸らし、デスク脇に置いてある透明な石を眺めた。






 気が付くと、大きなボールみたいな光の玉があちこちに浮遊して様々な光を明滅させている空間に居た。


ソウイチは思わず頬を緩める。

ふかふかの地面に、前回そうした様に今回も腰を下ろした。

そうして明滅する色とりどりの光の玉の情景をただ眺めた。





 周りの木々に囲まれて上空からの視認が難しい神社。

社内の一番広い空間で、今日もノリコは写本を小さな座卓の上で行っていた。


祖父は変わらず同じ空間の中央奥で瞑想を執り行っている。


ノリコは写本のお手本を目にしながらも、何かを感知して筆記具をノートの上に置き、その手で服のポケットを探った。







 林の奥の二棟の家。

手前側の家では、友喜が机の上に突っ伏してごろごろしていた。

友喜が姿勢を変えて突っ伏し直すと胸元にぶら下がるネックレスのペンダントトップが机に触れてカタンと音が鳴った。


兄の有津世が随分と気兼ねしていた自分の状態に憂いてみる。

石を触らなければ、大丈夫なのかな。


胸がまたとくんとなった。


戻った直後に見た、鏡に映る黄緑色の光のもやの彼女の表情を思うと複雑な気持ちになる。


もう一人の友喜を想って、功と一緒に涙した事。

キャルユにも通じるものがある様に、友喜は思う。


石は触らない様にするとは言ったけれど、キャルユ側からしてみたらその決定はどうだろう。

考えてみたら分からなくなってきて、その間にも胸はとくんとなった。







 ここは、私の空間で、ここは、元気を送る場所。


でもいくら光の玉を煌びやかに見せるためとは言え、極端過ぎる。

それなら…。

ノリコは野に咲く花をイメージしてみた。

全部がお花で、色味は淡い方が、居心地が良いんじゃないかな。




 光の玉の乱舞していたこの場所が、一瞬で淡い色合いの花畑に変わる。

ソウイチは移り変わる景色に目を見張った。


周りを見るために振り返ったその先に、ノリコが微笑んで立っていた。


ノリコはソウイチに近づき、


「ソウイチくんからの緊急お呼び出し発動!…なんてね。…来れて良かった。」

笑みを見せながら隣に座る。


「…ノリコ。ここはやはり、ノリコの場所なのですか?」

「うん、何かそうみたい。女神様がね、そうだって言ってた。」

ノリコが横からソウイチの顔を覗く。


「で?初めてここに来た感想は?」

「…初めてじゃ無いです。ここに来たのは、2回目で…。」

ノリコはソウイチの答えを聞くと真顔になって、


「なんだ。そうなの?あれ、そしたら私…ああ。」

一人で驚いて疑問に思って、一人で納得する。


「?」

ソウイチがノリコの顔を見ながら珍しくきょとんとした顔になる。


「…そんな顔をするとまだ少年みたい。」

「止めて下さい。私は大人です。」

「…。」

言いながらもソウイチは遠くを望む。


「綺麗な景色ですね。」

「うん、気に入ってくれた?あのままだとちょっと極端過ぎるかなあって。」

「そうですか?変わる前のも好きでしたよ。」

ソウイチはノリコにようやく微笑んでみせた。


「そう言ってくれるんなら良かった。でね、前回はお呼ばれしなくて、今回はお呼ばれしたんだね、私。」

「…。」

ソウイチがノリコの顔をじっと見る。


「ノリコ、私は…。」

途中からかすれ声になるのをノリコは見とめた。


「どうすれば元気になる?前回は…これに変わる前の景色の中で、元気になれた?」

「…。」

ソウイチはノリコの顔を見続けた。


「あ…また、声、出なくなり始めちゃったかな…。」

ノリコが親身になって、ソウイチの表情の変化に気を配る。


「ん~。…ここかな?」

ソウイチの体の表面近くに、ノリコには見える渦に気を向ける。


喉の近くの渦巻く空間にノリコが手指を伸ばして優しくまさぐると、停滞していた渦の動きが明らかに変わるのをその目で確認した。


次の瞬間、ソウイチは手を伸ばしてノリコの腕を掴み、ノリコを自分の腕の中に引き寄せた。

ソウイチはノリコを抱きしめながら、彼女の唇に自分の唇を重ねた。






 林の奥の二棟の家。

手前側の家では、友喜がまだ机に突っ伏していた。


胸がとくんとなる。


ネックレスをしているからぽわぽわの意識は入り込んではこない。代わりに今は胸の奥からの情報が時折流れ込む。言葉では無く、それは光の情報で。

光の大波、小波、が押し寄せてきて。まるで波間に浮かんでいるみたいだった。





 隣の有津世の部屋では、有津世が机の上にラップトップコンピュータを広げながらキーボードで文字を打ち込んでいる。


友喜の部屋から出る時に言いかけた言葉。


石が友喜の机の上にあるままで良いのかやっぱり分からずに、功に預かってもらってはどうかと提案しようとした。


でも考えてみたら、友喜がキャルユになる事が何が問題なのかという話になると、功にキャルユの事をどこまで話しているかにも依ってくるし、説明するのにも微妙だ。


キャルユと分かった時に、もう少し話を聞いて上げた方が良かっただろうか。

友喜の異変に気が付いて驚いて焦って、とにかく友喜に戻さなきゃという思いがその場では強かった。


有津世は友喜が居る隣の部屋との仕切り壁を眺めた。







 緑で包まれた濃い空気の地。


星空の下の森の途切れた箇所での草原で腰を下ろし、近くで草を食む一角獣を眺めながらツァームとアミュラが話をしていた。


「アミュラ、今もしキャルユに話しかける事が出来るのだったら、キャルユに何を伝える?」

「キャルユに?」

その質問は何だかツァームらしく無くて、アミュラは疑問を覚えた。

それでもキャルユへの想いをアミュラは紡ぎ出す。


「キャルユ…いつでもあなたの事を想っている、愛しているよ…かな。ツァームは?」

「…僕も同じだ、アミュラと。」

「うん…。」


ツァームの表情は心なしか沈んで見えて、アミュラはそれが酷く気になった。


「でも、向こうの星ではあたし達は一緒なんでしょう?」

聞こえていないはずの無いツァームが、何かを考え込んでいる様で俯いたままで返事をくれなかった。


「ツァーム?」

「あ、うん。」

「さっきの術、激しかったから…疲れた?」

「いいや、大丈夫だよ。アミュラも協力してくれたから、それは大丈夫。」


今まで気丈にアミュラに接してくれていたツァームだけれど、ここに来てアミュラの様にキャルユの居ない事に意気消沈しているのだろうか。


「…会いたい…ね。」

アミュラがツァームの顔を覗き込みながら隣に寄り添い座り直した。


「うん。三人で居た時の事をさ、時々思い出すよ。」

「うん…。」

「でもキャルユの元気なのは…前にも言った様に感知する事は出来てるから、彼女は今も…元気だ。」


ツァームが言葉を選びつつ、ゆっくりとした口調でアミュラに言った。まるで自分自身に納得させる様に。


「うん。だったら、良いね…。」

アミュラはツァームの言葉に僅かに微笑んで、二人は瞬く星空を見上げた。



文の言い回しの修正を複数箇所で行いました。(2026年1月23日)

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