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見上げる空に願いを込めるのは何故だろうか(仮)  作者: 晴海 真叶(はれうみ まかな)
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記憶

 友喜と功が出掛けた後の吉葉家で、なつはリビングで一人和みながらお茶していた。


友喜の態度を見ていれば、兄の功を気にしている事がまる分かりなのに、今回友喜はなつにその相談を持ち掛けようとはしない。

元々、こちらが強引に友喜を引き込んだのが始めにあったし、良かれと動いた施策が友喜には不満だったのもあると思う。


それでもなつは、友喜と功の二人が今回少し前進したのを、自分のおかげとも思ってもいない。

成るべくして成る。

なつには二人の事が、何故だかそう見えていたのだから。







 明るいグレーのタイル張り、先進的なイメージ溢れる割と立派な図書館で、則陽と梨乃は本を探しに来ていた。

則陽が熱心に本を探している傍らで、梨乃は何と無く別の本の棚の探索も兼ねて、ふらりと歩く。

すると、本の棚を眺めながらうろうろしている別の人影が目に入り、梨乃は驚いて思わず声を出す。


「柚木有津世くん!」

有津世は静かな図書館の中で自分の名前がいきなりフルネームで呼ばれたのに驚いて、その声の方に振り返った。




 図書館に併設のカフェに、則陽と梨乃、そして有津世が立ち寄る。


図書館と同様に明るい店内で、少しゆったりめの低いテーブルと、ソファの様な幅広で座り心地の良い一人掛け用椅子にそれぞれが座ると、三人はお互いを眺めた。


「改めて初めまして。クリスタルの中でも会わなかったし、こうして顔を突き合わせるのは初めてだね。」

則陽が有津世に言う。


「はい。いつもありがとうございます。あの…メールでは有益な情報を…そして梨乃さんもありがとうございます。」

有津世が少し緊張した面持ちで言う。


「そんな、こちらこそだよ。有津世くんのくれる情報がものすごいヒントを毎回くれるんだ。おかげさまで新しいゲームの具体的な構想も浮かんでね。あ、これはメールで話したか。」

則陽は朗らかに笑って言う。

その則陽を、微笑みながら梨乃は見守る。

一見では分からない、則陽の柔らかな表情と人の良さが対面した事で一気に伝わってきて、有津世は自分の思い込んでいた誤解を雨見に解いてもらっておいて本当に良かった、と思った。こんなに人の良さそうな相手に、自分のあほな誤解で突っかかって行く所だった、と、有津世は一人反省する。


「クリスタルの中で会ったのと変わらないね。有津世くん、元気そう。」

梨乃が満足そうに言う。

有津世は微笑んで、


「梨乃さんも変わりませんね。その…こうしてお二人に直接お会いしてみたかったから、会えて本当に嬉しいです。」

友喜は則陽にはクリスタルの中で会っていたし、梨乃には直接会っていたから、自分もいつかは、という想いが有津世にはあった。


「あの、それで…奈巣野さんがメールで教えて下さった例の物、…多分増えていると思うんですが…。」

「うん、確かに、増えて来ているよ。」

有津世は則陽の返事を確認出来ると、自分も頷く。


「それにしても有津世くんの動きと、こっちの作業が連動しているなんてね、驚くばかりだよ。」

「はい、俺も…。俺は雨見とは違って…あ、もう一人の子とは違って、たまにしか夢は見ないんですが、それでもその断片が見えてくる度に、自分でも驚いています。」

則陽と梨乃は、雨見にはまだ会った事が無かったから、有津世は言い直して二人に伝える。


「雨見ちゃん…。雨見ちゃんが、夢はメインで見てるの?」

梨乃が聞く。


「はい。こういう話をする事になったのも、雨見の夢がきっかけで…あ、友喜の異変もですが…」

則陽と梨乃は有津世の言葉を聞き、二人は顔を見合わせそれぞれ静かに息を吐いて、


「何かやっぱり、色々体験してるんだね…。」

梨乃が言う。

則陽がそれに頷いて、


「有津世くん達はさ、本当にすごいと思うよ。前向きにそれに取り組み続けていると言うのがさ…。」

梨乃がうんうん、と頷く。


「雨見がすごく、前向きだから…。」

有津世は呟く様に言う。

それを聞いた梨乃が、感心した様に微笑んで、


「私、雨見ちゃんにも会ってみたいな。クリスタルの中でも良いから。ね?」

則陽に向かって言う。


「そうだね。今回こうして有津世くんに会う事が出来たから、次は雨見ちゃんにも会ってみたいね。」

則陽が梨乃に相槌を打ちながら答える。

終始温かい感じで会話をするこの二人は、本当に自分達三人を取り巻く状況を受け入れてくれて歓迎してくれているのを有津世は感じ取ったから、嬉しくなって柔らかい笑顔になりながら、


「是非ともお願いします。」

二人にそう答えた。


その後、今までの事やこれから起こりうる事等について、則陽と梨乃、そして有津世は三人で話が盛り上がった。ひと段落すると、周りを見回して則陽が言う。


「こうして見ると、何も起こっていなさそうなのにね。」

その言葉に、梨乃と有津世は頷きながら、則陽と一緒に周りの風景を少しの間眺めた。





 




 公園で子供が大声で泣いた後、親がなだめる声が伝わって来て、沈黙している功と友喜の間にさわさわと風が吹く。


元々まばらだった公園の人影が一組、また一組と減り、いつの間にか公園に残っているのは中央奥のベンチに座っている功と友喜の二人だけになっていた。


「あ…何を話してたっけか…」

功が少し遠くにある魔法陣の不可思議な暗号の塊を眺めながら呟く。

友喜が功を見て、


「えっと………分からない…忘れた…。」

功がその言葉に振り返り友喜を見ると、友喜が俯いて何か戸惑っている様だった。


「功お兄ちゃん、あの…」

「うん?」

功を見上げておずおずと友喜が話し始める。


「あの、私…時々忘れてて…」

「?」

「時々…功お兄ちゃんと接している時間の記憶が、細切れになるんです。」


「…え?」

功が友喜の発言を受け、一瞬止まってから反応する。


「あ…確か前になつと話してた…?」

一瞬記憶が飛んでた、そう友喜がなつに話していた時の事を功は思い出す。

友喜はそれに頷いて、


「あの、それで、…もし、迷惑じゃなかったら、時々あの………、答え合わせ、一緒に、して欲しいんですけれど…」

「答え合わせ?」

功が聞き返す。


「はい、出来事の、答え合わせを一緒に、出来たら、して欲しいんですけれど…。」

友喜がもう一度言う。

功が今の言葉の真意を探る。


「えっとつまり…記憶が互いに一致しているかどうか、って事か?」

友喜が功を見て頷く。


「そうです。あの、食い違いとか、覚えていない事とかあったら嫌なんで…」

「…」

功が少し考え込んで、


「迷惑じゃねえし、出来るけど…。それって、他の…なつとかとも答え合わせ、やっているのか?」


友喜は首を振り、


「一番記憶が細切れになるのが、功お兄ちゃんと一緒の時なんです。それで…だから…。」

「俺と一緒の時に…。」

「もう一人の私が重なって居るから起きているんじゃないか、って以前なっちんとかとは話したんですけれど…でもよく分からなくて…。」



「だから…ごめんなさい、ひょっとしたら、失礼な事、言っちゃったり、してたりしたら…。」

功が友喜の謝罪に反応する。


「え、何も謝る事はねえよ。それに友喜ちゃんは何も失礼な事とかしてねえから、それは安心しろよ。…しかしあれだな…記憶が途切れるのは不便だな、…覚えていない可能性のある出来事を探る、か…。」

友喜が功の言葉に、少しだけほっとした表情を見せる。

彼女の表情を見た功は、胸の奥がまた温かくなるのを感じた。


「今の所何も思いつかねえけど、今度これかな?って思った時には質問させてもらうよ。それで良いか?」

「はい、お願いします。」

友喜が嬉しそうに笑って、功はそれに微笑み返した。


公園の木々は爽やかに風の音をその枝葉で奏で、小鳥達の声も時折聞こえる。

その音を耳にしながら、二人は公園を眺める。


「…そろそろ買い出しに行くか。」

「はい。」

二人は自然に笑い合っていた。








 山奥の、木々に囲まれ上空から視認しにくい神社。


ノリコはその日、写本の言い回しに分からない所があって行き詰まったのを機に気分転換で外に出て、いつものお気に入りの山の斜面の道なき道を下って行った。

途中の小さな小川の場所まで辿り着くと、ノリコはその傍らに腰を下ろし、しばし小川の水の流れを眺める。


周りの石達は生き物達の顕現があってから、いつもよりも煌びやかに輝いたままだ。

ソウイチにもそれが分かった。

ノリコはソウイチが何かしらの装置を取り付けに来た時の事を思い出す。


彼は随分と立派に成長していた。

背も高くてすらりとしていて。

そしてその時この場所で、ノリコ達にいつか恩返しをしたいと懇願してきた。

成長してくれた事が恩返しだよ、とその時伝えてあげれば良かったな、とノリコは思った。


ポケットの中から、石を一つ取り出す。


小川に転がっている石と似ている石で、煌びやかに輝いている状態も同様だ。

ノリコは手元の石を眺め、ネックレスにしている形の変わった石を手に握り、また目の前の小川を眺めた。









 ショッピングをしに、雨見は街に繰り出していた。


最近お気に入りのお洋服屋さんがあって、雨見はシーズン毎にそこの新作をチェックしに行っている。

少し甘めのロマンチックなテーマがベースにあって、それでいて甘過ぎないデザインが丁度雨見の好みに合った。

今はシーズンの切り替わり時期では無かったけれど、少し前から出ているアイテムがたまにセールになっていたりするので、それを探しに行くのも楽しみで、ちょくちょくお店に足を運んでいる。


雨見達の住むこの街には、小規模な店舗が路地に展開していて、その一つ一つが個性溢れる外観をしており、ただ歩くだけでも結構楽しい街だ。

その中の一つ、薄い水色で彩られた四角い小さな建物に辿り着くと、雨見は小さなガラス張りの自動ドアの前に立ち、ドアが開くと同時に店内へと入って行った。


「いらっしゃいませ~。」

店員の声が雨見を迎える。


雨見は店内を見回すと、パステル調の色合いのアイテムがそこここに綺麗に配置されていて、今日もその風景に和む。

何回も来ているので見知ったアイテムも多いのだが、その中に一つ、まだ雨見の目にした事の無かった季節外れのセーターがセールとなっており端の小さなテーブルにちょこんと飾られていた。


雨見がそれを広げてみると、綺麗な妖精をワンポイントで編みこんだ柄で、雨見はアミュラの周りにまとわりつく妖精達を思い出す。

値札を見ると破格の値段になっており、今着れる訳では無いけれど、たった一つしか無いセーターに心惹かれ、それをレジへと持って行った。


「ありがとうございました~。」


雨見は可愛い紙袋を手にして、店を後にする。

予定で無いのに手に入れてしまったセーターを嬉しく思い、頬が緩む。


両脇にお洒落な路面店が並ぶ中、雨見は、るんるん気分で歩いていた。

すると少し距離を置いた前方から、見覚えのある人物が歩いて来る。

友喜だ。

友喜の隣に一緒に歩いているのは、雨見は目にした事の無い人物だったけど…。


あ、あの人が…!


雨見は興奮した様に手で口を押え、思わず友喜の視線の先から逸れる様にと急いで脇へ移動した。


友喜とその人物とを目にして雨見は赤面になり、心の中で応援の念を送った。


友喜は時折、彼に見惚れた様に見つめて、楽しそうに話し掛けている。

雨見の目からは、彼もまた、友喜に優しい視線を向けていた様に映った。


友喜達が通り過ぎて行った後、雨見は通りに戻って友喜達とは反対方向に歩いて行った。








 「ほら、また出来た。」

「沢山子供を作るのね。」

「だって、僕達の分身だよ。沢山いたらいる程良いじゃないか。」

「そうね…。」

編み方を教えていた男が、自らも糸を編み込み、それはやがて光となって何処かへ飛んで行く。


「素敵だわ。」

女は男を見つめて、また互いにその身を寄せ合い光の行方を見守った。


暗闇に浮かぶ、小さな球体の上に二人寄り添い座りながら…。








 「ありがとう。今日は会えて良かったよ。」

「こちらこそ、ありがとうございました!」

日にちを決めて会うのも良いし、クリスタルの中でまた会えるのも楽しみにしてる、と則陽と梨乃は有津世に言った。


「あ、そう言えば、探している本は見つかったの?」

図書館での用が済んだのか、則陽は有津世に尋ねた。


「特に何かを探しに来ているって訳では無かったので、…勉強の息抜きで。」

「そうか、俺達はもうちょっと探してから帰るから、じゃあここで。」

カフェの入り口前で、則陽達と有津世は別れる。


則陽と梨乃は有津世に手を振り、有津世は手を振り返しながらその場を後にした。

則陽と梨乃は互いに目を合わせ、朗らかに微笑み合い、


「行こうか。」

もう一度図書館の空間へと戻って行った。








 バーガー店に着いた功と友喜は、店の脇のメニュープレートを今日も一緒に眺める。


「どれにします?」

友喜の後ろに被る様に立つ功を振り返り、友喜が聞く。


「あ、ごめん、少し近かったか。」

友喜の顔が近くに迫ったのに慌てて功が距離を取る。


「え、でもそれじゃあ見えない…」

「…。」

友喜の寂しそうな表情に功は僅かに目を見張る。

そして考え直してほんの少しだけ近くに寄り直した。体温が伝わりそうで、功はクラクラしそうな所を踏ん張り、耐えた。そしてメニューを一通り見ると、


「今日は、これかな。」

功が指でメニューを指し示す。


「じゃあ私もそれ…。」

友喜がふんわりとした声音でそれを言う。まるで一緒にするのを始めから決めていた様に、メニュー決めに他は何も考えていないのがその声から伝わって来て。

功は胸が高鳴るのをまた耐えて、おう、分かった、と何でも無い風に答え、注文口に立った。


注文を終えて、ベンチに座り出来上がりを待つも、功は店に着いてからずっと胸が高揚しっぱなしだった。

公園では何とか平静を持ち直して会話が出来たと言うのに、店に着いてからの友喜の言動に、いちいち反応してしまう。

同じベンチに座る友喜を見ると、友喜は功に微笑んで見せた。

それを見た功は、微笑み返すのと同時に、顔が真顔に戻っていく。


正面に見えるバーガー店の店内飲食スペースを眺めながら、功は考え込んだ。





 「ただいまー。」

功と友喜が吉葉家に戻る。


「おかえりなさい!楽しかった?」

なつが意気揚々として二人に聞く。


「ああ、おかげ様で。」

功がきっぱりと言い切って、友喜も控え目だけどはにかんでいる。


「ふふ~ん、良かった!」

あ~、お腹空いたよ!となつは言い、早く食べよう、と二人に持ち掛ける。


なつに言われた訳では無いけれど、功はリビングの座卓に座り、二人と食事を共にした。 

なつは満足そうにその光景を眺め、功は二人を見ながら、時折友喜の様子を観察していた。







 林の奥の二棟の家。

手前の、夜は漆黒のイメージを放つ家、その屋根にある二つの丸い天窓から、今夜も淡い明かりが漏れている。


「友喜、友喜、ちょっと良いかな。」

友喜の部屋のドアをノックして、有津世が遠慮がちに声を掛ける。

友喜はその声に、部屋のドアを開けて有津世を招き入れた。


友喜は目の前に立ってやんわりと睨みつける。


「友喜、この前の事は俺が悪かったよ。謝るから許してよ、ごめんなさい!」

そう言って有津世は勢い良く頭を下げてきた。


友喜は大きく息を吐いてから、


「分かった、良いよ、許してあげる。」

頬を膨らましながら仕方無さそうに応じた。


「良かった、友喜!」

有津世は嬉しそうに友喜に笑顔を見せる。

友喜は有津世の表情を眺めながら、呆れた様に視線を上にやった。


「それでさ、話したかった事があるんだけどさ、」

有津世がいそいそと話し始める。


「えっ、奈巣野さんと梨乃さんに、直接会ったの?」

「そうなんだよ。」

聞くと図書館で、偶然居合わせたのを梨乃が見つけて声を掛けてくれたらしい。


「良いなあっ!」

怒っていた事をすっかり忘れて、友喜は目を輝かせて有津世の話を聞いた。


「良かったらさ、今度日にちを合わせて皆で会うのも良いんじゃないか、って奈巣野さんも梨乃さんも言っていたし、その内に機会を作れるんじゃないかな。」

有津世が言う。


「うんっ!」

満面の笑み、突き抜けた明るいにこにこ顔で答える友喜の反応の変わり様に、有津世は少々呆気に取られる。思えば友喜のこの類の反応に有津世のセンサーが感知したのが勘違いの始まりだった。

則陽からのメールを受けて、それを友喜に話した時の、友喜の反応から。


「…友喜、あのな。」

「うん?」

友喜が真顔に戻り、有津世を見る。


「友喜のその態度だよ、それ!それで俺は誤解したんだよ。」

友喜が、えっ?とその意味が分かっていなさそうだ。


「ああ…。」

有津世は友喜から犬の尻尾が生えているかの様な錯覚を得た。

友喜は奈巣野さん達に懐いているんだ。傍から見れば、それは別物だと誤解される様な反応の仕方。こんなに友喜の事を理解したいと思っている俺でさえ、誤解したその反応。誤解したのが自分で良かったとさえ、この時有津世は思った。


「とにかく、友喜、それは誤解を呼ぶから、ちょっとは気を付けた方が良いぞ!」

友喜が唇を尖らせて、


「なあに?お兄ちゃん謝ってくれたんじゃなかったの?」

有津世の言う言葉が理解出来ずに、友喜が不満を漏らした。

有津世は額に手を当てて、はあ~、とため息をつく。


「まっ、それが友喜だと相手が理解すれば問題無いのか。」

友喜の無邪気な瞳を見つめて有津世は呟いた。

変わらず友喜には、兄、有津世の伝えたい事がちょっとも伝わらずに、


「なあに?もう。」

ぶつぶつと文句を言っている。

不満気な顔をして見せる友喜に有津世が力無く笑うと、友喜は有津世の顔を不思議そうに見上げた。


こんなにも愛らしい妹の心を射止めたのは何処の誰だろうか。

まあ、いずれは分かる時が来るのだろうし、俺はその時まで大人しくするか。

有津世は改めて兄としての自覚と心構えを決める。


「まあでも…気を付けてよ。」

どうしても最後何かを、友喜には言いたくなる有津世なのであった。








 山奥の神社。

今夜もノリコは縁側に小さな座卓を移し、夜空をたまに見上げながらも写本を進めていた。


以前、イメージとして浮かんできた、仲睦まじい二人が丸い星に座り、糸を編み込み光を産出している姿がまた胸の内で浮かんだ。


ノリコは自身の胸にネックレスとして身に着けている形の変わった石を思わず握り締め、夜空を見上げて散らばる星々を見つめた。


仲睦まじい二人の姿に想いを馳せながら。



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