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北の領主についてきた兵士の話

 都が落ちた。これで万々歳、おれたちの暮らしが楽になるんだ。

 王様は北のご領主様が都に攻め込んできたのを知って、自害したそうだ。当然さね。おれたちが飢えているのに、知らぬ顔して、ご馳走を食べ、沢山の女を側に侍らせていたっていうじゃないか。王様の叔父さんが王様の態度をご注意なさったが、聞き入れなかった。遂には北のご領主様が、これじゃあおれたち民の暮らしがいけなくなると、王様を諫めたが、これも聞き入れてくれないと、王様を倒そうと声をお上げなさった。北のご領主様が王様になれば税を三年免除してくれるとお約束なさってくれたんだ。喜んで軍に付いていったよ。兵士になれば、そこで腹一杯食わせてくれるし、戦が終われば、税が三年無くなるんだから、誰もが北のご領主様に加勢した。

 死んだ王様が位に就いた時ゃ、田畑で実った穀物の年貢は三割五分だったが、それが三割八分になり、段々と上がって四割を超えちまったんだ。女衆が苦労して織りあげた絹布だってほとんど差し出さなきゃならなかった。それに人足として道路を作るだの、大きな河の流れを変えるだのの工事で、連れて行かれて帰ってこない男衆が大勢いる。王様が季節ごとに住まいを替えたいって我が儘の為の働かせるのに、ろくろく飯も与えられていなかったっていう噂だよ。おれにいつ荷役や雑役の声が掛かるかと、びくびくしていたものさ。

 そんなこんなで、みんな王様が国を治められるに嫌気が差していたから、都まで来るのは簡単だった。都の大きな門を破るのには、手間が掛かったが、それでもおれたちの勢いは止められなかったし、都を守るはずの兵士はおれたちの様子を見て、驚いて逃げちまった。易々と王城までたどり着いた。

 王様やその子どもたちが自害しちまったのだから、もう北のご領主様の天下さ。おれたちはこれから、王城にあるお宝や帰り道に必要な食い物を好きなだけいただいて、家に戻らあ。(かかあ)やがきどもに土産を持って帰りたいし、税を取られないうちに稼ぐだけ稼いでおく元手も必要だ。大荷物になりそうだよ。

 畑を耕したり、水汲みをしてくれそうな頑丈そうなのを荷物持ちの為に、奴や婢として連れ帰る。今までしてきた労苦に比べたら、ちぃとも贅沢じゃねぇ、見合った取り分だ。

 後宮の女官?

 おれはそんなもん要らねぇよ。だいたい王様が道を踏み外したのも、後宮の女にうつつを抜かしていたからなんだろう? 

 いくら見てくれが良くてもこの水汲みもできなさそうな細っこい手や腕はなんだよ。お愛想だけで、機織りも何もできなそうななよなよした女は要らねぇ。女は嬶だけで充分だ。どうしてもって言うなら女じゃなくて、身に付けている簪や腕輪を寄越しな。べべでもいい。それだけでも大したお宝だ。嬶や村の女たちが蚕の世話をして作った繭で、糸を紡いで、織った布で作ったべべだ。似合おうが似合わまいが、嬶を着飾らせてやりたい。

 北のご領主様の戦いに付いていくのに、故郷(くに)の嬶には心配掛けたよ。その分褒美や土産を沢山持っていってやって喜ばせてやらなきゃな。

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