指標
空からお星様が降って来て、そのお星様はこう言ったの。
「どうか僕をここに留めておいて欲しい。僕はここでやる事があってここに来たんだ。」
私はそれを分かっていたから、快く了承した。
またお星様が降って来て、そのお星様も同じ事を言ったの。
だから私は、その二人を、同じ様にデザインした。
私はそれでは足りない事を知っていたから、その二人に似た様に、もう一人をデザインしたの。そしてね、それについての歌も作った。
来たるべき時に、それが思い出せる様に。
私は祈りを込めて、それを作ったの。
いつものカフェの、テラス席。
テーブルには抹茶ラテのマグカップといちごシェイクのグラスが載っている。
「何それ?そしたら友喜に被っているそのもう一人の人格…キャルユと会ったの?」
友喜は先日のクリスタル内での出来事をなつに話していた。
「だから、えーと、何人?もう自分の数が分からなくなって。」
友喜は指折りキャルユと友喜の数を数えて、途中でそれを諦めて、抹茶ラテのマグカップに手を伸ばす。
「まあ、そしたらさ、あたしもそうかもだけど、うちの兄とは会うべくして会った、と言う感じだね。」
なつがいちごシェイクのストローをクルクルと回しながら言う。
友喜がなつのその言葉に反応して、
「ねえ、なっちんさあ、」
「ん?」
「功お兄ちゃんに何か吹き込んだでしょ?」
鋭い目線でなつに言う。
「え、何の事?」
なつが、しらばっくれて言った。
「だってさ、この前の土曜日、何だかなっちん言う事おかしかったし、功お兄ちゃんの受け答えも、なんか…なっちんに合わせてた!」
合わせてた、って…友喜にはそう見えていたのか、と、なつは驚く。
「いつもの会話をより自然に、より素直に表現しただけだけど、それが何か?」
「より自然?」
友喜が聞き返す。
うん、と、なつが堂々と頷いて見せる。
友喜が頬を膨らませて、その様子をなつが不思議そうに見る。
…。まさか一連の会話の意味を分かっていなかったりして。
友喜なら有り得る。
「…すごい。」
なつはいちごシェイクのストローを吸いながら言い、友喜をまじまじと観察する。
「何がすごいの?」
友喜が頬を膨らませたままで、なつを軽く睨む。
「ん~、可愛さが。」
「騙されないんだから!」
今、馬鹿にしてたでしょ!と友喜がなつに突っかかる。
「そういう所だけは鋭いね。」
なつが友喜に聞こえないくらいの小さな声で呟く。
「あ、また何か言った!」
「もう良いじゃん、勉強しようよ、勉強。」
「え~、やだあ!」
友喜がごねる。
「うるさいなあ、じゃあ、帰って良いよ、帰って!」
しっしっ、と、なつが振り払う様な仕草で言うと、途端に悲しそうな表情に友喜はなった。
「冗談だよ、全く、もう。勉強したくないのなら、ほら、この前みたいに寝ちゃったら?」
「それだめ、絶対。」
友喜が今度は赤面に変わり、自分の顔を両手で覆う。
なつは友喜の百面相を見てやれやれという顔をしながら、勉強道具を広げシャープペンを握り、勉強に集中し始めた。
友喜はなつをちらりと見て、ため息を漏らす。
なっちんは勉強得意で良いな。
友喜はどちらかと言うと学校の勉強は苦手だったし、毎回を何とか潜り抜けられたらそれで良いや、くらいの気楽さだった。
日暮れまでには、もう少し時間があるな…。
友喜は抹茶ラテを口にしながらテラス席沿いの通りを眺めて思った。
林の奥の二棟の家。
今日も有津世と雨見は、手前の家のリビングで作戦会議をしている。
「最近気付いたんだけど…」
有津世は2階の自分の部屋から持って来た飴色がかった透明の石を手に取りながら話す。
「ぽわぽわが来る度に、この石が光って見えるんだ。」
「光るの?」
有津世が頷き、少し前に白昼夢で見た一角獣の話を雨見にした。
「中に、一角獣が宿っているんだとしたら、その一角獣がぽわぽわに反応している、って事だと思うんだけど…。」
「うん。」
有津世の説明に納得して雨見が頷く。
「前にさ、ぽわぽわが来るきっかけを俺が作っているかもって話、雨見が言ってたでしょ?」
「うん。そういう話、したね。」
「それってこの石かも知れないよね、俺じゃ無くてさ。」
「呼び寄せているのは有津世じゃ無くて、その石…。」
二人で石をじっと眺めた。
「まあ、推測だけどね。」
雨見が有津世に頷き感心して、尚も石を眺めながら有津世に尋ねる。
「その石、河原で拾ったって言ってたっけ。」
「そう、河原で。小学生の時にね。」
「不思議な石…。」
「そうだね。」
考えを巡らせて雨見は更に有津世に問いを発し、二人の話し合いは続いた。
辺りがすっかり暗くなった頃、功がカフェ沿いの通りを歩いていた。
カフェのテラス席が遠目に見えて、妹なつの隣に友喜が座っているのが確認出来た。
テラス席に通じる階段を功は上がって行く。
見ると友喜が功に気付き、こちらを見ていた。
「あ、お兄ちゃん。」
なつも気付いて顔を上げた。
「よっ。」
今日は少し遅かったけど、大丈夫か?と椅子を引っ張り出して座りながら友喜に聞く。
友喜は、はい、とだけ言って、功に微笑んで見せた。
「…そうか。」
功も微笑んでから、次になつを見る。
「おい、もうそろそろ終わりそうか?」
「うん。終わる~。だけど、お手洗いにも行きたい。」
「おう、じゃ早く行ってこいよ。」
功が急かす。
はあい、と、なつがゆるりと返事をし、手元のペンをノートの上に置くと立ち上がり、背面のガラス張りの壁沿いにある店内入り口から中に入って行った。
なつが店内を移動する様子を眺めてから功は友喜に向き直る。
彼女が緊張気味な顔になっているのを功は確認した。
「ひとつ、クイズ出すぞ。」
功の唐突な話の切り出し方に友喜が目を丸くする。
「あ、はい。」
「土曜日に選んだバーガーの種類、覚えているか?」
友喜はほんの少し呆気に取られてから顎に手を当て考えた。
「ええっと~…」
直ぐに答えが出ない。
功の顔をちらりと見ると、
「良いんだ。こっちのちょっとした確認。」
友喜に微笑んで見せる。
それを受けて友喜がバツの悪そうな表情で、
「ごめんなさい、分からない。」
功に返した。
友喜の答えを受けて、功は軽く2、3度頷いてから、
「じゃあもう一つクイズな。」
優しい顔で言う。
「はい。」
「食べている時の事は覚えているか?」
友喜は考えて、途中からなら、と答えた。
「分かった。」
功が納得いった、とばかりに頷いて見せる。
「功お兄ちゃん、…これってもしかして答え合わせ…?」
友喜が尋ねた。
「その準備、かな。」
友喜の顔を優しく見つめながら功は言った。
友喜は赤くなって、ちらりと功を見た後でテーブルへ視線を落とす。
その様子をガラス張りの店内からなつが目にして、思わずお手洗いへと戻ろうと一歩踏み出そうとする所をテラス席側の功に見つかり、戻ってこい、と顔だけでジェスチャーされた。
なつがしぶしぶ席へと戻ると、
「ほら、帰るぞ。」
功が促した。
なつは功を睨んでから勉強道具を片付ける。
「出来たか、行くぞ。」
なつと友喜がテラス席から道路へ通じている階段を下りる直ぐ後ろに功は続き、微かに口の端を上げた。
都内アパート。
則陽が副業のオフィスに寄って来ると聞いていた梨乃は小さなテレビに映り込んだゲームのスタート画面を睨んでいた。
自動的に表示されたクリスタルのくるくる回る画面でクリスタルの中に入れるかを試したが今回は入れず、思い直してたまには、とゲーム機を再起動して初めてクリスタルの無い普通のスタート画面を目にした次第だ。
画面にまたもや出てきたツピエルと操作方法についてお喋りしながら分からないなりにもゲームを始めてみる。
「え、面白い。最近のゲームってこんなに自由なの?」
大人になってからはゲームを離れていた梨乃が、その内容に驚いて感想を言った。
「しかもこれ、則ちゃんが作っているなんて…。」
梨乃が一人で頬を赤くして則陽に惚れ直している。
「はあ、レディ、世話無いわね…。」
梨乃が心底則陽に惚れていたのをツピエルはもう良く理解していたから、その様子を見て、いつもの事とため息をつく。
「あ、敵よ!」
「じゃあさっき貰った魔法を使ってみる。あ、すごい!」
アパートの一室に、朗らかな笑い声が響いた。
飲み屋街の一角、狭くてコンクリートむき出しの古びた階段を地下2階程まで下っていくと、隠れ家の様なオフィスがお目見えする。
則陽が作業に従事していると、受付にどうも自分達とは雰囲気の違う男が訪問して何やら話し掛けており、珍しく則陽の気はそちらに向いた。
男は箱の様な物を手に持っている。
受付での話が終わった様で、男は則陽の居る奥の作業スペースに入ってきた。
今作業をしているのは則陽を含めほんの数名だ。
思い思いの席に着いて彼等がプログラミング作業を行っているのを男はざっと眺めると、作業スペースの隅へ視線を移した。
男は箱の様なものを小脇に抱え、もう一方の手には小さな機械の様なものを持っており、そちらにも都度注目していた。
男はおもむろに床にしゃがみ込み、何やら作業をし始めた。
持ってきた箱の様なものと作業スペースの配線とを繋ぎ合わせている様だ。
気になった則陽は作業内容について男に尋ねてみたくなったが、この場所の特性上、声を出すのも憚られる雰囲気なので男の動きをそれと無く目で追うだけに留めた。
作業が終わったらしく、男は作業スペースから出て行った。
再び受付で話をしていたかと思ったら丁寧な一礼をして男は去って行った。
その仕草はソウイチの事を則陽に想起させる。
彼の指示で今の男は来たのだろうか。
「梨乃、ただいま。」
「則ちゃん、おかえりなさい!」
自宅アパートに帰り着いた則陽は靴を脱いで、玄関前まで足を運んでくれた梨乃を眺めて微笑んだ。
梨乃の表情は明るい。
「則ちゃんの作ったゲーム、面白いね!」
「あ、梨乃、ゲームやったの?」
梨乃が嬉しそうに頷いた。
「なんかシステムが私にとって…斬新。あ、ずっとゲームして無かったから余計そう感じるのかもだけど…面白かった!」
良かった、と言って則陽は続ける。
「梨乃それ出来るんだったら、今度一緒にやろう。まだデータの更新はしているし、結構息の長いゲームなんだよ。」
そして則陽はダイニングを見て、
「また今度にでも。今は、ご飯だね。」
梨乃に言うと、則陽は夕飯の準備をてきぱきと始めた。
則陽の用意してくれた夕飯をダイニングテ―ブルの席に座り、いただきます、と口々に言い、二人で食べ始める。
「ご飯も美味しく炊けてる。」
ご飯茶碗を持ち箸でご飯を摘まみながら梨乃が満足そうに言う。
「則ちゃんの野菜炒めも美味しい。」
口を大きく開けて大皿から野菜炒めを箸で掴みご飯と一緒に頬張る。
則陽は梨乃を見て微笑みながら、
「梨乃、あの返事、まだ貰って無いんだけど。」
穏やかな口調ながらも問い掛けた。
「…。」
梨乃は箸の手を止めて、申し訳無さそうに、上目遣いで則陽を見る。
「まあ、梨乃の危惧する所は理解出来なくも無いけど。でもこれでやって来たんだから後は梨乃が納得するかどうかだと思うよ。」
則陽が言う。
梨乃に譲歩してこのまま、という案も無い事も無かったが、則陽の気が済まないであろう事は則陽自身が分かりきっていたから、こうして時々梨乃の返事をまだかと尋ねた。
「…。」
どっちつかずの梨乃の態度に則陽は軽く息を吐いて微笑むと、
「分かった。もう少し考えると良いよ。」
梨乃を庇う様に優しく言った。
二棟の家からの明かりを受け、林の木々が薄ぼんやりとその姿を見せる。
奥のログハウスでは、最近の夢の芳しく無い展開を思いため息をつきながら部屋の電気を消してベッドに潜り込む雨見の姿があった。
手前のほぼ漆黒の外観の家では、友喜は既に寝ていて、隣の部屋の有津世は就寝前のぽわぽわとの時間に、一人、想いを馳せていた。
温かい気持ち。
彼をこの目に出来る事を喜ぶ気持ち。
何度でも訪問しよう。
私はあなたを愛している。
愛しているのだから。
友喜が夢の中でぽわぽわの想いを味わっていた。
寝ているのにぽわぽわの感覚と連動しているその夢は、時間軸もそのまま変わらず今を投影している、そう感じられた。
「あなたはそんなに…」
「ええ、私は彼を愛しているの。」
「ねえ、じゃああなたは、あちらの世界の彼にも会いに行くの?」
「あちらの世界?」
「ええ、あなた元々、あちらの世界から来たんでしょう?」
ぽわぽわが口をつぐむ。
「だってあなた、ツァームの事を愛していたんでしょう?」
重ねて友喜が聞くと、ぽわぽわは内側から発する光を強めて青白く輝くと、次の瞬間まるで彗星みたいな勢いで何処かへ飛んで行ってしまった。
友喜が目を覚ますと、まだ暗い。
真夜中だ。
友喜は念の為に枕脇に置いてあった緑の豪奢な装飾のノートとペンを手に取って今点けた手元の小さな明かりを頼りに今の夢を書き記す。
「記憶…。」
ぽわぽわについて感じた事を続けて書き足した。
記入が済むと友喜は明かりを消して、もう一度目を閉じた。
朝になって、挨拶をしながら朝食のダイニングテーブルに着く。
今朝は兄、有津世は寝坊せずに済んだ様で友喜よりも先に席に着いて朝ご飯を食べていた。
友喜は有津世の顔を無言で観察する。
「友喜、どうしたの?まだ寝ぼけてる?」
「寝ぼけて無いもん。」
それだけ言い、ふいっと前に向き直して、いただきます、と言って朝食を食べ始める。
有津世はそんな妹に小首を傾げながらも、残りの朝食を食べ進めた。
白い校舎が日に照らされて、さらりとした空気が温められていく。
校舎の一角、廊下の開いた窓から、友喜は外の景色を眺めていた。
「何かあった?」
なつが友喜に話し掛ける。
「うん…、また今度話すね。」
言いながら、物憂げな表情で遠くを眺める。
なつは、友喜の見ている方を一緒に眺めてみた。
二人はぼうっとして、窓の外を眺め続ける。
「…そう言えば、なっちんさあ。あの話は功お兄ちゃんにはしたの?」
なつが友喜の言葉に、ああ、進路の話?と確認する。友喜の頷くのを見て、
「うん、したよ。お父さんには、これから。」
「…そうかあ。」
友喜が窓に腕をかけ、うなだれる。
「あ、そしたら、遊びに行くのもそっちになるのか。」
「それは、あたしと遊ぶ時はそうだけど、友喜はこれからも家に遊びに来る必要、あるでしょ?」
なつが友喜を見ながら言う。
「なっちんが居ないんなら、行く理由が…」
「無い事無いでしょう?」
なつが友喜に言い聞かせる。
友喜がなつの言葉に、おぼつかない表情で押し黙った。
昨夜見た夢の事もあって、友喜は作戦会議に今日は出ようと、一人家に帰り着いていた。
クリスタルの画面は直ぐに表示されたけれど今日は飛べず、友喜は一人でのんびり紅茶を飲んで時間をやり過ごしていた。
昼間、学校の廊下で交わしたなつとの会話を思い出す。
「え、なっちん、それってどういう…」
「だって、授業って、これからもするんでしょ?」
なつの兄、功との、妖精とかが見える様になる為の特訓、の事をなつが言う。
「そしたらさ、あたしが居なくても、兄とは会う必要が生じるでしょう。」
「…。」
「まあ、後、一年余りあるけれどね。」
「そうだよ!なっちん、先の事言い過ぎ!」
先に話を持ち掛けたのは友喜の方なのに、その事を忘れて友喜は語気強めに文句を返した。
それでもその後、また物憂げな表情に戻って、
「第一そんな先まで授業、してるかも分からないし…。」
友喜が言う。
「してると思うよ。」
なつが言い切る。
「へっ?」
「してるでしょう。友喜と、お兄ちゃんの事なら。」
なつが分かりきっている、と言った風に返す。
「何?何をもって、そう思うの?」
友喜が不思議がった。
え~、だって、と、言いながら、ただ二人の歩みがすごくゆっくりに感じるから、という率直な意見は出さずに、なつは友喜を眺めて言った。
「ただそう思っただけ。」
「…なーんだ。」
友喜が拍子抜けの反応を見せる。
そんな友喜を見て、ふうっと息を吐くなつが居た。
友喜は紅茶を飲みながら、なつの言葉の意味を思って首を傾げた。
「ただいま~。」
玄関から有津世の第一声がした。
「あ、お兄ちゃん、おかえりなさい!」
友喜が思わずいつもよりも大きな声で返したのを受けて、リビングに来た有津世が友喜に、ただいま、ともう一回言った。
「朝もちょっと思ったけど、友喜、何かあった?」
真顔になって友喜を見る。
「あの…雨見ちゃん来たら言うよ。」
友喜の返事に、うん、分かった、取り敢えず着替えてくる、と言って有津世は2階に上がって行った。
友喜は有津世と雨見の分のマグカップを棚から取り出して紅茶の用意をしながら口から息を漏らした。
その内に有津世が1階に戻って来て、友喜の様子を眺める様にしながらも今日のお菓子の提案を友喜に持ち掛ける。
友喜が考え込む様にしてから答えたのに有津世は微笑んで同意した。
「お邪魔しまーす。」
雨見の声に、友喜と有津世が共に反応する。
「雨見ちゃん、どうぞ~。」
「雨見、入って。」
声を聞きつけた雨見はリビングまで来ると友喜の居るのに大いに喜んだ。
紅茶のマグカップとお菓子を有津世と友喜が手分けしてソファ前の座卓に運び、二人は既にソファーに座っている雨見の両脇に座った。
三人それぞれが紅茶を口にしてお菓子を摘まんでひと息ついた所で、友喜が口を開く。
「あのね、昨日、久し振りに夢を見たの。」
有津世と雨見が友喜に注目した。
「夢?」
「そう、ぽわぽわの夢を見た。」
友喜は有津世の方を見て続ける。
「ぽわぽわがね、お兄ちゃんの事が好きで大好きで堪らないんだって、それでね、ずっとお兄ちゃんの所に通い続けるんだ、って言っているの。」
「それ、ひょっとして、キャルユ自身の想い、だったりするのかな…。」
「そうだろうなって私は思って、聞いてみたの。あちらの世界のお兄ちゃんにも会いに行くの?って。そしたらぴかって光って、ぽわぽわ何処かに行っちゃった。」
友喜からの話に、雨見はぽそりと、今回友喜ちゃんはぽわぽわにも会ったのかあ、と呟いたのを受けて、友喜は続けた。
「それがね、今回、確かにぽわぽわと会話はしたんだけど、自分もぽわぽわの中に居る感じで…しかもね、訪問した日時まで感じたの。きっとあれは、昨日の夜のお兄ちゃんの部屋だったなあ、って。」
「それって…。」
雨見は有津世の方を向いて問い掛けた。
「有津世は昨日ぽわぽわには…?」
「会った。遭遇したよ。」
有津世は雨見と友喜二人の顔を見ながら、それに…と続ける。
「昨日、ぽわぽわが途中で光を強めて何処かへ飛んで行ってしまうのも見た。だから友喜の言うのは合っているんじゃないかな。」
有津世は言った。
男が作業スペースに箱を設置する場面で「それとな無く」となっていた所を「それと無く」に訂正しました。(2026年1月10日)
校舎でのなつと友喜との会話で「をを」と連続して記述されていた誤字を訂正しました。(2026年1月10日)




