表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/102

第34話~決断~

「お目覚めですか?」


 司が目を覚ますと同意に、隣から声をかけられる。そこには、メイド服をきた女性のヴァンパイアがたっていた。


「ここはどこですか?」


「ここは我々ヴァンパイアの城です。すぐに神祖様を呼びますので待っていてください」


 なぜヴァンパイアの城にいるかんなてわからない。分かるのは、魔王に敗北したことだけだった。


 メイド服のヴァンパイアが出て行ったことで、司は一人になる。ゆっくりと、自分が何をすべきか、何をしなければいけないかを考える。


 答えはもう出ていたな。ただ純粋に力を求める! それだけだ。


「目覚めましたか」


 扉を開けて入ってきた神祖は、全てをひきつけるような魅力を兼ね備えていた。


「…………」


 その姿に司も一瞬言葉を失う。


「どうかしましたか? 心はもう大丈夫ですよね?」


「なんでもありません。俺はなぜこんな場所にいるんですか?」


「あの時のことは覚えてないんですね」


「そうだ! バルクさんは! サイクロプスの皆は!」


 司は自分のことばかりで忘れていた。魔王に敗北したあとのことを。


「皆さん無事ですよ。安心してください」


「そうですか。よかった」


 本来なら見ず知らずの人の言葉なんて信用できないだろう。だが、なぜか信用できてしまう。この人は真実を言っている。司は無意識のうちにそう思うのだった。


「なぜ俺はここに? どうして皆を助けてくれたんですか?」


「まずは自己紹介でもしましょうか。私はこのヴァンパイア族の神祖、アイネルです。よろしくね、モンブラン君。いや、藤井司君かな?」


「え?」


 自分の本名を知っている。その事実に、間抜けな声を出してしまう。


「警戒しないでください。我らの王になる方なので少し調べさせてもらっただけですよ」


「どこで名前を知ったんですか?」


「我らヴァンパイアは様々な国に潜入しているものがいます。ただそれだけですよ」


「インテグラル王国は今どうなっているんですか?」


 今まで気にせずにしてきたことが、不意に口から出てしまう。


「召喚された人間たちは日々強くなっているようですね。貴方はあの国では失踪したことになっています」


「そうですか。花音は?」


 司が一番聞きたかったこと。それを知ることができる。


「花音ですか? 全員の名前までは調べていないので、後で話しておきましょう」


「そうですか」


 期待していた答えは返ってこなかったが、いつか知ることができる現状に司は喜びを感じていた。


「特別な方ですか?」


「そうですね。この世界の何よりも、大切な存在です」


「それはいい。そのためにも我らの王になっていただきたいのです」


「王? アイネルさんが王ではないのですか?」


「私は神祖。ヴァンパイアの祖ではありますが、王ではないのです」


「そうなんですか。それでも、王になるというのは理解できません」


 司は理解が追い付かない。それは当たり前だ。王というのは一種族に一体だけ、にもかかわらずヴァンパイアの王になれというのだ。


「すこし、昔話をさせてください。私は遥か昔より存在しています。神祖は神祖ですが、正確には第五神祖なのです。先代は全員亡くなられました。その先祖からの言い伝えがあります。我らの種族の王は不死のものなり。不死こそが、世界を統べる。と」


「それが俺なんですか?」


「そういうことですね」


「王になって何をさせたいんですか? 世界征服ですか?」


「そんなことはありません。ただただ、王になってほしいのです。この長すぎる世界の中で、先祖の言い伝えを実現させること。それだけが生きがいなのです」


「王になれば力が手に入りますか?」


 司が一番気にすること。自分の目標に到達するための手段となるかどうか。


「もちろんです。王という個体は、強いから王なのではなく、王だから強いのです。ステータスも上がると思いますし、王になれば我らヴァンパイア族全員が忠誠を誓います」


「分かりました。王になりましょう」


「え? そんなに早く決断していいのですか?」


 司の返答の速さに、アイネルも間抜けな声をだしてしまう。


「構いません。力が手に入るのなら、手段は選びませんので」


「ありがとうございます。では、すぐに儀式の準備に取り掛かります」


 数時間後、司が向かった部屋は、礼拝堂のような、結婚式場のような場所だった。道を囲うように跪くヴァンパイアの先には、アイネルが一人立っている。


 ウソだろ? 王になるってそういうことなのか?


「さあ、こちらに来てください」


 アイネルの言葉で、司はアイネルの正面に移動する。


「それでは、儀式を始めます」


 こんなことになるとは思ってなかったな。だが、力が手に入るならどうだっていい! なんだってやってやる。


「司君。私のうなじに噛みついて、血を吸ってください。それだけで儀式は終了です」


「え?」


 普通の人間なら、絶対にそんなこと言われても噛みつくことはないだろう。だが、司は違った。長い髪をあげて現れたアイネルのうなじに、噛みつきたくて仕方がない衝動に駆られていたのだ。

 

 司はというより、アイネルの魅力にこそ問題があるのだろう。


「どうぞ」


「いただきます」


 カプッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ