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第96話〜使命〜

 朝日が差し込み、新しい一日が来たことをつげる。もう学校に行きたくない。学校に向かう司はそう思わない日がない状況だった。理由はひとつ、司は学校でイジメをうけている。今日も憂鬱な学校が始まった。


 教室に入ると、いつも通りの状況が司を待ち受けていた。


「おい! ゴミが来たぞ!」

「マジだマジだ! ハッハッハ」


 森山を中心とした五人グループが罵倒をしてくる。しかし、こんなのは序の口。激しくなるのはこれからだと司は気を引き締める。だが、自分の中にいつもと違う感情が芽生えていることに気づいた。


 どうして俺はこんな奴らの言いなりなんだ。こんな下等な生物にどうしてやられっぱなしなんだ。こいつらをグチャグチャにしてやりたい。


 自分にも理解できない。だが、心の奥で誰かが語りかけてくる。理不尽なことは全て力で解決しろ。怒りに身を任せてこいつらを殺せと。


「ゴミの分際でなんで学校に来てるんだ?」

「おい! こっち来いよ」


 鞄を机にかけると同時に教室の隅に連れて行かれる。そこからは我慢勝負。ひたすら、殴られて蹴られてを繰り返す。


 お前は強い。こんな奴らにやられっぱなしなのか? お前はこんなことの為に生まれてきたのか?


 俺が生まれてきた理由。それは誰かを守る為だったような・・・。思い出せない。


 心に素直になれ。お前が今やるべきことはここで怯えていることじゃないはずだ。


 誰かに助けを求めたりはしない。クラスメイトが助けてくれないのは知っている。半年前、急に森山たちからのいじめが始まった。初めはクラスメイトも止めに入ってくれていた。

 しかし、時間がたつにつれてそれはなくなり、司がいじめられているのを見ても無視するようになった。

彼らを責めたりはしない。司も同じ立場だったら助けられないと思っているからだ。


 本当にそう思うのか? いじめを見過ごすのが仕方のないことだと。誰も自分の味方をしてくれない。それを許していいのか? お前は何も悪いことをしていないのに。


 親や先生にも相談していない。


 必要ない。今ここで消してしまえばいい。自分の障害になる存在を。もう、我慢はやめろ。


「もう授業だな。このぐらいにしといてやるよ!」


 暴力から解放される。しかし、これはほんの休憩時間だ。一時間、授業が終わるたびに司を暴力が襲う。


 お前はこんなことで終わる人間なのか? 誰もお前のことを責めたりしない。悪いのはあいつらだ。今までされてきたことを忘れたのか?


 確かにそうだ。いじめの原因が俺にあったとは思えない。なのに、我慢して辛い思いをするのは俺だけだ。こんなの理不尽だ。


 そうだ。こんな酷い世界は滅ぼしてしまえ。この世界はお前にとって地獄でしかない。守りたいものなんて存在しない。さあ、心を解放しろ。


 昼休憩に入り、司はいつの間にか屋上に上がっていた。だが、屋上には誰もいない。そこには真っ赤な剣が突き刺さっていた。


 さあ、それを抜け。そしてあいつらを。忌々しいクラスメイトを皆殺しにしろ。この世界はお前に優しくない。なら、こんな世界消してしまえ。


 司はいつの間にか剣を握っていた。


「そうだ。どうして俺だけなんだ。あいつらはいつも楽しそうに。見て見ぬ振りをして。全員敵だ。幸せな俺の人生を狂わせた。滅ぼすべき敵だ」


 司は勢いよく剣を引き抜く。


 行け。世界を滅ぼせ!


「許さない。もう辛い思いはうんざりだ。俺は幸せになるべき存在だ。俺はこの理不尽な世界を滅ぼす為に生まれてきたんだ」


 司は剣を握り締め屋上から階段を一歩一歩ゆっくりと下っていく。

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