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第4話~蘇り~

「やべーぞ! ほんとに動かなくなった」

「お前がやったんだぞ! 俺は最後じゃない!」

「俺じゃない! 不死じゃないのが悪いんだ! なんで死ぬんだよ!」


 司が死んでから数分後。司を殺した五人が、責任の押し付け合いを始めていた。まだ高校生の五人にとって、殺人は耐えられるものではなかった。


「分かった! 隠そう!」

「そうだ! ばれなきゃいいんだ! 行方不明ってことにすれば!」


 森山達が動かなくなった司に近づいた瞬間、司の体に異変が起きた。


『能力の発動から一定時間が経過しました。周囲の安全を確保し、蘇生を開始します』


 司の体のまわりに、黒いエネルギーのようなものが発生する。


「なんだこれ!」

「なんかヤバそう! 離れよう!」


森山達が司から離れようとするが一歩遅い。司の体を中心にして、円状の黒い波動が放たれる。波動に当たった森山達は吹き飛び、地面を転がっていく。

 

 そして、司は目を覚ます。その目覚めはいつもと何も変わらない。平凡な目覚めだった。


 あれ? 死んだと思ったのに。自分の体を見ると、傷が消えている。そういえば、痛みもなくなってる。周りを見渡すと、自分をいじめていた森山達が倒れていた。何が起こったんだ? 司は何が起きたのか全く理解できなかった。


「どうなってんだよ!」


 森山達が起き上がって近づいてくる。何が起こったかわからない司でも、傷ついた森山達になにをされるか想像ができた。


「クソが! 痛いじゃねえか!」

「ほんとに不死になったんだな」

「これだったら人殺しにならないよな!」

 

 傷のない体に、森山達からの言葉。それだけで、自分に何が起きたか司は理解できた。自分が本当に不死になったこと。そして、これから起きる残酷なことも。


「手加減いらねえよな。どうせ蘇るんだろ!」


 自分を殺すつもりの五人。司は必死に抵抗するが勝てるわけもない。集団でボコボコにされ、司は再び意識を手放すことになる。

 数分後、司は再び目を覚ます。司の目に入ったのは、少し離れた場所で待機している五人。人間とは思えない歪んだ表情をした森山達だった。


「また蘇ったな。今度は吹き飛ばなかったぜ」

「なんか楽しいね! 本気で殴れる、永遠に壊れないサンドバックの完成だ!」


 司はその後、何度も何度も同じことを繰り返された。激しい痛みから解放されたかと思えば、また同じことの繰り返し。司がそのループから解放されたのは数時間たった後。司の体は無事でも、心が無事でないのは当然だった。


 いじめの場所から直接食事に行った司は、一口も食べることができなかった。


「どうしたの? 訓練終わってから元気ないよ」


「なんでもないよ。少し気分が悪いだけだから」


 司の様子を見かねた花音が声をかてくる。司は本当のことを言おうと思ったが、本当のことが言えなかった。花音に守られるのはつらいという気持ちが、まだ司の中にあったのだ。


 司が自分の部屋に帰る。布団に入り、寝ようとするが今日のことを思いだしてしまった。殴られたり蹴られたりした記憶が、司の頭を離れない。つらい、つらすぎる。考えれば考えるほど、司は涙が止まらなくなった。


 もう死にたい。死んで楽になりたい。どうして不死なんかになったんだ。

 


 部屋に日光が入り、眠っていた司に朝が来たことをつげる。また朝か。どうせ今日も昨日と同じなんだろうな。死にたい。でも死ねないし、死んだら花音が悲しむよな。

 

 司は今日も訓練に向かう。元の世界とは比べ物にならない、酷い日常が待ち受けているにもかかわらず。

自分で決めた期限が守れないorz

やはり、自分には無理なのか?(T_T)

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