表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/102

第25話~命~

 サイクロプス対ゴブリンの戦闘が始まった。質のサイクロプスに対して数のゴブリン。だが、オルドの言った通り、戦況はゴブリン有利に進んでいた。すこしづつサイクロプスの傷が増えていく。


 普通のゴブリンなら数百いてもサイクロプスが負けることはない。だが、今は違う。強化された上に、連携を完璧にこなしている。さらに、ステータス的にサイクロプスと互角であるゴブリンロードが数体いる。少しづつゴブリンの数を減らすが、大して意味などない。


 司も懸命に攻撃をするが命を奪うものではない。相手を戦闘ができないようにする攻撃。手加減しているわけではないが、司には命が奪えなかった。


「どうしたの? さっきの威勢がウソのようだけど? これなら逃げたほうが絶対に良かったわ」


「黙れ! 僕たちサイクロプスは逃げない! そして、絶対に負けない!」


「それならもう少し頑張ってもらえるかしら」


 ナーナの言葉に強気で返すルギスだが、司の目から見ても無理をしているのは明らかだった。


 ルギスの体が赤く発光を始める。鬼人化だ。最後の最後の切り札だが、これを使わないで勝てるわけがない。そう判断したのだろう。


「バカが! 焦るんじゃない!」


 オルドの言葉はルギスの耳に届かない。


 どんどんとゴブリンの数を減らしていく、その中にはゴブリンロードも含まれていた。


「このまま終わらせてやる!」


 強気の発言だが、現実はそんなに甘くない。ナーナに襲い掛かったルギスだが、ゴブリンといえど王は王。少しづつ攻撃を当てるが、時間には間に合わなかった。


「くそ!」


 ルギスの体が力を失い地面に倒れこむ。


「さすがに強いね。でも、その程度よ」


 ナーナが近くにいたゴブリンを捕食する。すると、さっき受けた傷が消えていく。


「ウソだろ」


「そういうことよ。サイクロプスごときが勝てるわけないでしょ」


 動けなくなったルギスに、傷を負ったサイクロプス。戦況は最悪になっていた。


「いいこと思いついたわ。サイクロプスは殺さなくていいわ。捕まえてこの人間の前に集めて、それからゆっくり殺しましょう」


「そんなことはさせない!」


 叫ぶ司だが、心のどこかでゴブリン達を殺したことが許せない自分がいる。これは当然の報いでは? という考えが浮かび、本気が出せないでいた。


 どうしたらいいんだ!


 ゴブリンに攻撃をしながら、司は必死に悩む。


(このままだったら皆死んでしまうぞ)


 司の頭の中で声が響く。聞いたことのある声、夢に出てくる男の声だ。


 うるさい! 今はやれるだけのことを全力でやってるよ!


(本当にそうか? 鬼人化を使えばどうにかなるんじゃないのか? ゴブリンを殺せば、もっと早く数を減らせるんじゃないのか?)


 そんなことわかってるよ! でも…………


(甘えんなよ。どうせサイクロプスが死んだら、守れなかったって言って泣くんだろ? もしかしたら暴走するかもな。それでも嫌か? 守りたいって思ったんじゃないのか?)


 そうだけど。そうなんだけど。


(だったら逃げろ。誰もいないどこか遠くに。そうすれば悲しまなくて済むさ。サイクロプスなんて関係ない。それがお前の下した決断なんだからな)


 嫌だ! ルギスさん達を置いていくなんてできない。


(だったら戦え! 相手が命を奪いに来たんだ、そいつの命を奪って何が悪い。花音の命を狙う奴をお前は殺さないのか?)


 許さない。殺す。


(そういうことだ。何が自分にとって大切か、しっかり順序を決めろ。でないと、すべて失うことになるぞ)


 分かった。


 頭の中での会話が終わるころには、全てのサイクロプスが地面に倒れこんでいた。ゴブリンも二百ぐらいは減っているが、まだ三百近くいる。勝ち目などなかったことを物語っていた。オルドも鬼人化を使ったようで、動けなくなっている。


(お前が迷ってたせいだな。だがら傷ついてる。必要なら殺しはしょうがない。それが、お・ま・え・の選択だ)


「さっきから手加減でもしてくれてるのかい? 殺しはしない。戦闘できなくするだけ。それならそこで、サイクロプスが死ぬ様でも見ときな」


「逃げてくれ、司君。僕たちが悪いんだ」


「いえ、ルギスさんは悪くないですよ。悪いのは僕です。善人ぶって、仲間を傷つけて。反吐がでる」


 スパッ


 司が剣を抜いた瞬間、近くにいたゴブリンの首が地面に落ちる。


「そんな………司君。それでいいのか?」


「これでいいんですよ。やっと何をすべきかわかった。もう、守りたいものを傷つけられるのは終わりだ。来いよゴブリン!」


「皆殺しだ!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ